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7点 センゴク外伝 桶狭間戦記
桶狭間の末路の一点で暗愚とされがちな今川義元の再評価を
丁寧に行なっているのは素晴らしいです。
作中で魅力的なキャラですが主人公なので美化しすぎというのは確かでしょう。しかし、行跡に関しては
事実しか描いてませんし。敗れたのは漫画を読み終えれば
偶然が絡みつつやはり天下人な信長という相手が悪かったのだという思いを強くします。素晴らしいのに評価されてない
武将という点では主役として良いところに目を付けたなと
思いました。
信長についても桶狭間でメジャーになる前の尾張統一辺りからしっかり描いています。後の天才天下人とはいえセンゴク本編に比べて
弱さや青さが覗く辺りも上手い信長の造型だったかと。
あまりこの時代の信長は題材にならないので有名人ですが新鮮な気分で読めました。
合戦過程について義元が俗説の天下とりではなく、領土拡大だけを狙ったというここはもはや現在の通説的見方をとっていること、
油断していた義元をしてやったりの奇襲で信長勝利という従来の奇襲説(俗説、二次創作は全部こうなっていますね)と信長が単に一矢報いるため、偶然突いたのが本陣だったというだけという最近有力な偶然奇襲説を折衷して偶然要素にも助けられた奇襲説というバランスのとれた見方を採用している辺りは漫画という媒体でここまで
鋭いのかと感心しました。
最後の最後の力の部分で統制はしていても一点の綻びに対処出来ない悪く言うとマニュアル今川兵が、未完成だがそれ故に暴れ馬の緒田兵にけちらされてしまったというオチや米から銭へと時代は移りつつあり、銭への執着・人間の欲に忠実な信長を時代は選んだというメッセージも説得力があったと思います。ただ小氷河期理論は勇足だった感は否めないと思いますが…
漫画としての面白みや絵の丁寧さがあり、合戦シーンは迫力があります。独自の説も見られますが、背景から歴史解説や現代に通じるメッセージを示すスタイルが多少読みにくさはありながらも読めてしまう辺り作者の技量は高いです。
センゴク無印本編よりは実績豊富で大将クラスの人物を主人公に据えただけにオリジナル話や脚色が少ないのも長所かと。
ただ欠点をあげると盛り上がるのが桶狭間合戦のある最終巻近く
なので、それまでが政治駆け引きなどに偏り多少読者選んじゃうかなとは思いました。もう少し合戦を詳細にして(信行との対決である稲生の戦いなんか過程も面白いのにダイジェストだけでしたし)他は絞るなど工夫した方が山は作れたかもしれません。
総じて厚めの全5巻でこのテーマに関しては詳細に切り込みまくっている歴史漫画として上質の作品だと思います。
俗説と史実のギャップが激しい義元の再評価のためにはもっと読まれた方が嬉しいのですが。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2012-02-14 08:17:55] [修正:2012-02-14 08:17:55] [このレビューのURL]
5点 ONE PIECE
東の海編(1巻-12巻)8点 アラバスタ編(12巻-23巻)6点
空島編(24巻-32巻)3点 ウォーターセブン編(32巻-46巻)4点
スリラーバーク編(46巻-50巻)5点 頂上戦争編 (50巻-61巻)7点
何を書いても既出になるので評価のみ。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2012-02-12 16:34:56] [修正:2012-02-13 03:14:25] [このレビューのURL]
6点 スプライト
パニックものかと思いきや、サバイバルやホラーのお約束もそこそこに早い展開で進行。
蓋を開けてみればタイムスリップものでした。
設定がとっても面白くて斬新
人が「年を取る」のは、気付かない内に「時間」の波に飲まれて命を吸われるから。逆にその波(あるいは雨)から逃げ続けられれば年を取らず大人になることもない。
そこにスプライトって気象現象を混ぜたSF設定が実に上手くできてます。
それぞれのきっかけで普通は見えない黒い時間の水を認識できるようになった登場人物達
事情を抱えて逃げる子供達、巻き込まれた女子高生、他にも引きこもりとか加齢症児とか、曲者ばかりでどーも人間ドラマはイマイチなんだよなぁ。王道なようでどこかそれを外しているんだけど、それが裏目に出てるというか、淡泊になっちゃってる。
キャラが主人公含めみんな浅いって言うか……特に倉庫番ってわかるまでの、あの女子高生にこき使われるヤーさんなんか違和感ありまくり
せっかく面白そうな設定なのに、他の要素を色々詰めすぎて薄らいじゃってるところも残念。
タイムスリップばかり目立ってて、未来だ戦国時代だとせわしない。
要素要素はそそられるんだけど、全体として熟した感じとは言い難いんだよなぁ。
作者の描いた未来像とか、アイアムレジェンドみたいに鹿や虎が闊歩し草木生い茂る廃墟と化した都心を気持ち悪い新種の生き物が跋扈する、みたいな。生態系よくわからんし、その新種の生物も漂流教室の新人類にくりそつとゆーね。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2012-02-13 02:43:35] [修正:2012-02-13 02:43:35] [このレビューのURL]
8点 森山中教習所
真造圭伍はこの森山中教習所がデビュー作で、しかも22歳でこれだけのものを描いちゃうんだから恐れ入る。この先もっとすごい漫画を生み出していくのだろうか。
とはいってもストーリー自体は本当にシンプルな物語。ひょんなことから非公認教習所に通うことになった大学生、佐藤清高くんのひと夏の恋と友情を描く、それだけだ。しかし真造圭伍はそれだけの話をここまでおもしろく語れてしまう。つくづく新人とは思えない。
何というか、もう物語を語るセンスがずば抜けていると思った。語る所とあえて語らない所の選び方が絶妙、またその語り口も素晴らしいの一言で。清高くんにしろその友達の驫木くんにしろ、背景に色んなものを抱えてるんだろうな、って匂わせるシーンもそこらかしこにあって。でもそれはあくまでバックボーンに留め、絶妙な間と表情で語らせる技量にはほとほとため息が出た。
いくつかの見開きでは、ふきだしを使わずに名前とかぎかっこで登場人物の会話を描くなんてこともしていたのだけれども。こんなこと、下手にやっちゃったら途端に話がうそ臭くなってしまうと思う。でもこの作品では驚くほどすっと心に入ってくる。
基本的には、ヤクザの件のような本当に漫画的な漫画で。その一方で、水風船の遊びからの拷問シーンや清高くんのヤケ酒なんて、笑ってしまうほど滑稽で、でも尋常じゃないほど人間臭さを感じさせる。そうかと思えば清高くんの元彼女さんの食事やラストの急ブレーキの場面ように、とことん笑える場面もあったりして。やっぱりそこらかしこに強烈に作者のセンスを感じた。
「なーに、ノスタルジーにひたってんのよ?」
気付いたら私までそんな思いにひたっていたのは、自分の中にも同じような物語があったからだ。真造圭伍は、誰もが心の片隅にひっそりとしまっているものを、おもしろい物語に仕上げることが出来る。そういう人が私は好きで、でもそういう人はなかなかいない。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2012-02-13 00:14:49] [修正:2012-02-13 00:26:14] [このレビューのURL]
7点 海の闇、月の影
中学生の時に読みました。
次々と起こる展開、誰が敵かわからないスリル。
サスペンスに、超能力バトルあり、恋愛ありの少女漫画。
超能力バトルといってもなんでもアリって感じではありません。
大好きな双子の妹に命を狙われ、逃げる、逃げまくる主人公。
中盤、世の中が敵ばかりに思える状況で、いつ捕まるかとハラハラしました。緊迫感を書くのがうまいです。
主人公と双子の妹の戦いが、色々な他の思惑も巻き込み、時に協力的になったり、また敵対しながら進みます。
主人公に敵対する妹にも感情移入できるエピソードがちゃんとあり、
ダレることもなく、最後はせつないが見事な完結。泣けました。
恋愛がキーポイントであり描写もありますが、主軸ではないので男性にもおススメできる少女漫画です。
ただし、主人公のイイコちゃんキャラにイライラするかも。
この作者はどの作品も、全体的にキャラの魅力が薄い。
けれどもストーリーで考えると、この作者の漫画の中で1番出来の良い作品だと思います。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-01-12 22:23:44] [修正:2012-02-10 23:43:20] [このレビューのURL]
7点 AQUA
「ARIA」と「AQUA」に興味があるのだけれど、この二つの関係性がよく分からないという人のために説明します。
「AQUA」は言ってみれば「ARIA」の「第0巻」。
つまり内容的には、この「AQUA」の方が「先」の内容になります。なので、「ARIA」を読んでみたいという人は、まずこの「AQUA」全2巻を読んだほうがいいと思います。
(自分はそれを知らずに「ARIA」から読み始めてしまったため、最初は何が何やらさっぱりでした。)
話の内容としては、おおよそ「ARIA」に至るまでの、主要人物との出会いが主となっています。(まぁ中にはフライングして登場している人物もいますが。)
話の深みとしては、評価点が7点であるように、それほど深みのあるものではありませんが、「天野こずえ」という作家が生み出す「世界観の透明性」を、一人でも多くの人に伝えたいと思えるような、心の澄み渡る作品となっています。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2012-02-10 22:27:17] [修正:2012-02-10 22:28:51] [このレビューのURL]
2点 MAGiCO
サッカー漫画では久しぶりに外れでした。
作者があまりサッカー詳しくないのでは!?と思わせる作品です。
どちらかというとリアルなサッカー漫画というよりは少年誌向けのありえない技を出しまくるサッカー漫画です。
にしても技がかっこ悪いしいまいちどんな技かも伝わってこない。
そして極め付けが作者は完全にスラムダンクの影響受けまくりです。
スラムダンクが好きな人が読めば、この場面パクリじゃんとすぐ気づくはずです。
総じて残念な作品でした。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2012-02-10 12:37:05] [修正:2012-02-10 12:37:05] [このレビューのURL]
7点 AKIRA
書き込み、センス、世界観そのどれもが一級品。
ただ、それらのレベルがずば抜けていても所詮マンガ。
マンガにおいて最も大事なのは「相性」だと思うので、
どんなにすごくてもツボにハマれなくては意味がない。
だが、このAKIRAは相性が多少悪くても読ませる力がある。
すごい。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2012-02-08 18:42:27] [修正:2012-02-08 18:42:27] [このレビューのURL]
6点 賭博覇王伝 零
ギャンブル漫画の「運」や「流れ」のような運否天賦な要素は一切無く、
どちらかというと論理パズル、推理パズルの謎解き要素が多い。
一つ一つのギャンブルは短めで、テンポ良く読めるので中だるみしない。
一番残念だったのは最後の終わり方
なんじゃそりゃあ
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-03-04 05:49:26] [修正:2012-02-08 01:51:44] [このレビューのURL]
6点 ストロボライト
大学3年の春。小説家を目指すも挫折中の浜崎は、自身が崇拝してやまない
マイナー映画にヒロイン役で出演していた町田と飲み会で偶然
出会う。町田は既に俳優活動を辞めているのだが、浜崎は町田を映画の
ヒロインに重ねて惚れて付き合う事になる。
それを快く思わない浜崎の知り合いで慕っている実和子が
浜崎の好きな映画を発見して・・・
とりあえずあらすじだけ書きましたが、面白さをどう書けば
いいかわからないので、全1巻だし読んでください。
流行の萌え絵に近いが、カケアミやフリーハンドを多様しており
絵から情感が伝わるので気になりません。
全1巻なので映画の方の町田がどう魅力的なのか共感できませんでした。
深いんだか浅いんだかわからんような、でも良作であることは
間違いないかと。
ヒロインが絵も性格も可愛いです。表紙につられました
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-12-31 13:13:41] [修正:2012-02-07 20:36:48] [このレビューのURL]