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7点 サイボーグ009
故・石ノ森章太郎先生のライフワークと呼んで差し支えのない大作。
死の商人グループ「黒い幽霊団」によって世界の各地からさらわれた九人の男女。
新時代の戦闘要員としてサイボーグとされた彼らが自由と平和を求め反乱を起こす。
世界各地で起こる戦争・紛争の影で暗躍する「黒い幽霊団」との果てしない戦いが続く・・・。
前半は「黒い幽霊団」との戦いだったが、後半は神話・伝承へと話がシフトしていったために話が難解になったのが難点か。名シーンはやはり「地下帝国ヨミ編」のラストを挙げざろうえない。
宇宙に飛び去った「黒い幽霊団」を葬るために単身送り込まれた009。そして、009を救出するために宇宙に向けて飛ぶ002は「もう間に合わない」と叫ぶ001に言う。
「間に合わない・・・・かもしれない・・しかし、苦楽を共にした仲間を見捨てるわけにはいかない・・・最後の一秒までチャンスにしがみ付いてやる。そして、その一秒が過ぎたら・・そのときはどうか神よお力添えを。生まれて初めてあなたに祈ります・・・」
スラム育ちの002が生まれて初めて神を信じる瞬間が印象的。
引力圏を脱出した002は009を爆発の中から救いだすが、ロケットの燃料不足から大気圏突入を余儀なくされる。009は自分を見捨てるよに懇願するが、002はそれを拒絶し2人は流れ星となって地球に落ちていく・・・。002は009に聞く「ジョー、君は何処に落ちたい?」
そして地球では2人の姉弟が落ちていく「流れ星」を見ていた・・・・。
姉は流れ星に願いをかける「世界中の人々が争うことなく、平和に暮らせるように」と。
完璧だ・・・。ここで終わっていたら文句の付けようがなかったのだが
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-12-11 17:59:52] [修正:2012-01-03 09:44:19] [このレビューのURL]
8点 まんが道
漫画家を目指す方には必読とも言える藤子先生の自伝的作品。
それにしても、上京して手塚先生に続く形で「トキワ荘」に集まった面々は後の漫画界の重鎮ばかり。
赤塚不二雄と石ノ森章太郎の両先生がコンビを組んでたことがあったなんて、この漫画で知った。
次々と起こる事件も、漫画を中心としながらも「青春ストーリー」として悪くなかった。
プロになった後に原稿を落とされたことがあったんですね・・・藤子先生ですらも。
みんなが売れっ子になって成功・成功ばかり・・・かと思いきや、トキワ荘で仲間たちのリーダーだった「テラさん」こと、寺田ヒロオが不遇なまま終わったというのが・・・何とも・・・。
どうもアシスタントを大量に雇って、大量生産していくという編集側の方式を寺田さんは受け入れられなかったことに端を発するらしい。
商業主義に対する反発・・・・。
「漫画は子供たちに読ませるに正しいものではなくてはいけない」
と考えていたという寺田ヒロオの主張は、決して間違ってはいないと思えるだけに一層、今の世の中にこそその「志」が受け継がれていて欲しいと思えてならない。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-07-31 07:16:01] [修正:2012-01-03 09:39:23] [このレビューのURL]
7点 茶柱倶楽部
ラッキーガールで宝くじが当たって資本ゲット、というすごい乱暴な導入部は置いておいて、さらっとお茶にまつわるいい話が続きつつ、人探しも淡々と進んでいくところがいいと思います。
個人的には菓子や茶葉メインでなく、お茶でお金が取れる店ってあまりなさそうなので興味深いところがありました。
一巻目で話が一段落するので興味がわけばとりあえず一巻だけ読んでみてもいいかと思います。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-10-08 18:25:09] [修正:2012-01-02 21:37:50] [このレビューのURL]
10点 風雲児たち外伝
名作「風雲児たち」の副読本みたいなものか。
故に「風雲児たち」と同様10点差し上げます。
所収された「大谷吉継の謎」は秀逸。
おススメです。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-12-29 15:03:39] [修正:2011-12-29 15:03:39] [このレビューのURL]
7点 孤高の人
1人の孤高の天才登山家を描いた作品で、序盤はマンガらしいマンガだったのが、中盤以降は完全に雰囲気漫画となり、読者の選別が行なわれます。
ハマった読者には至高の作品となったことでしょう。
曽田正人と天才の定義はいっしょですが、こちらの方がリアルです。
とにかく、絵があり得ないくらいに上手いです。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-12-28 21:44:56] [修正:2011-12-28 21:44:56] [このレビューのURL]
人間の価値観は千差万別で十人十色。百人いれば百通りの好みや価値観が存在します。そんな中で、全ての人間の価値観に符合する「誰が読んでも面白い作品」なんてものは、未来永劫、半永久的に存在しえないなんてことは、今更ここで長々と語るまでもなく明白なことです。しかし、そんな人類不変の絶対真理を語っておいてなお、この作品に対する感想を述べさせてもらうと、「この作品は面白いです」。
さすがは荒川先生と言うべきか。農業高校の学校生活なんていう地味なテーマの話でも、実に興味深く、そして分かりやすく、作品のテーマから引き出す事のできる面白さを十二分に伝えられています。
さて、今回レビューを書くにあたって作品全体を見た場合、現段階ではレビューを書くにはまだまだ話そのものが始まったばかり。道半ばという段階です。なので今回は、2巻まで読んだ中で特に印象に残ったエピソードを一つ、紹介するだけに留めておこうかと思います。
そのエピソードとは、1巻134ページから展開される「獣医になる夢を叶えるために必要なものは何か?」という主人公の台詞に対して獣医が答えた言葉。
「殺れるかどうか」です。
例えば「小さくて可愛いペットが大好きだから」なんて理由で将来ペットショップ屋さんになりたいなんて言うのは、それこそ幼稚園児レベルの発想で、そんな志望動機は、実際にペットショップ屋さんが抱える苦悩や葛藤をまるで理解していないからこそ出てくる台詞そのものでしかないわけです。
生物を育てるにしろ、生物を救うにしろ、「命」を養うという事は、同時に「命」を奪うという事もその裏返しとして存在しています。そんな厳然たる事実を置き去りにして、安易で一時的な感情論で物事の指針を判断していると、いつか必ず「命」を扱う仕事が抱える絶対的な問題に直面します。それはつまり「死」です。自分が対象生物の生き死にを扱う覚悟があるのか。その覚悟を受け入れる事が、獣医として(命を扱う仕事として)必要な「資格」であると。そんな事を言いたいシーンなんじゃないかと思います。
普段。私たちの食生活は「命」を感じる事が少なくなってきています。今どきの子供たちは、スーパーの魚の切り身がそのまま海を泳いでいると思っている、なんて笑い話もあるくらいです。しかしそれは、逆に言えば、それだけ「生物=食物」という意識が希薄化していると言う事の証明でもあります。食物が大量生産され、製造工程が機械化されれば、それだけ「命」の存在感が薄れ、消失していく。それが善か悪かの二元論では無く、歴史の必然と言われれば、それは人間の傲慢なんじゃないかと、そんな事をこの作品を通して考えます。
自動化され、流動化される時代の中で、敢えて「生(せい)」を描くこの作品が、今後どのような物語を辿るのか。とても楽しみです。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-12-28 20:44:29] [修正:2011-12-28 20:52:39] [このレビューのURL]
5点 竜の学校は山の上
魔王を倒したその後の勇者と国々は?、人間に滅ぼされた魔王の正体とは?、ケンタウロスや天使、竜などの想像上の生物が現実にいたらどうなる?…九井諒子の現実と虚構を織り交ぜた奇妙で温かい短編集。
えすとえむの作品といい邦訳されたシビルウォーといい、フィクションの世界を現実的に突き詰めて考える、という手法は最近の漫画のちょっとした流行かもしれない。元々ファンタジーの世界が現実世界のメタファーであることは珍しくないけれど、それをさらに強く押し出しているという点でこれらはなかなかに興味深い。
作者の九井諒子は、WEB上や同人誌上で短編を発表し続けてきた人らしい。この短編集もそれらに修正を加えた上でまとめられたものということ。
まだプロとなって日が浅いせいか、漫画の描き方がこなれていない印象を受ける。WEBにアップされている絵や短編の中でも力の入っているカットを見ると、画力はそれなりに高いはず。でも一つの作品としては、バランスが悪くて調和してないように思える。ただ漫画を描くのに慣れていった時に、絵柄の多彩さも含め、すごく楽しみな作家さんであることは間違いない。
様々な短編が収録されている作品だけれど、私が一番気に入っているのはやはり表題作の「竜の学校は山の上」。よく練りこまれた世界観、竜の必要性、そして部長の「世の中にはな、二つのものしかない…」の台詞、希望を感じさせてくれる良い短編だった。
ただ虚構が現実を侵食出来ていた作品は個人的にはこれだけかなぁ。どれも発想はおもしろいのだけれども、詰めがもう少し。特に馬人と猿人の短編「現代神話」は惜しかった。
ただ「現代神話」に関しては、どうもえすとえむのはたらけ!ケンタウロスと無意識に比べてしまった部分があってあまり公正に見れなかった気が…。何で人とケンタウロスが結婚しうるのよ、とかケンタウロスはあの服だと一人で着れないよな、とか細かいリアリティが足りなかったためか物語に入り込めず。
でもこの手の作品はいかにフィクションを現実に押し上げれるかが勝負なわけで、やはり惜しい。明らかにこの短編集は寓話として描かれている作品群だけれど、そのリアリティも示唆するものも私がおもしろいと感じたのは「竜の学校は山の上」くらいだった。
でも寓話って本当に描くの難しい気がする。最近甥っ子に「泣いた赤鬼」を読んであげた時につくづくそう思った(泣いたよ…)。シンプルに、でもシンプルだからこそ寓話というのは大きなものが込められる。でも込め方が上手なのと込められたものが大人の鑑賞に堪えうるかというとそれはまた別の話で。
この作品集は良い寓話になりうる原石がいっぱい詰まっている。まだそれらのほとんどは原石に過ぎないかもしれないけれど、これから先磨かれていったらどうなるかを楽しみにしています。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-12-25 22:29:20] [修正:2011-12-25 22:30:45] [このレビューのURL]
ジャンプ黄金期を支えただけあって凄い作品だと思います。
大魔王を倒して世界を救うという目的を一貫して終了
させて、引き伸ばし感はありませんでしたし。
RPG的王道少年漫画ですが、
勇者ダイが人間じゃないということで、恐れられるシーン、
ラスボスから自分を倒すとさらにそれを受けるという指摘に
反論しなかったシーンなど、少年漫画的じゃないブラックな要素
もあって印象に残りました(ダイの最後も)。
ストーリーの組み立てが上手く、なかなか飽きさせません。
伏線もミストバーン、キルバーン辺りに驚くものもありました。
脇キャラからもう一人の主役と言ってもいいくらい成長を遂げる
ポップやラスボスとしての風格、大義を維持し続けて、最後の最後
まで小物化しなかったバーンなどキャラ達の魅力も上手く描かれています。
画力は少し古いですけど、それでも今でも読めるくらい十分な高さはあります。
欠点はヴェルザー関連をそのままにして終えたことと、
あれだけ死んだと思われてた唐突にも見えるアバン先生の実は
生きていた展開くらいでしょうか。
それでもメッセージ性も強く高く評価したい作品です。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-12-14 01:47:02] [修正:2011-12-25 02:06:20] [このレビューのURL]
10点 僕といっしょ
私の中では不朽の名作。
その完成度は他の追随を許さない。
これ以上の作品に今後出会えるのだろうか。
根底に流れるのは重く、辛く、悲しいストーリーだけど、それを稲中より培かわれた抜群のユーモアセンスで絶妙に中和している。
悲惨な境遇に振り回されながらも、たくましく、明るく生きる主人公たちには本当に勇気付けられた。
最後の「お前がイトキンを殴るなー!!」は、心に残る名シーン。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-12-19 23:53:04] [修正:2011-12-19 23:53:04] [このレビューのURL]
10点 寄生獣
構成が素晴らしいです。読み終えた時に改めて「あ、これ面白い」って思う。そして、人間ってなんなの?といろいろ考えさせられる、なぜかそのように感じる仕掛けになってます。また、読んでる時のドキドキ感は何とも言えないものがありますね。んーこれは読まないと分かんない気がする。ぜひ読んでほしいと思う作品。
いろいろ考えて10点
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-12-03 19:07:51] [修正:2011-12-17 01:11:51] [このレビューのURL]