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8点 ラフ

時代だな・・・と思いますけど、今見ても、最終回の終わり方が大好きです。

野球作品でないので、長くなりすぎる事もなく、綺麗にまとまっていて、『タッチ』を通過したことによるスポーツの真剣さと『陽あたり良好!』にあるPOP感が上手く消化されている名作です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-08-04 20:27:31] [修正:2011-08-04 20:27:31] [このレビューのURL]

宮崎駿の漫画史に残るであろう名作ファンタジー。何度も何度も読み返した漫画だが、この作品にはそれだけ深く、多面的な魅力を持っている。

・純粋なファンタジーとしてのおもしろさ
ファンタジーの王道ともいえる世界の謎を解き明かしていく物語。この点でナウシカは他の同ジャンルの漫画のどれよりも傑出している。腐海の意味、人類の成り立ち、謎が新たな謎を呼び、最終的に驚くべき真実にたどり着く。わくわくするしかないでしょう。
魔法的なそういう意味でのファンタジックな世界ではないにしろ世界の仕組みにこれ程興味を惹かれた物語はなかった。うまく構築されているというだけでなく、それが直接宮崎駿の思想を表現するものであることは奇跡的ですらあるように思う。

・独創的な世界観
飛行機、腐海、虫、食べ物、服装など細部に至るまで工夫された宮崎駿の造形物たち。創造力がすごすぎる。精密な絵も相まってナウシカ独特の世界観を創りあげています。美しいものと醜いものが同居するナウシカの世界、気づけば魅力的な物語の中に入り込んでしまう。

・メッセージ性の強さ
映画版のメインテーマだった環境との共生は原作では序盤で軽く触れられるのみに留まる。そもそも映画版での環境が環境の外に人間があるという認識だったのに対し、原作での環境とは私達人間が生命の輪の中に組み込まれたものになっている。腐海やオームの成り立ちも含めた人間の干渉込みでそれもまた環境だよという大きな意味で捉えられている時点で共生という言葉が成立しない。私達もその一部なんだから。
原作でのメインテーマは宮崎駿の思想論・生命論だろうか。連載が長期に渡ったためか途中よく分からない所もあるためラスト付近について考えてみる。

ナウシカは作中の多くの場面で葛藤する。
ナウシカは墓所の主への言葉のように清濁合わせ持つ世界、闇の中に光のある世界を肯定し、墓所の主のような、神聖皇帝のような一つのルールを押し通すようなやり方を否定する。しかしナウシカは彼らを否定するために結局多くの兵士や墓所の主を殺し、自分のルールを押し通してしまう。この矛盾のためにナウシカを嫌う人もいるだろう。しかし考え、葛藤し、矛盾を受け入れながら生きて行く姿勢が大事だと私は思う(ここは銃夢にも共通する所)。
作中でナウシカが唯一の神を否定し、一枚の葉や一匹の虫にも神は宿っているというように多くの価値観を受け入れた生き方が示唆されているのかもしれない。

宮崎駿の生命についての考え方も興味深い。
神聖皇帝は治世の最初は名君だったものの、政治のために利用した神に彼自身が囚われることになる。ただ生きることに意味が見出せなくなり、神によって命に価値を与えられることになってしまうのだ。墓所の主も同様、次世代の清浄さに耐えうる人間のつなぎとしてのみ今の人類に意味を見出している。しかしナウシカはただ生きるというだけで価値があるのだという。例え組み替えられたり、造られた命であっても生きてきたことに意味があり、変化し続けていくのだと。

神や墓所の主のような他者によって自分の命に価値を与えられるのではなく、自分で生きる意味を見出すこと。多くの価値観を受け入れること。言うのは簡単ですが、弱く流されやすい人間にとっては非常に難しいことです。だからこそ強く、全てを受容する優しさを持つナウシカは聖母なのだと思います。

人間の卵をナウシカがどう考えて壊したかということは気になる所。生命と考えてなかったのか、それとも人間が生存するためとはいえ違うものに変質することが生きることと思えなかったのか…。ここらへんは宮崎駿の「生きる」とはどういうことなのかという考えを見れておもしろい。最終的に人間をどう変化させるつもりだったかは明かして欲しかった。音楽と詩を愛するニュータイプの人間の素材に今の人間を使うという感じなのか?…

母神のようなナウシカにはなれずともその生き方に価値を見出すことはできます。最後に少しだけ衣が青くなったジィ達のように少しでも近づくことは出来るはずです。

長くなりましたが、もちろんこれは私の解釈です。読む人によって思う所が異なり、読むたびに新しい発見がある風の谷のナウシカは時の審判に耐え、後に長く残る作品だと思います。
欠点といえば難解、かつマルクス主義や哲学的な知識が散りばめられていて非常に読みにくく、疲れること。また漫画的な演出はいまひとつかもしれない。
紙質とインクの悪さなど違う部分で気になる面もありつつもそれらを補って余りありすぎる魅力がある作品です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-08-03 02:38:09] [修正:2011-08-04 16:00:02] [このレビューのURL]

新刊(47巻)でかなり進展したので(物語時間は相変わらず経過して
ないけど)書いてみました。
ほんっともうよーやっく。おせーよ速水さん!w

少女漫画を読みなれた私でも読む前は絵が古臭いし青筋や白目の多用に
「なんか怖いよこの漫画!」と思いました。が、読んだら引き込まれる
こと引き込まれること。
情熱が半端ない!マヤも亜弓さんも月影先生も!
第一話目からして主人公自ら冬の海に飛び込むって尋常じゃないよ。
こんな熱くて面白い少女漫画読んだことなかったので、なんだ古い漫画も
面白いやん。と以降古い漫画でも読むようになりました。

確かに紅天女編に入ってからテンポがかなり悪くなり、東京に帰って
きてからは無限ループに入ったのかと思われ(そして未完になるのかと
心配し)、作品のテンションが落ちてしまいましたが、紅天女に
たどり着くまでは最高に面白い作品だと思います。
マヤ、亜弓さん、月影先生の演劇にかける尋常のなさが面白いのですが、
ここ数巻マヤが恋愛にグジグジ悩んでその情熱を見せてないのが
物語を面白くなくさせてるのかもしれませんね。

最近の出来が悪くてもパワーがあって約20年も私を惹きつけてる
作品なので(休載のせいでもあるけど)9点。


演劇への情熱だけでなく、魅力的な作中劇(紅天女除く)、月影先生の
激情を越えるレッスン、古典的な二人の恋愛模様、臭いポエミーな
桜小路くん、ライバル亜弓さんのカッコ良さなどもたまりません。

特に亜弓さん、一見なんでもこなせて美しいのに実は孤独で愛も知らず
(そういえばマネージャーの松川さんどこ行ったの?クビ?)
物凄い努力が天才マヤにいつも砕かれて思わずマヤより応援してしまいます。
美内先生もライバルを引き上げすぎてどっちが紅天女になるかを選べなくて
こんなグダグダな連載状態になってるのかな?と思ってしまいます。
個人的にはもうダブルキャストでええやんかと。

それにしてもコミックス化にあたって全部書き直すんだったら雑誌に
連載しなくてもいいんじゃないのか…(どーせ売れるんだし)

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-08-02 17:22:31] [修正:2011-08-03 18:15:50] [このレビューのURL]

妻の死を漫画に描き、まさにプロ根性で書き上げた作品。
作者の痛いほどの感情が伝わってくる。
「このマンガがすごいランキング」の上位になっていたが、確かに。
面白い!というよりは、すごい。という評価が妥当か。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-07-30 14:39:32] [修正:2011-08-01 23:19:25] [このレビューのURL]

人と龍が共存している架空世界における<帝国>と<皇国>の戦争を描いた架空戦記。
全5巻という凝縮された作品にもかかわらずこんなにしびれた作品は初めてだった。
流麗な台詞回し、綿密な軍事描写、押し殺した感情まで読み取れるほど力強い絵、戦術に対する深い考察と駆け引きに、魅力的な登場人物たち。
そのどれもがリアルに描かれていて今まで見た戦争系コミックの中で
ズバ抜けて1番だと個人的には思う。まさに非の打ち所がない作品である。
是非ともその衝撃を自分の目で確かめて欲しい。
おすすめです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-07-30 14:21:09] [修正:2011-08-01 23:19:08] [このレビューのURL]

お嬢様なのに何故かアパートの大家である少女ジゼルはある日何でも屋を始めようと思い立つ。お嬢様ゆえか世間知らず、でも好奇心いっぱいでまっすぐなジゼルは家賃滞納を理由に仕事を手伝わされるエリックを始めとしたアパートの住人を巻き込みながら危なっかしくも活躍していくというストーリー。

序盤ではミステリアスな美少女という印象だったジゼルだが全くそんなことはなくて実はただの冒険好きのお転婆なお嬢様ということがすぐに明らかになっていく。お嬢様の遊びといった感じなので仕事にも関わらず平気で自分の感情で横道にそれたり依頼と異なった行動をしてしまうのですが、そのまっすぐな行動が意外にうまくいったりたまには失敗することだってあります。
何といってもジゼルのころころ変わる表情が魅力的です。ジゼルは何でも屋の仕事を通して色んな人に出会い、色んな体験をしていく。お嬢様のジゼルにとってはどんな仕事や体験でも新鮮な経験で、新しいことを得ていく彼女の喜怒哀楽を見ているのはとても楽しい。それは運動の後の飯をはおいしいといった些細なことだったりするのだが…19世紀ヨーロッパお嬢様版よつばとというと分かりやすいかもしれない。

絵は新人にしては破格の上手さ。その画風とエマと同様のヨーロッパという舞台なのでよく森薫と比べられて、時にバッシングまで受けてるのは気の毒に感じます。短編集ではそんなに似ているように感じないのでなおさらね。たまにバランスがおかしかったりトーンが気になったりする部分はありますが、精密で美しい絵を描ける作者だしまだ伸びしろはあると思うのでこれからも楽しみですね。
2巻では絵はさらに良くなって、ストーリーにも深みが出てきた。今後の課題はじいさんの描き方(笑)。短編でも感じたことですが、ばあさんに比べると下手に感じるので頑張って欲しい。

よつばと!の四葉やそれ町の歩鳥と同様ジゼルという人物を好きになれないと恐らく楽しめないであろう作品。その性格上仕方ないとはいえ、依頼と真逆のことをしたり自分の思うよう勝手なことをしてしまうキャラを微笑ましいと見るか苛立たしく思ってしまうか…
私は純粋で好奇心たっぷりなジゼルが大好きだけど、こればっかりは好み次第だと思う。話の途中で脈絡なく突然「子どもの前で煙草を吸うのはやめろ!」と怒鳴った所などいくつか違和感のあるシーンは私でさえあったので。
ただ、作者もここは分かっているようで2巻ではジゼルが仕事へのプロ意識のなさを指摘される場面が出てきます。へこみながらも彼女なりに何でも屋として努力する所は愛らしいです。とはいえあまり固い人間になってもあれなので魅力が損なわれないようなジゼルの成長を気長に見守っていけたらいいなと思います。

多少の欠点はあってもそれを十分に補う美しい絵と個性豊かな人物が登場する愉快な話は魅力的です。本屋で見たときに表紙とタイトルに惹かれるのは必至なのでぜひジャケ買いしちゃってください。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-07-13 18:20:59] [修正:2011-08-01 19:29:04] [このレビューのURL]

人生に影響するとか書かれちゃうと躊躇してしまうが、読んだ漫画の中でも輝いて魅力のある作品だと思います。
自分自身はギャグ漫画はあまり好きではないのだが、この作品の笑いの壺はすさまじいです。
ギャグ漫画1位です。
この漫画を読んで考える事なんかないし、下品だし、しょうもない内容なんだけど、そもそも漫画ってこういうもんだよな!って言えてしまう内容でしょう。
無人島に持っていく漫画って質問なら、この漫画を選ぶかもしれません。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-07-31 02:44:39] [修正:2011-07-31 02:44:39] [このレビューのURL]

「オレは、武藤兵庫! ミンナは、オレのことをコッセツって言うがな…」

大学受験を2浪している浪人生の諏訪大吉は、ひょんなことから、筋骨隆々の大男「コッセツ」こと武藤兵庫と知り合いになる。2年前には高校ラグビー界のスーパースターであった武藤だが、試合中に両腕・右足骨折、両アキレス腱断裂の大怪我をしてしまう。ほどなくして彼はラグビーを辞め、「なんでも屋」をしながら日本中を旅する素浪人として暮らしていた。

一方、元高校球児でもある諏訪大吉には、「ラッキュー」というアダ名があった。彼は、2年前の甲子園決勝、美砂城高校サヨナラ逆転タイムリーエラーの張本人であったのだ…

「挫折」とはどのようなものなのか、そこからどうやって再び立ち上がっていくのか、それらを正面から描いたマンガ。真面目さが時に暗く見えてしまうラッキューと、バカ強いのにトボケた感じのあるコッセツのコンビはとてもイイ。この2人の放つ剥き身の言葉は、マンガが連載されたバブル期ならいざ知らず、今の若者の心に突き刺さるものがあるのではないかと思う。全4巻、是非読んでみて欲しい。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-01-08 13:34:25] [修正:2011-07-30 22:22:50] [このレビューのURL]

10点 寄生獣

とにかく完璧。
凄まじいまでの伏線はもちろん、
深すぎるテーマにしっかりと答えを出し、投げっぱなしにしない作者の力量は、漫画界でも間違いなくトップクラスでしょう。

よくわからない、書ききれていないなどという意見も目にしますが、
2回3回と読めば、すべての答えが書かれているということに気づくはず。

「好みじゃない」というのはいいとして、この漫画を「深みがない」という人は、よっぽど読解力がないのでしょう。
そう言い切ってしまえるほど完璧。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-07-30 12:59:41] [修正:2011-07-30 12:59:41] [このレビューのURL]

優しい心を持ち、食い意地の張ったアトランティス生まれのヒーロー、ワッハマン。
不死身の肉体と無敵の強さを誇る彼は、今日もどこかでこそこそと暮らしている、はずだったが……。

序盤から中盤にかけては一話完結のギャグ漫画と言ってもいいほどの内容ですが、
ギャグにうまくカモフラージュされた終末への予兆が少しずつ少しずつ見え隠れし始め、
登場人物たちも読者すらも気付かないうちに悲劇的な展開へと導かれていきます。
最後まで明かされない謎もいくつかあるものの、全体の構成が非常に秀逸。
あんまり書くとネタバレになるので自重しますが、まさかあのキャラの名前自体が伏線になっているとは。

エピローグがとても好き。
残酷な現実と喪失感との繰り返しの中で永遠に生きていく彼へ、仲間達からのささやかなプレゼント。
「なに笑ってんだよ」。 そりゃ笑うでしょ。 もちろん泣き笑いですね。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-07-29 01:04:46] [修正:2011-07-29 01:04:46] [このレビューのURL]

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