「朔太」さんのページ

総レビュー数: 833レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

最近の藤井聡太四冠の活躍と相まって、面白く読ませてもらいました。
2度離婚歴のある作者の実生活を題材にしているようです。
これが見事に説得力をもって親子の絆のドラマを表現しています。
ドラマを見るかのような淡々とした人間模様が見事であるし、
悪人が出てこない気持ち良いドラマでもあります。

主題である将棋にまつわる上級者への成長模様も面白いし、
女流棋士さんの諸事情だとか、町の道場模様だとか取材も
しっかりされています。
読めば読むほどに将棋を指してみたくなる、いやしっかりと
勉強してみたくなる漫画です。
忘れてならないのは、ママさんの魅力です。表情が可愛い。

追記 
改めて、再読してみました。
将棋や碁に関する漫画も沢山世に出ていて、思いつくまま列挙すれば、
「月下の棋士」、「ハチワンダイバー」、「ヒカルの碁」、
「3月のライオン」とあります。(他にもあったような気がするが、
思い出せない・・)
碁や将棋は、スポーツものと違って、なかなか勝負の展開を
上手く見せるのが難しく、漫画にならない気がしますが、
それぞれ全く異なるテイストで面白い作品を生み出しています。
本作品も同様です。
シングルマザーの女性の一人息子が将棋にはまり、
自身もその世界に一歩を踏み出す。
将棋の世界よりも親子の将棋を通した日常をほのぼのと表現されています。

『読むと元気に、成る』というキャッチコピーの通り、どこか現実感のない
将棋で飯を食べていくという世界を圧倒的リアリティーで描かれています。
8巻がスッと読めてしまうライトな感じも結構でした。
南Q太さんの生き方が凝縮されているような気がします。
他の作品にも触手を伸ばしたいと思っています。

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[投稿:2017-08-11 06:03:08] [修正:2021-12-11 10:54:41] [このレビューのURL]

8点 D-LIVE!!

定番のバイク、自動車のみならず、高速列車、航空機、
建設機械、キックボード、水上自動車・・等々、
ありとあらゆるビークルが登場してきて、深い仕様
情報をもとに、ビークルに適合したアクションの
提供がなされます。
まるで、登場するビークルが先にあって、後からスジが
考案されているかのようです。
ACEドライバーという設定も斬新なアイデアですね。
たかがドライバーですから、武器を持たずスパイ活動や
敵と戦うなんて、無理っぽいのですが、毎話上手い
展開に持ち込んでいます。

仲間も秀逸で、それぞれ個性が際立っています。
主人公はドライブテクニックが秀逸な特技がありますが、
それ以外は基本へたれなのです。
しかし、波戸やオウルが彼を評して言います。
「大丈夫。斑鳩悟は仲間を必ず助けに来る奴だから。」

主人公悟は終始ぶれることなく、この言葉に裏打ち
された行動を取り続けます。
さらには、悟の致命的欠陥とされているのが、
ビークルと一体化し過ぎて、ビークルから手を離さない
というポリシーです。
これもなかなか面白い設定です。
これで危機になったり、助かったりということが起こるわけです。

少年誌にはやや過剰なメカニック情報のように思えます。
興味を持った少年は相当オタクのように思えます。
人物表現は少年誌向け、メカニックとアクションは
青年誌向けの印象ですが、十分楽しめました。
15巻完読です。

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[投稿:2021-11-30 05:29:22] [修正:2021-11-30 05:29:22] [このレビューのURL]

にわかにメディアに取り上げられて、注目を集めています。

元極道の男が、主夫道に邁進する中で、極道と主夫の思考
と行動のギャップが大きくて、コメディになります。
コワモテの男が小さな節約や可愛い創意工夫のある家事に
心を砕く様を笑うわけです。
それはそれで結構なんですが、いくつかのパターンは
マンネリ化してきて、腹いっぱいになる感じがします。

ところどころに、ハートフルな話、妻を加えた馬鹿な
生活が、かえって新鮮ですね。
お気に入りは、第30話、第54話と飼い猫銀が出て来る
おまけ漫画ですね。

絵も上手で綺麗です。
一気読みするのではなく、ほどほどに間を空けた読み方が
ベターかもしれません。7巻まで。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2021-11-27 09:22:07] [修正:2021-11-27 09:22:07] [このレビューのURL]

10巻を読むのが苦しく、正直胃が痛くなるような
悲惨な内容でした。

主人公の弥勒のみならず、ヒロインのエチカの地獄の
ような過去、氷のような心を持つ首藤が見てられない。
自分は資格がある人間という妄想の上、罪をわざわざ
作った挙句にその罪悪感に苦しむ弥勒も見てられない。
それならば、悪事を働いても心を痛めない本当の悪党
たちが、正当化されてしまう矛盾がある。
この世の中が良くならないのは、悪魔のような悪党たちが
自身の罪を感じないことと罰が与えられないため。

本作品でも使われていたが、イジメという隠れた悪事、
しかも大半の人間は見て見ぬふりをして、自身の罪を
自覚すらしない。
被害者は自殺すら常に考えているのに。
そこのところの解決策が提示されない以上、現代の
人間社会は未成熟としか言えない。
未成熟な社会が罪であり、そこでしか生きられない世界が罰なのである。

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[投稿:2021-11-23 17:51:58] [修正:2021-11-23 17:51:58] [このレビューのURL]

作者自身があとがきで語っていますが、面白い漫画は、
○○漫画と呼べることが条件だそうです。
それでは、本作品はギャグ漫画でもストーリー漫画
でもなく、一体どの範疇なんでしょうか?
面白いかと言われれば何がどうということもなく、
しかし面白くないわけでもなくという不思議な
テイストです。
というのも、まず主人公が悪女に絶対的にもてると
いう設定が奇抜ですね。
ここがキモになって、お話が始まります。
そのことによって起こる非日常が、想像外のことを
生み出す面白さでしょうか。
なんとも言えない魅力が生まれました。

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[投稿:2021-11-19 03:21:15] [修正:2021-11-19 03:21:15] [このレビューのURL]

1巻を読んだ時点で、いわゆる移り替わりの物語か
と思いましたが、まもなくその点は否定されます。
ネタバレにならないように表現しますと、
多人格形成にまつわる「ぼく」の真実を探す旅になります。

デリケートな精神の葛藤が根底にある問題ですね。
麻里、ぼくともに、さらには柿口依にしても、
コンプレックスの塊というか、薄っぺらな人間関係では
救えないほど弱りはてた人種ですから、
容易に問題は解決しません。
神経質な人間が集まって、抱き合って、ぼくはどこに
行ったんでしょう、というようなファンタジーには、
正直に言えば付き合いきれないです。
私は、登場人物の中で共感できる者は一人も現れませんでした。
こんな人種も世の中にはいるんだなあ、程度の感想です。

繊細さを表現するための演出だとは思うのですが、
コマワリが大きく、無駄に無言、風景描写が多く、
心情が理解しにくいシーンが多発します。
したがって、9巻をあっと言う間の数時間で読み切る
ことができます。コスパの悪い作品でした。

押見修造さんの作品は、いくつか読みました。
繊細な人間心理を表現するのが上手な作家さんと評判です。
ここでのレビュー評価も高いですね。
しかし、私との相性は悪そうです。

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[投稿:2021-11-13 08:37:03] [修正:2021-11-13 08:37:03] [このレビューのURL]

その筋では、レジェンドとして語り継がれる作品でした
ので、今回読むことにしました。
一話読むごとに、とてもエネルギーを消費して、疲れます。
まるで、太宰治の「人間失格」や「斜陽」を読むかのようです。

60年前、昭和の半ばでは、漫画家さんも市民権を得ようか
という黎明期だったと想像されます。
漫画家という職業だけが特別ではないのですが、小説家に
通じるような人間に対する考察をし続けるべき職業として、
永島先生は極めてストイックに考えられた感があります。

絵は個性的ではありますが、可愛くも思える一方で、
とてもモダンで見やすく、ピカソのような芸術性すら感じます。
1960年代に活躍された永島先生の他の作品も、もっと
読んでみたい気持ちになりました。

因みに「刑事」という漫画誌があったのですね。
初めて知りましたが、なんで「刑事」なんだろう?

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[投稿:2021-11-11 08:50:52] [修正:2021-11-11 08:50:52] [このレビューのURL]

自身の体を改造した組織に復讐するために、暗殺稼業を
請け負いながら世の中の悪を滅していくという
二人の男女のお話です。
必殺シリーズと仮面ライダーorサイボーグ009を
連想させる内容でした。
しかも、数回ごとに読み切り形式で、分かりやすいです。

予定調和の感が否めませんが、絵も可愛らしく、
咎人会という組織の設定など、見るべきところも多く、
まあまあのテイストでした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2021-11-07 06:16:26] [修正:2021-11-07 06:16:26] [このレビューのURL]

ジェームズ・モリアーティ教授とは、探偵小説『シャーロック・ホームズシリーズ』に登場する架空の人物です。
21歳にして素晴らしい科学論文を書くほどの高い知的能力をもった元数学教授という表の顔と、ロンドンに暗躍する悪党一味の統領として機智を振るい、狙った獲物は必ずしとめる犯罪者という裏の顔の2つを併せ持ちます。
子供の頃、ホームズシリーズの中で、最もワクワクしたのは、モリアーティが登場する回でした。悪役なのに何故か心が躍りました。

この魅力あるキャラにフォーカスした本作品は、私と同じような思いを持った方が二次創作を思いついたのでしょう。
モラン大佐やヘルダーを部下にしたり、三兄弟を登場させたりといった設定は踏襲されているようですが、決定的な違いは容姿でしょう。
原作には爬虫類を連想させる老人とありますから、ここでの若いイケメン紳士とは180度正反対と言うことになります。

三兄弟モリアーティの悪事の動機を、貴族支配の社会を打破するという憂国の発露としており、完全悪というわけでもありません。
しかし、1巻では、親と弟と使用人を家ごと焼き殺してしまいます。
この一点だけは、その必要性と正義感の位置づけが共感できないものですから、その後いくら正義を振りかざしても、やや後を引いてしまいます。

基本は、姿を隠しながら、目的を達成するための手段の狡猾かを楽しむのがキモです。
この点は、十分エンターテイメント性がある作品でした。4巻まで。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2021-11-03 04:04:38] [修正:2021-11-03 04:04:38] [このレビューのURL]

古谷実氏の1993年「稲中卓球部」で、独特のギャグに魅せられて後、
「僕といっしょ」では新風溢れる新しいギャグ漫画が生まれたものと感じました。
人生の底辺にある主人公がくりなすペーソス豊かなギャグ漫画。

しかし、以降、「グリーンヒル」、「ヒミズ」、「シガテラ」、「わにとかげぎす」と、
何も持たない20代の若者を主人公とし、将来に希望が持てない閉塞感と
焦燥を背景に、狂気や宗教、混乱、場合によれば殺人へと発展する展開は
常に共通しています。
ギャグマンガからシリアス路線に転換しつつ、話の展開はほとんど同じ
という類似作品が続きました。
それなりに楽しめるのですが、さすがに同じような話が続くので、
ここでのレビュー評価も、「稲中卓球部」以来
7.53→7.16→6.12→6.8→6.69→6.5→6.57と右肩下がりで低下していきます。
しかし、社会的な問題提議とインパクトがありますので、20年もの間、
それなりに一定の支持が得られたものと思われます。
要するに、本作品も同じ路線の同じ展開ですが、一定のファンに
支えられた感が致します。
私も、その中の一人だったということです。

本作品に限った特徴を言えば、これまでになく絶望の境地にあった
青年が冒頭から登場します。
この青年の精神状態と行動を主軸にしながらも、高校の同級生たち
との絡みで別のドラマを二つ三つ並行させます。
とはいえ、そのドラマはこれまで通りのものを踏襲していますが。
結局、最初から最後まで、狂気をはらんだ青年の異常性を示しながら、
「君にも彼の狂気は理解できるでしょ?ひょっとしたら、君が
彼なのかもね」と問いかけているかのようです。

古谷氏のこの大いなるマンネリパターンは、二つの類型があります。
一つは、常に誰かを守るためだけに生きることを渇望しつつ、
それすら叶わない不幸です。
何も持たない人間に魅力を感じてくれる異性など、本当は世の中には皆無です。
しかし、古谷氏は、この種の不幸には必ず、変人の美女を登場させて
ハッピーエンドを迎えさせます。
そんな現実はほとんどないのにも関わらず。

二つ目は、本作品の主軸でもある生きることに意味を持たない不幸です。
このタイプには、古谷氏は救いを与えません。
与えないというより解決策が見当たらないということでしょうか。

古谷氏のライフワークともいえる同一のテーマに沿った作品群を飽きずに
追いかけた私も、同じような理不尽さや苦しさを全ての人間は実は
感じ取っていて、こうなりたくないと思いつつ生きているのだと考えるのです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2021-10-30 18:08:43] [修正:2021-10-30 18:11:29] [このレビューのURL]

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