「朔太」さんのページ

総レビュー数: 822レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

読み手を選ぶ漫画でした。
分かる人には分かるし、そうだよねと思える人には思えます。
一方で、自由奔放に生きたいと願っているわりには、窮屈な世界でしか
生きられない江古田ちゃんを上から眺めてしまう人には、楽しめないでしょう。
江古田ちゃんは、多彩な世界での経験豊富です。例えば、テレオペレータの派遣さんが本業ですが、フィリピンパブの踊り子さんでもあるし芸術家向けヌードモデルもします。

女子もある程度類型化されており、大まかには普通っ子、M子、猛禽、
江古田ちゃんの4類型ですね。普通っ子はギャグネタにはめったにされません。
笑いどころがないから関心外なんでしょう。
猛禽と呼ぶぶりっ子が天敵のようで、多くの男性が騙される様が我慢ならないといったところがギャグ化されています。

5巻まで読みましたが、1,2巻で腹いっぱいになった感じでしたので、
評価は低いです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-11-18 21:53:00] [修正:2016-11-18 21:53:00] [このレビューのURL]

お好み屋さんとかうどん屋さんとか、下町の小さな食堂には必ず置いてあったような気がします。
主人公暮流助の「桐の家」での修行が一流だったため、彼の作る料理は常に和食の粋を集めたものでした。文字通り包丁一本であらゆる料理がこさえられ、芸術を連想させます。
和食創作が芸術の域にあることは一部の人たちは知っていましたが、世に啓蒙した功績は大でした。
それも町のうどん屋さんを通じて。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-11-15 05:24:03] [修正:2016-11-15 05:24:03] [このレビューのURL]

下町人情噺がベースにあって、「人間、生きる限りはこうでなくっちゃ。」
って感じになります。
主人公なつの全てにおいて前向きで、明るい単純明快な生き方は、生き方の
下手な今風の若者の大いに参考になるように思います。難しく考えない、
妬まない、周囲との関係性の中で生きる自分を見失わない、というような
シンプルな原則で生き方が貫かれています。

一方で、両親も義祖父母も他界し、今は天涯孤独のなつを正体は明かせない
まま見守る祖父母の気持ちもやるせなく、相当のウェイトで展開を盛り上げ
ています。

和菓子職人という伝統芸のような世界にあって、日本的で昭和的な人情噺は、
我々にとって今や時折必要なサプリメントかもしれません。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-11-12 05:03:40] [修正:2016-11-12 05:03:40] [このレビューのURL]

弱小チームの第三野球部が、圧倒的な実力差を持った一軍や
強豪校を撃破していく様は痛快です。しかし、その勝ち方は
極めて不自然であり、「執念さえあれば何事も叶う」かの
ように全てが良い方に転びます。
まあ、しょせん漫画だから、と温かい目で見守る寛容さと
忍耐がやや必要でしょう。

22巻から飛翔編と改題した後は、プロ野球での活躍になり
ます。ここでも、活躍する自軍の選手は一握りで、投手に
至ってはあすなろ、桑本、柏木(しかも、ほんの少し)の
3名という不自然さ。
また、自軍を最下位に落として、それを口実に球団を売りた
いオーナーとの確執が主題で、飛翔編は負けさせたい
オーナーの妨害に遭いながらも、チームワークで切り抜ける
様を10巻にわたって続けます。
バカバカしくも、また非現実的ですが、これはこれで結構
純粋に頑張るあすなろや桑本に感動してしまいます。

幼稚ではありますが、少年誌の原点を見るようで、面白く
読ませてもらいました。
31巻と長編ですが、アッという間に読み切れました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-11-06 17:02:33] [修正:2016-11-06 17:02:33] [このレビューのURL]

原作の魅力が全てです。
面白いと思うのも、面白くないと思うのも全て原作への依存度が高い作品です。

原作は大好評だったようですので、人間の深層的な欲望に共感する人が多かったのでしょう。
人を奴隷にしたいと決心した途端に、もっと悪魔性が現れるような気がしますが、
そのあたりは少し抑制した感じがしました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-11-02 03:17:18] [修正:2016-11-02 03:22:17] [このレビューのURL]

7点 BUTTER!!!

高校ダンス部での青春群像のお話です。
今風のセリフ回しが多いのも特徴です。

元気印の夏、ネクラで目標のない端場の男女二人を
中心に展開されるお話かと思いきや、周囲を固める
脇役に焦点が移っていき、むしろ味を出しているのは
たった4名のサブキャラ達でした。

コンプレックスで自縛状態の柘、他人とぶつかり合え
ない掛井がお気に入りです。
柘は単なる数合わせ的なメンバーと思っていたら、
突如前髪を上げたりしてサナギが蝶に変身してしまい
ました。それでも根本的なコンプレックスから抜け
きれておらす、むしろ愛おしくなるくらいの魅力ある
キャラになります。

創部者でありながら副部長と影の実力者を装う和美は、
熱情を隠しつつ笑顔を出しません。
部長の高岡は、そんな和美の孤独さに魅かれて
ダンス部を手伝います。

青春には淡い恋心がつきものですが、できるだけ
これを排除して、熱中したり打ち込めること、
楽しめる自分探し、仲間探し、といった女性作家
ならではの視点で物語を進めていきます。
これは男性作家では絶対描けない世界だなあと
思いつつ、一方で自分の青春と重ね合わせて
共感できました。

胸の奥のチリチリした青春への憧憬に火をつけて
くれる作品です。私は結構気に入りました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-10-30 09:05:45] [修正:2016-10-30 09:05:45] [このレビューのURL]

昭和を投影した原風景が背景にある漫画。
誰しも小学生の頃を思い出して、何とバカバカしい毎日
だったとか、なんであんなつまらないことにクラス中が
熱中していたのかとか、玉ねぎ頭のようなクラスメートが
いたりとか、ありますようね。
そんな想い出帳から沢山の友人と家族を引っ張り出して
きては、エピソード話を紡いでくれたちびまる子ちゃん。

爺さんも婆さんもいる実は三世代家族のちびまる子は、
決して孤独ではないのです。といって、自立心がない
訳ではなく、むしろ独特の感性で自分だけの生活を
楽しんでいます。

三世代家族は昭和の時代には典型的家族かと言えば、
そうではなかったと思いますが、むしろ団地族や核家族に
対して憧憬や懐かしさを与えていたのかもしれません。

さらには、作者の独特のクスぐりネタは、共感を呼ぶ
健全な小市民感覚のギャグだからこそ、長く支持されて
きたのでしょう。

アニメを通じて、サザエさんに肩を並べるくらいの
国民的お茶の間漫画の地位を勝ち得たと言えます。
いわば、名作です。
しかし、原点は原作初期にある小さな想い出話に
過ぎなかったことは、驚くべきことだと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-10-23 22:43:01] [修正:2016-10-23 22:43:01] [このレビューのURL]

マイケルという猫を借りて、小林まことのギャグだけを
集めた短編集という気がします。
ストーリーをそぎ落としてマイケルの日常を通して、
猫の可愛らしさと人間のバカさ加減を笑います。
読みながら「馬鹿だねえ。」と思わずつぶやいています。

「1・2の三四郎」で非凡なギャグセンスを見せた後、
本作の連載が始まったようですが、私はこの短編もの
よりストーリーの間に挟むギャグの方が好きで、
「柔道物語」がその集大成に繋がったように思います。
とはいえ、本作品も小林まことの代表作として、
記憶に残る作品になりました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-10-18 05:22:38] [修正:2016-10-18 05:22:38] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

複雑な説明で世界感を語ろうとするのだけれど、登場人物が
多すぎるので、理解は未消化のまま終わりました。
しかし、侵略者とその後の処理で、世界が嘘になって
しまったという点では、大筋でサプライズを与えて
くれました。この世界感がたまらなく楽しめた方は、
評価が高いでしょう。

もう一つは、主人公を取り巻く人間関係が、コンプレックス
と近親的愛憎にまみれていて、これが苦痛に感じる読者と
これを魅力と感じる読者で評価が分かれると思いました。

私は、残念ですが、世界感でも人間関係でも、感情移入できる
タイプではなかったようで、相当の速度で読み飛ばして
しまいました。

それでも最終巻近くでは、「優しいウソの世界」という
表題通りの共感を覚えましたので、そこそこ満足できる
できばえだったと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-10-16 20:09:15] [修正:2016-10-16 20:09:15] [このレビューのURL]

少女誌向けラブコメというのは数あれど、ここまで徹底した
少年誌向けラブコメは前例がなかったような気がします。
あえて言えば、「タッチ」他あだち充先生の一連作品
でしょうが、少女向けでも通用しそうなテイストは、
初めてとも言えます。

ギャグの質はかわいい少女達のやることだから許される
ような誤解ネタが多すぎて、あまり笑えないものも
多いです。主人公の天満が天然の設定だからなのですが、
安易に誤解が誤解を生んで大混乱というのを乱発し過ぎで、
止めてほしいところでした。

一方で、準主役の播磨の一途さ、男気に筋が通っていて、
気持ち良かったです。私の一番のお気に入りは八雲
ですが、播磨がどんなに深い関わりを持っても、
いつまでも「妹さん」と八雲を呼ぶ姿勢に好感度大
でした。また、心揺れる八雲や沢近の姿がラブコメ
たる所以ですね。

ほとんどマンネリ化したパターンの連続ではありますが、
絵が可愛く週一度の清涼剤のような連載でした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-10-09 17:29:40] [修正:2016-10-09 17:29:40] [このレビューのURL]

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