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最近の新井英樹はぶっ飛びすぎて付いていけなくなったのですが、このキーチは全盛期の作品の一つだと個人的に思ってます。
この人はカリスマを描かせたら本当に巧い。

ただ、この作者はスロースターターなので、そこの我慢は必要なんですよね。
この作品も前半のホームレス編は衝撃的な展開ではありましたが、真骨頂は小学生編。
甲斐と出会ってからの展開がめちゃくちゃ面白い。

小学生である事の無力感からの挫折もあり、
小学生である事を武器にした反撃や演出。
キャラクターの躍動感が流石です。

「こんな小学生いる訳ない」とは思うし、
相変わらず我が強く、民衆を馬鹿に描き過ぎる作者の癖も鼻に付きますが、それでも夢中にさせるエネルギーがある作品。

カリスマの一挙一動に、漫画ながら目が離せない。

続編の「キーチvs」は全然入り込めなかったので、レビューはやめておこうと思います。笑

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-02-27 17:46:21] [修正:2017-02-27 17:46:21] [このレビューのURL]

8点 カレチ

鉄ちゃん向けのみならず、職業物・人情物漫画としてレベルが高い一話完結漫画だと思います(毎話レベルで面白い)。国鉄が舞台ですが古き良き時代性、人情的な職場(職人の情熱や厳しさ)を描く物語かと思いきや、次第に傾いてJRに向かう国鉄組織の暗部、それぞれの苦悩、合理最優先な時代の流れも包み隠さず描き切りました。

後半は暗すぎるのではとも思いましたが、故に前半へのノスタルジック感を読者としてもより強く感じられる仕様に。最終回での主人公の選択、途中で描かれた最終回後の時系列でクレイマー老人と化している回(途中結婚しているが最終回選択後は離婚した可能性も高い。妻帯者がそうそう選べるものでもない上に妻のポリシーからは許したかは微妙)を思うと国鉄と主人公人生のリンクにこみ上げる切なさがあります。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-02-25 02:15:26] [修正:2017-02-25 02:15:26] [このレビューのURL]

ハイテンション将棋漫画。将棋部分がしっかりしつつ、ルールが分からない人でも伝わるであろう迫力と熱さそして奥深を伏せ持った作風です。作者自身がプロの一線にでも駒落ちなら勝てる強さだけはあるかと。次第に超展開にもなって行きますが、キャラの個性が光りつつ続きが気になり、三十半ばの長編なのに楽しみつつ読めました(最後も上手く畳んだ方)。

一番の問題は次第に増えて行く将棋と関係ない格闘部分ですが(女性キャラがぽっちゃりし過ぎなのもこの辺が影響か)、ここは一気読みで良かったと心底思いました。それでもまだ多く感じるほどです。しかし、それを考慮してもやはり将棋漫画を代表する作品からは外せないだけの力がある名作だと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-02-18 16:54:32] [修正:2017-02-18 16:54:32] [このレビューのURL]

5点 アビス

[ネタバレあり]

怪物に襲われて生き延びる漫画。
怪物と超能力で戦うゲーム的な謎解きバトル。

絶体絶命の状況も怪物の特性や能力を駆使して冷静に切り抜けていくのがポイント。
ジョジョの奇妙な冒険第2部を意識したつくりになっている。
バトルギミックが凝っていて面白い。
怪物も恐ろしくグロテスクで生き延びるとホッとするし、
また別の怪物に出会うと絶望する。

で、この漫画のオチはループもの。
終盤で任務に失敗した主人公が状況をリセットする能力を発動する。
序盤まで巻き戻って再度やりなおし。死んだ仲間も生き返っている。
みんな記憶は失っているが過去に倒した怪物は答えを知っているパズルのようにクリアできる。
主人公の冷静さや数々の伏線もキレイに説明がついた。
さらに、タイトルのアビス(深淵)とはこの状況そのものを指しており、
限りない繰り返しの果てにいつか全てをクリアできるかもしれない、といった事らしい。

凝った作品だが漫画としては説明的に過ぎる。
これが実際に繰り返しプレイするゲームなら説得力があっただろう。
度々の失敗を意味のあるものにして、エンディングを目指す動機を高めてくれる。
だが漫画では面白さが高まるわけではない。

また、作画も途中から苦しい。
場面や怪物、キャラクター、小物などの見分けがつかなくなってくる。
扉絵ではしっかりキマっているので勿体ない気がした。

才能は豊富だが、漫画を作る力が不足している印象。次回作に期待。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-02-10 10:50:30] [修正:2017-02-10 10:50:30] [このレビューのURL]

この人が描く漫画は人は選ぶけどどうしてこんなに刺さるんだろう。
とにもかもくもドロドロとした心情がとても上手い漫画で面白いです。
麻理の行動に辻褄が合わないところがあったけど、それは麻理の中にもほんの少しだけ小森がいたのかなーとかファンタジーな考察で補完しました

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-02-06 17:41:38] [修正:2017-02-06 17:46:43] [このレビューのURL]

なんだかんだで九年近い長期連載作品となった「侵略!イカ娘」ですが、ハタから見るとごく平凡なこの作品が、一体なぜここまで長期連載することができたのかと考えたとき、「その掲載誌が、変わり物だらけの週刊少年チャンピオンだったから」というのが、その理由の一つとして挙げられると自分は考えています。

こう言っては語弊がありそうですが、自分は週刊少年チャンピオンは少し不気味というか近寄りがたい雰囲気を感じていて、ジャンプやマガジン、サンデーなどと比べると、どうしても異質というか、気楽には読みづらい雰囲気が雑誌全体から漂っていて少し苦手でした。

しかし、そうした異質の集合体である週刊少年チャンピオンの中で数少ない「普通」の作品として連載していた「侵略!イカ娘」は、異質の中でむしろ逆に「異質」として読者の心の清涼剤的な役割を担っていた。そのことが、週刊少年チャンピオンで長く掲載できた理由の一つだったのではないかと、自分は考えています。

そしてそう考えると、どんなものにも「運」はあるように感じます。(しかしこれは単にマグレや偶然という意味ではなく、運気や運勢、勢いやタイミング、巡り合わせという意味の方が近いです)漫画やアニメ。ゲームに映画。創作物はスピードも大事だと思いますが何よりも時代の運に合うかどうか。ヒットするしないは結局時代を味方につけるかどうかなんだろうなと、色んな創作物の栄枯盛衰を見てきて、今そんなことを思います。

そういった意味でも、「侵略!イカ娘」は時代と雑誌、そしてそのタイミングなど、色々な部分で「運」が良かった作品だったと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-02-03 22:48:03] [修正:2017-02-03 23:04:19] [このレビューのURL]

高校の手品部で先輩美少女と後輩少年のユルいやり取りを描く日常漫画。

ユルさ加減がすべて。
先輩の可愛さやラッキースケベや手品のうんちくとか
テンションを高める要素が軒並みユルい。
それでいてユルさを前面に押し出しすでなく、あくまで青春コメディ。
登場人物も先輩と後輩の2人でごくシンプル。

このユルさを心地よいととるか物足りないと取るかは人それぞれ。
別に面白いわけじゃないんだけど、なんか良いよねーという感じ。

評価で3点をつけているが別にダメな漫画ではない。
まさに時間つぶし用に作られた作品で、ちゃんと成功している。
まとめて読む必要もなく、先輩が好みならちょいちょい楽しめるだろう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-01-16 11:39:03] [修正:2017-01-16 11:39:03] [このレビューのURL]

5点 聲の形

[ネタバレあり]

登場人物にロクな奴がいなかったり喋り方が中二病臭いところが鼻に付きましたが、面白かったです。
特に、主人公が周りを拒絶し?マークを付けてしまうところは共感しましたし、今風だと感じました。

しかし、気になる点がいくつか・・・。

硝子ちゃんがあれだけ自分を虐めていた主人公をあっさり許したり、佐原さんが自分の悪口を言っていた植野を嫌っていなかったり、友達がいなくて冴えない永束くんがすごく良い奴だったりと、どうもこの作者は「弱者=優しい」という考えの持ち主という印象を受けました。


もう少し、硝子ちゃんが主人公を許すのに時間がかかったり、葛藤する場面があったら良かったかな・・・。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-01-14 20:45:54] [修正:2017-01-14 20:45:54] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

 英国人日本研究家として知られるバジル・ホール・チェンバレンは1905年(明治38年)の著書「日本事物誌」の序論にこのように記した。

「古い日本は死んで去ってしまった。そしてその代わりに若い日本の世の中になった。」

 本作「ふしぎの国のバード」の主人公イザベラ・バードが日本最果ての地を目指し旅立ったのが1878年(明治11年)であり、作中にも描かれる様々な今や失われた江戸期の幻影が当時はまだ息づいていたことを考えると、わずか20年足らずで一つの文明が死に絶えたということになる。その間に帝国憲法が発布され、治外法権も撤廃となり、そして多くの人々が血を流した日清日露の大戦争があった。

 主人公の英国人女性紀行作家イザベラ・バードは実在の人物で、本作も彼女の著書「日本奥地紀行」(1880年刊行)が原作となっている。明治期には多くの外国人が鎖国を解いたばかりの「神秘の国ニッポン」を訪れ、風景の美しさや伝統工芸の巧みさ、独特な風俗などを讃える文章を多く残し、それらは近年テレビ番組の一ジャンルと化した感もある日本スゴイ系コンテンツに引用されることも多い。

 英国人女性が日本の文化風俗に多大な関心を寄せる様を描く本作及びその原典も、見方によってはそれら日本スゴイ系コンテンツの一部と読めなくもない。実際に主人公バードは人力車夫や馬子など人々の素朴な親切さを讃え、日光東照宮の絢爛さに驚き、会津道の景色の美しさに魅せられる。
 一方で本作の大きなポイントは、それら賞賛だけでなく文明人が非文明化された地を旅する際につきものの「戸惑い」の部分も余さず描かれている点だ。しかもそれは「英国人から見た日本」という視点からだけでなく、「現代日本人から見た当時の日本」、滅び去ってしまった古い日本への我々現代人からの戸惑いとも重なるのである。

 今や姿を消した街中の様々な行商人、お歯黒を塗った女性、背中に立派な彫り物をし、寿命を削りながら奔り続ける人力車夫(江戸期は飛脚だった)、プライバシー概念のない野次馬趣味、低俗な酒宴の余興、老若男女混浴の露天風呂、不快害虫の巣と化した宿の一室、男根をかたどった村の守り神、庶民の貧困、貧困、貧困……

 日本は貧しかった。そして関所で区切られ他藩は他国であった時代の名残から、バードと同行の通訳・伊藤鶴吉も地方の珍奇な文化習俗に驚愕と嫌悪を示す。
 彼は同じ日本人の文化を「あのような恥知らずな風習」と蔑んだ。当時の日本人の志ある若者の多くは、日本を欧米諸国のような立派な文明国にしなければならないと考えていたため、母国の伝統に対して概して否定的だったという。

 そしてそれらのバード(そして読者)の戸惑いが頂点に達するのは、現時点では二巻終盤で描かれた会津の寒村の夜の一幕だろう。不潔な村で病に苦しむ子供に薬を与えたバードを頼り、彼女の宿に押し寄せる、皮膚も爛れたまるでゾンビのような村人の群れ。
(当時の日本人庶民の“皮膚病”事情については、バードに限らず多くの外国人旅行者も記録しているという)

 日本は、貧しかった。ちょっと我々の想像を超えるくらい貧しかった。そして頑張ってそれなりに豊かになった。その過程で一方、多くのものも捨てた。
 それら捨てさられた文明の記録として、「日本奥地紀行」はまことに価値の高い書物で、それを皮相的な日本スゴイ系コンテンツが溢れる現代にこうして漫画というメディアの力を通じて視覚的に楽しめるというのは大いに意義のあることである。
 バードは一旅行者にすぎないので、どうしても彼女の視線は他人事の旅行者目線にならざるを得ず、そこには無自覚な差別意識も免れない。それでもそういう視点からしか描かれ得ないものは確実にあり、現代の我々が死に去った時代を覗き見る上で最適の視点でもある。そして、彼女の視点は、あくまで優しい。

 作者の丁寧な描写力に支えられた意義ある良作といえる。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-12-26 16:28:24] [修正:2016-12-27 04:35:16] [このレビューのURL]

6点 キヌ六

前作「ベントラー・ベントラー」作者による「BLAM」という感じの作品。やや見にくいですが豊富なアクションと安定した絵、サイボーグなどほとんど生身の人間がいないサイバーパンク的SF感も良く出せています。主人公の女の子コンビの外見と絡みも良かったです。話も続きが気になり、割りと纏まったとは思いますが、地球に何度も訪れる氷河期や宇宙を安定させないと滅びるなど背景に独特かつ理解が難しい箇所があり、すっきりしないのが残念。ラストシーンの内容把握に困りますし。総じて前作好きな人にはセットで読むのを薦められる佳作というところです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-12-25 10:54:58] [修正:2016-12-25 10:54:58] [このレビューのURL]

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