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7点 かくかくしかじか
東村アキコ版「まんが道」。のはずだけど全然違う。
先生、先生、とにかく先生。
作者の半生を描いたというよりは、「先生と私」をこれでもかっていうくらい濃密に描いた作品。
先生の猛烈に破天荒な人柄と、作者の「当時のバカな私」っぷりがとっても楽しく、一方で、ところどころで出てくる「現在の私」から先生へのメッセージが後悔や自責の念に溢れたほろ苦い味わいがあって、途中までは本当に面白かった。
ただ世間での評価は割と賛否両論で、手放しで絶賛する人が多数を占める中、「あんなにお世話になった先生をあっさり見捨てるなんてクズすぎる」みたいな意見も一定数あるようで。
確かに最終巻を読んでいてちょっと醒めた部分はありました。
だって先生に対する懺悔や後悔というよりは、自分自身への言い訳にしか感じられなかったから。
「なんであの時○○しなかったんだろう…」ではなく、「あの時○○しなかったのは××だったからしょうがない」っていう。全編そんな感じ。
でも冷静になって考えてみると、「あんなにお世話になった先生」も、「それをあっさり見捨てるクズな私」も、作者の目を通して描かれた世界観の中の登場人物なんですよね。
細かいところをいろいろとぼやかして、作者自身の好感度を上げつつお話を終わらせることも十分可能だっただろうに、敢えてそれをしないで作者のありのままを先生にぶつけたお話。
美談にはせず、尊敬とか悔恨とか思慕とか葛藤とか郷愁とか慙愧とか、作者のいろいろな気持ちをごちゃ混ぜにして出来上がった文字どおり作者の自伝的なお話。
これを読んで作者のことを悪く思う人はいても、先生のことを悪く思う人はいない。
そう考えたら、私はこのお話がとても好きになりました。
「先生と私」を読者に向けて面白おかしく描いた1巻から4巻。
「私の気持ち」を先生に向けて誠実に描いた最終巻。
思えば最終巻が読みづらかったのも当然なのかもしれないですね。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2016-05-14 22:50:22] [修正:2016-05-14 22:50:22] [このレビューのURL]
10点 スピリットサークル-魂環-
意外に短く終わってしまったが、ここまで内容の深く濃い作品はなかなか無いと思う。
作者の言いたいことは、前作品「惑星のさみだれ」別作品「戦国妖狐」でも一貫している部分があり、強い信念をもって作品に臨んでいることがうかがえる。
感情移入が難しい「惑星のさみだれ」が受け付けない人であっても、今作は2巻まで読み進めることが出来れば、最終話まで、読みふけることになるのではないか。
相当練られた話で、読み応えもあると思うので、私は是非おすすめしたい。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2016-05-01 17:26:00] [修正:2016-05-01 17:26:00] [このレビューのURL]
7点 失踪日記
実録の失踪生活を描いた漫画(終盤はアル中治療記)。作者の他作品を知らないで読んだのですが、絵柄の親しみやすさや描写力がさすがベテランだと思います。ホームレス生活までしていた訳ですが(後半は配水工として働いてる)、丁寧かつ面白くおかしく描き、楽しそうにみえるという凄い作品だと思います。こうなっても人間生きていけるんだって感じなので、こっちの方が下手な他の元気づけることを意図してる作品よりも元気が出る漫画かなと思ったりしました。
意図的に暗い感じを排除していると前置きしつつも、実際に作者が失踪生活している間は作中にもあるように、実社会の欝から抜け出して活き活きとして、規則正しい生活と後に襲ってくるアルコール中毒から逃げられている、警察に発見されなければ戻るつもりは一切なかったところは考えさせられるところでした。巻き込まれた家族は大迷惑という大前提の突っ込みがあるので、この辺は目くじら立てずに読める人向けの作品ではありますが、色々な賞を得たり話題になっただけの作品ではあるかと。ただ終盤のアル中病棟話が半端だなあと感じました。続編が出ているらしくそれも読まないと一段落してない終わり方でした(読む予定ですが)。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2016-04-24 08:55:41] [修正:2016-04-24 08:55:41] [このレビューのURL]
ギャグとしては下ネタのオンパレードで、品格のカケラもない。
アザゼルの最低最悪な性格もあって、結構不愉快になる場面もある。
悪魔だから仕方ないとはいえ、仕事はできないのは勿論、不出来を必ず他人のせいだ
と言い張り、その割に自尊心は高く、いずれは魔界の王になるはずと主張する。
挙句は、「俺をなめていると・・おさな馴染みの彼女が黙ってへんど。」
下品でどうしようもないが、しかし・・・普通に可愛い佐隈や悪魔以上の
悪魔のような芥辺とのからみは、ボケとツッコミが完成されていて、笑える。
ツッコミの際には半端ない制裁(首が飛んだり、クラッシュしたり)で、
これも毎度お約束のパターンで笑える。
読めば読むほど引き込まれていくのも悪魔の呪いのせいか。
子どもには読ませられない文字通り悪魔の書。10巻まで。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2016-04-17 18:02:08] [修正:2016-04-17 18:02:08] [このレビューのURL]
8点 ろくでなしBLUES
ヤンキー漫画の中でもトップレベルのおもしろさだと思います。
仲間との友情とか他校との抗争とかギャグ回も熱いぜ、、、!
男のプライドや勝ちへの執着、強くなり続けたいという意思。
うん、やっぱり熱いっす。
ちあきの気持ちも分かるけど、たまに水を差す発言がね、、苦笑
まあそれありきのストーリーなんだけどっ
四天王が集結したのは震えた!
でも若干実力のインフレの恐れが、、、、
しかし逆にでした。
葛西がすっごい強い印象があったぶん川島もうーんって感じで
それ以上にサリーの小物感が、、、
強さ関係なくもっと卑劣でゲス野郎でそれを太尊が思いっきりぶっ飛ばす!
とかだった方が最後スッキリ読めたかも。
だって今まで強い奴らと渡り合ってきた太尊の最後の相手それ!?って
思ってしまったんだもの。サリー強いよ描写もあったけどなんか物足りなかった、、
でも最終回はもうビシッと気持ちよくまとめてあって文句なしです。
ギャグも面白いし、不器用な恋愛も良かった。
でもいちばんはやっぱケンカかなww
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2016-04-10 03:16:59] [修正:2016-04-10 03:17:58] [このレビューのURL]
もちっとカラー(というか表紙)がうまければもう少し多くの人に読まれるであろう漫画。
けどこのまま何事もなく進行すれば完結のころには結構な人気作品になっているのではないか。
2016.04 連載完結に伴い追記
もう一、二巻の分量があれば。第一章に入るまでは大満足。
フルトゥナ編に出てくる「霊学」の概念が少々説明不足感があった(けどあれ以上濃い説明されても読者置いてけぼりかも)
あと鉱子の内面描写が圧倒的に足りない。さみだれ、妖狐、サイコスタッフ、散人とどれも最後はヒロインがちゅーして終わるんだから、やっぱそこにいたるまでの心情は欲しい。
作品全体にいくつか何気に重大な謎が残ってる気もするが、最終回最終ページがよかったので万事OK。最終輪のサブタイには納得。
一番好きなシーンは方太朗編のあとのマックでのウミ、テツ、鉱子と風太。
なんとなく笑えるんだけど、同時に泣けもするとても印象深いシーンだった。
傑作。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2014-08-05 18:17:13] [修正:2016-04-06 21:06:33] [このレビューのURL]
どんな話か簡単にいうと、特別、秀でたものがあるわけでもなく、というか寧ろぱっとせず、かと言ってちーちゃんほどに突き抜けることもできない、中途半端で非常に寄る辺ない存在である自分に対し不安や不満を感じ、思春期特有の劣等感や焦燥感に苛まされ続けるちょっと足りないナツの物語。(…簡単とは)
ナツの心理描写はなかなかリアルに描かれていると思うし、ラストの経験から何かを学びとり、劣等感を克服したわけでは全然ない感じも個人的には好きだったりする。(それもリアルな気がして)
ほのぼの漫画だと思って手に取ったら火傷するかもしれないけれど、
うーん。そうだなあ…
思春期の葛藤、ほろ苦さを味わいたいなーと思ったらぜひぜひ。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2016-04-02 23:21:46] [修正:2016-04-02 23:21:46] [このレビューのURL]
5点 らんま1/2
明るく笑える古き良き格闘ラブコメディ。
魅力的な男性キャラも女性キャラも多数登場するのだが
たった一つ残念なのがメインヒロインの「天道あかね」が、
他の女性キャラに比べて見劣りするところ。
女性の顔の描き方は共通しているパーツも多いが
「あかね」は男子小学生のようなショートヘアで地味に見え、
格闘能力も他の女性に比べて劣り、家事も下手、
態度や口調は高圧的で、
不思議な服の魔力を借りて反則で乱馬に勝って調子に乗るなど
人間的にも問題ありという描写で
なぜこのキャラクターをメインヒロインにしているのか
全く理解出来ず
乱馬は他の才色兼備の女性達に比べて「あかね」のどこがいいのか
全く理解出来ないのである。
何もかもダメでも心だけは優しいならわかるが、
「あかね」の場合それすら無い、
悪い意味で極めて斬新なキャラクター。
「あかね」中心ではない話は面白いのだが、
メインヒロインに魅力が欠けると全体的な印象が悪くなる。
現在も新発売されるグッズですら女らんまやシャンプーが多く、
メインヒロインなのにハブにされる「あかね」パターンがよくある。
許嫁が別の女性だったら
もっと面白かったのに…と思わせられてしまう作品。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2016-03-29 02:32:42] [修正:2016-03-29 02:32:42] [このレビューのURL]
10点 リアル
私も理学療法士ですが、疾患、患者の障害受容など事細かく描かれている。話が進むにつれ変化していく心理的描写、青春スポーツマンガとはまた違った苦悩や障害を背負った者のスポーツの様子を一人でも多くの方に知ってほしい。もし自分がこうなったら・・・。そういったことを考えたことがある方は少ないと思う。障害を負ったものにどう接していくべきか、障害というものをどう受け止めるべきなのか考えさせられる作品。3人のストーリーに目が行きがちだが、家族や友人の心境や生活の変化などにも注目してほしい。ぜひ読んでほしい作品です。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2016-03-22 16:56:36] [修正:2016-03-22 16:56:36] [このレビューのURL]
7点 栞と紙魚子の生首事件
諸星大二郎先生の作品を初めて読みました。
一番気になったのは主人公たちの理解不能、ホラー漫画っぽくない行動。ホラーものに欠かせない感情移入や共感というものが全くの皆無でした。
恐怖に慄く主人公たちは描かれておらず、なんとも呑気でギャグなんかも混ぜちゃって、なんとも臨場感や緊迫感のないものでした。
しかし読んでくうちに2人の行動や思考、というより諸星大二郎先生が何を描きたいか分かってきました。これは主人公たちがあう恐怖体験や怪奇現象を面白げに描いている日常漫画のようなものであり、ホラー漫画ではなかったのです。
そう見るとだんだんと面白さが分かり納得できました。
実際最後のあとがきで、諸星大二郎先生自ら"コワサではなくどこかひとつハズしたものにしようと思いました"と書かれていました。
タイトルにもなったり、全話通して出ている事からもわかるように、話よりキャラクターに重きを置き、話の流れやオチなどもキャラクターの行動は同じでも全く別のものばかりになっており、さすが漫画を描くのがうまいなぁと思いました。
勿論話自体も突飛で面白く全く飽きさせない、世にも奇妙な物語を見ているような感覚に近くとても面白く読めました。同シリーズも全部読んでみたいと思える漫画でした。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2016-03-22 01:12:38] [修正:2016-03-22 01:12:38] [このレビューのURL]