「朔太」さんのページ

総レビュー数: 833レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

水島先生初期の頃の最初のヒット作品です。
水島作品は徹底して野球だけをテーマにされていますが、
たぶんこの作品以前は、いろいろ描かれておられた
はずですので、この作品の成功が契機になって、ドカベン、
あぶさんにつながっていったのだと想像しています。

藤村甲子園、豆タンなど、主人公、脇役の原型もここにあります。
しかし、よく見ると原作者は別におられたのですね。
意外でした。
以降の水島作品には、当たり外れが結構あったり、
やや歪んだシナリオ展開があったりしますが、
この作品はキチンとしていたように思います。

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[投稿:2020-03-23 20:08:21] [修正:2020-03-23 20:08:21] [このレビューのURL]

6点 花縄

小池一夫の世界が堪能できます。
鬼平こと長谷川平蔵の晩年に、女で身を崩して死を
想う日々の元大関玉椿との出会いで物語が始まります。

小池一夫の武士の世界には、常に死を引き換えに
生を輝かす道筋が示されます。
いつもそれがとても潔く、美しく見えるので素晴らしいです。
今回も死を覚悟した自分を生かす鬼平への恩義により
輝く生を見せる主人公の姿がテーマです。

お約束通りに、二人の美しい女性との結ばれない
恋愛関係も物語を輝かせます。
やや物足りないのは、捕り物帳にしては謎の深みがなく、
他の作品に比べて情実の淡白さも気になりました。
昭和の時代はもっと濃い情実ぶりがお得意だった
ように思いましたが。
小池一夫に並ぶ人情作家が最近見当たらないのが残念に思えます。

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[投稿:2020-03-09 18:43:36] [修正:2020-03-09 18:43:36] [このレビューのURL]

私自身は、まず絵が合わないので、評価が低くなります。
不自然に動きがオーバーアクションで、可愛い絵柄なん
ですがその割にはヒロインに色気がなく魅力がありません。
釣り自体がうんちくになりがちなので、なかなか興味が
深まらない印象です。

それでも、釣りがスポーツとして認知されだしたのは、
この漫画の功績でしょう。
長期連載を達成したことは、支持されてきた証だと思います。

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[投稿:2020-03-06 02:12:33] [修正:2020-03-06 02:12:33] [このレビューのURL]

3点 BIBLE

村枝氏が高校時代に読み切りを描き(未掲載)、
1980年前後に一度初単行本作品としてまとめ、
それを原型とした「RED」を1999年に連載開始との
経緯が、単行本あとがきに書かれています。
読めばまさに「RED」の雛形そのものでした。

村枝氏の描きたい未開拓地、ここではアフリカ
統一戦線での戦場でのならず者同士の小競り合いを
背景に、仲間の友情を基軸にしたお話しです。

画はそこそこ上手いのですが、残念ながら
セリフ回しやストーリー展開は大人の鑑賞には耐えず、
少年誌向けの範囲は超えられない印象です。

「RED」に対して評価が高い人にはお勧めですが、
そうでない人には同じ話を読まされている印象が
拭えないでしょう。

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[投稿:2020-03-02 18:53:38] [修正:2020-03-02 18:53:38] [このレビューのURL]

命を懸けて自由を求める抜け忍カムイの戦いのお話です。
久し振りに20巻を再読してみました。

自分の必殺技は、知られてしまった以上は必ず仕留める鉄則が
あります。
手の内を知られた敵は、2度目は必ず対策を講じるため、
必殺技も無効化されるのですね。
本当の意味で命掛けだから、絶対です。
50年前にこんな権謀術策のリアルな忍者のストーリーが
存在したとは驚きです。
横山光輝と白土三平で完成された世界は、あえて言えば
岸本斉史「ナルト」に引き継がれ、時代を超えて子供たちの
支持を得たように思います。
以上は少年誌に掲載された第一部のお話。

第二部は、青年誌に掲載されたもので術や戦いよりも、
身を隠すために周囲を巻き込んで起こる障害や仲間の
ストーリーが新たに生まれました。
やや大人テイストであり、本来の抜け忍の悲哀物語です。
白土三平の描きたかった世界はむしろこちらだったと思われます。

いずれにしても、1965年に生まれた忍者物語は、
55年を経ても全く陳腐化せず、むしろ未だに輝きを
放つ神々しさを感じてしまします。
後世に残したいレジェンド作品です。

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[投稿:2020-02-26 21:04:54] [修正:2020-02-26 21:04:54] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

全8巻+番外編が破綻なく計画通りストーリーが
展開されたように思えるほどしっかりとした
サスペンスドラマ仕立ての作品でした。
後から思えば、2部構成であり、当初は連続殺人事件
だとも気づかないうちに先行的に主人公の特殊
能力の説明に時間が費やされます。
いつの間にか母親殺しの犯人として逮捕されると
いう衝撃的な1巻の結末から始まります。

しかし、時間遡行と本人の努力により何度も
その現実は塗り替えられるというドラマですね。
全く影すら見せない真犯人とその意図を図りかねる
うちに物語は進展するのですが、残念ながら早い
段階で真犯人は推測できてしまいます。
というのも、子供は多くとも大人の登場人物が
少なすぎますから、簡単に目星がつきます。
大半の興味がここで失われてしまう無念さがありました。
それも6巻で真犯人が暴露されましたが。

ここからが第二部ですね。
第一部に比べると、回想シーンが多くて心理描写の
絵が多く、少し冗長でしたね。
ページをめくるスピードも速くなり、アッと言う
間の最終巻でした。
ここはもっと詰めれたかもです。

ということで、最初の設定や伏線の面白さにどんどん
引き込まれましたので、とても面白く感じましたが、
いわゆる尻すぼみの無念さも残りました。
もうひとひねりできたかもしれません。

あと少しの工夫さえあれば名作になり得た感があります。

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[投稿:2020-02-18 18:55:21] [修正:2020-02-18 18:55:21] [このレビューのURL]

面白いです。・・・だけど、心底笑えないんですね。
合コンで彼女作りたい欲の若者物語なんで、
その先の展望がなくって、笑いながらも心配性の
自分が現れてきます。
そんな難しいこと言わないで、バカバカしい若者の
行動を優しく見守れる人だけが読んでやってください。

繰り返しますが、コメディ漫画なんだけれど、
ペーソス漂う悲哀感たっぷりなんで、
心底笑えないところがあります。ご注意を。

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[投稿:2020-02-01 08:51:37] [修正:2020-02-01 08:51:37] [このレビューのURL]

35年前の日本は、高度成長期から米国からの圧力で
貿易摩擦にストレスを感じ始めた時代です。
以降、米国の顔色を伺いながら、自らの発展の
可能性を探り出します。

本作の表題を拾い出しますと、日米貿易摩擦、
為替ゲーム、金融の国際化、産業の空洞化、
金融の再編、赤字国債の落とし穴、コメの自由化、
企業買収、土地経済の崩壊、医療ビジネス最前線、
防衛産業の光と影、アジアの経済、節税ビジネス・・・
などなど、現代の経済テーマかと見間違うほどです。
それほどに、35年間経済に関して日本は進歩が
ないのか、それとも・・・。

いかに本作が時代を先取りしていたか、あるいは
分かりやすく読者に啓蒙していたか、という点で
驚くばかりです。

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[投稿:2020-01-16 18:20:19] [修正:2020-01-16 18:20:19] [このレビューのURL]

実在のプロ野球選手を題材にギャグマンガとして仕上げた
日本最初?の先駆け的作品でしょう。
その後も、江川や佐々木など個性的かつ天才的な選手を
ギャグの対象に抵抗なくできたのも、この作品が先行的に
あったおかげと思われます。

いしいひさいち氏のギャグは毒がなく、とにかく上品で
安心して笑えるので、好きです。
その後、となりの山田君はあの朝日新聞に採用された
ぐらいですから、文部省推薦漫画くらいの重みがありそうです。

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[投稿:2020-01-12 07:48:45] [修正:2020-01-12 07:48:45] [このレビューのURL]

血のつながらない幼子を行きがかり上、引き取った時点で
ドラマが生まれるのは必須でしょう。
親子物語が延々続くことを想像しましたが、案外違っていました。
子どもを通したシングルマザーのつらい現実や子育てを
放棄する母親の問題など展開はバラエティーでしたね。

何といっても、8巻あたりからの最終話に至る二人の
関係性の変化には驚かされました。
主人公にはいつも心に刻まれた場面として、幼子が
思いのたけをぶつけて泣く姿を放っておけない
シーンが最初にある訳です。
その気持ちが全ての始まりだったわけですが、
読み終わった後もとても共感できます。
その時に生まれた主人公の覚悟が始まりであり、
全編を貫く人の優しさの原動力だったと気づきます。
良い作品だと思います。

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[投稿:2020-01-08 01:00:04] [修正:2020-01-08 01:00:04] [このレビューのURL]

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