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 色んな意味ですごくだらだらした漫画。私が初めてこれを読んだのは高校生の頃だったと思うのだけれど、相も変わらず遅々とした刊行ペース。そして当初から一貫した生ぬるさ。

 主人公の男とヒロイン二人の関係性を軸に、その周囲のごたごたやら何やらが描かれていく。

 読んでいて感じるのは、とにかくモラトリアムな雰囲気。ただ別にこの漫画の舞台は大学というわけじゃない。榀子は教師として働いている。当初はフリーターだったリクオは就職することになるし、ハルだって喫茶店でバイトしている。社会的には誰もがもがいて頑張っているわけで…。
 なのにこの漫画から成長を拒否するようなモラトリアムを感じてしまうというのは、恐らく3人の関係性に大した変化がないということに尽きる。少なくない巻数にも関わらず、変わっていくのは周囲の人間だけなのだ。3人の三角関係自体は、崩れそうで絶対に崩れない。

 で、それには正直かなり違和感があったりもする。現実の時間が流れる社会の中に、漫画的な時の止まった恋愛関係を放り込んでいるのだから。この関係性のまま、もし後10年が経過したらどうか…と考えてみるとこの世界観の歪さがよく分かる。
 ただここらへんは作者も自覚的だとは思うんだよなぁ。時折「何にも変わってはいないんじゃないか…」みたいな独白が挟まれたりすることもあるわけで。でも時の止まった関係性をどう動かすかというのは作者自身も見えていないんじゃないか。というか終わらせることを志向していないし、読者の方も望んでいない気はする。

 だってやっぱりひたすら変化を拒むようなこの歪な関係性は何となく心地よいからだ。どことなく後ろ向きな心地よさではあるけれども、このだらだらに浸っていたくなる時間というのはある。

 しかし上でも書いたように、もし作中の時間で10年が経過してしまったらそれはさすがに歪すぎるということで、どこかで時の止まった恋愛関係を動かさなければいけないんだろう。いくら先延ばしにしても結局やらなければならなくなるというのは、いかにもモラトリアム的だよなぁ。
 ということで、その時が動かされる瞬間がいつか見れることを期待してこれからも読み続けていくつもり。別に急がなくてもいいのだけれど。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-09-08 02:25:45] [修正:2012-07-27 22:11:55] [このレビューのURL]

漫画としては甘すぎる。

でもなぜかはまってしまう。
所々光る部分もあり、キャラが魅力的で
普通に面白い。
一貫した漫画と考えなければ楽しめると思う。

最新巻が急展開でかなり面白く
次巻が待ち遠しい。



ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-07-25 23:20:24] [修正:2012-07-25 23:20:24] [このレビューのURL]

10点 ARMS

このサイトを見て全巻買ったがそこまで期待してなかった。
しかし予想をはるかに超える面白さだった。

戦闘はおもしろいし、それぞれのキャラも生かされていて
感情移入できる。化学的設定も細かく、俺好みで
この世界観にはまることができた。矛盾点もほとんど見つからない。

特に秀逸なのは、ページをめくったときの意外性だ。
驚くシーンが多々あり、すごく楽しめた。

ニューヨーク編以降がおもしろくないと聞いて読んでいたが、
どこからのことを言っているかわからないほどおもしろかった。

人の顔が怖いと思うことが何度かあったが、
それを差し引いても10点をつけられる。

合う合わないはあると思う。しかし似た系統の
ハガレンよりは少なくともおもしろかった。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-07-25 20:32:20] [修正:2012-07-25 20:32:20] [このレビューのURL]

いろいろとうまくいかない、10代女子を中心としたオムニバスショート
基本的に
 ちょっと変わったコミュニケーションをとる女の子の日常が最後まで続く
のだけどなかには
 ちょっと変わったコミュニケーションをとる女の子の日常が続くと思いきや最後にどんでん返しをくらう
という爆弾が混じっている

とくに後者のパターンのオチがこの作品の魅力。
軽く笑い飛ばせるものだけでなくちょっとゾッとするものもあり、
こういうところは少年誌のレベルを超えているような印象。
そして作者が数ページでできることを心得てるというか。
最後のページを開くまで物語がどう転ぶか分からない。

圧倒的に後者のほうが面白いわけだけど
それは前者のような"べつに心がざわつくわけでもない"話があって初めてそのなかで光るから
週刊連載の結果かもしれないけど単に奇を衒ったような話ばっかりではなく
ありがちな話もこの人なりの描き方で挟んでくるのはアリ。

際立った我を持ついかにも人間的な登場人物たちは(萌え絵も相まって)
もれなく全員好きになってしまう。
ただ、"強がる女子"がワンパターンな気もする。
そういうキャラが作品の特徴でもあるんだろうけど。


新人だとか1巻は発売翌日に重版しただとかチャンピオンの懐の深さだとか
なんだか色々言われているけどまあ一度読まないことには。
一話ごと読みきりのはずなので本誌で試し読みするのが良いかも。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-07-21 16:49:36] [修正:2012-07-21 16:49:36] [このレビューのURL]

実に漫画らしい漫画のオンパレードである。
収録作全般にテンポもよく、ありきたりなようでいて読者を牽引する強烈な勢いと
無理やり世界に引き込んでしまう妙な力がある。
さらっと読んでさっくり素直に楽しめる一品。

氏の原点と呼んで過言ではないほどに、作家としての特色が濃縮されているように思う。
是非一度手にとってみてもらいたい。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-07-18 23:20:28] [修正:2012-07-18 23:21:15] [このレビューのURL]

登場人物全般に妙な"生っぽさ"が漂う変わった漫画。

人が生きている、ということはどういうことなのかといった思考実験のようでもあるが、
娯楽を基本としたいであろう作者の意図も端々に見え隠れし、なんとも複雑な作品である。

読み手は選ぶと思われるが、この絶妙なライブ感と時折漫画のキャラであることを思い出させる
虚構の狭間にある独特の空気感が大変に面白い。
作画もこざっぱりと綺麗にまとまった線で読みやすく、
反面演出からセリフ回しまで周到な計算高さも感じる。が、実に嫌味がない。
類稀な客観的俯瞰視点をもったリアリストに思える。

キャラクターの表情の豊かさとは裏腹に さぁ笑え、さぁ泣け といった
誇張された露骨なエンターテイメント性が最重要視された漫画ではない。
初期にはそういった部分も散見されるが、はっきりいってこの人は
そういうどストレートな作風の漫画書いてもたいして面白くないと思われる。

まぁ、読み解くとかテーマとか意味考えるとかめんどくさい、簡潔に感動したい笑いたい
という分かり易さを重視する人には激しくおすすめしない。
他にいくらでも良作はある。

ごく個人的には今後も追いかけていきたい漫画家の一人。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-07-18 19:14:13] [修正:2012-07-18 22:56:26] [このレビューのURL]

完結しています。全巻読みました。

もはや語るまでもない名作中の名作。
子供の頃から枕元に全巻置いて数え切れないぐらい通しで読んだ自分にとっての人生のバイブル的な漫画。
この漫画に10点をつけなかったら、他のどの作品にも10点は付けられない。
10点ッ つけずにはいられないッッ! というテンションで10点です。

何度も読んでますが、何度読んでも面白い。というか一回通しで読んだ程度ではこの作品の本当の良さは分からないでしょう。
また、一回目よりも2回目、3回目読んだ時の方が面白いという珍しい漫画でもあります。

最近でも世の中ではまた何度目かのブームが来てますが、少年漫画の金字塔的な作品でも、ここまで長年話題に上り続ける作品は他にありません。
世の中の作品に対する認知度はドラゴンボールやスラムダンクの方が上だと思いますが、ディープなファンの多い漫画としては、ジョジョを上回る作品は無いような気がします。
この作品を一番に挙げるような読者は、きっと他の漫画では考えられないくらい何度も読み、その度に面白さを痛感しているのだと思います。分かりますその気持ち。もはや愛ですね。

ストーリーもキャラクターもバトルも全てが面白く、深く、熱いのですが、敢えてココがすごいというのを挙げるなら、「心理戦」だと思います。
3部のVSダービー兄、4部のVSじゃんけん小僧など、肉弾戦の無い心理戦のみのバトル展開で、あそこまでクオリティの高いバトルを描けるところが素晴らしい。
じゃんけん小僧とか、あんなに息の詰まるような迫力のあるじゃんけんは、後にも先にも荒木先生以外には表現できないでしょう。

初めて読む方は3部か4部あたりから読むと入り易いと思います。
絵が苦手という方も多いのではないかと思いますが、不思議と読んでる間に絵も好きになりますので大丈夫です。万が一、読んだけど絵がダメだとおっしゃる方がいるのなら、その方のセンスがダサいので諦めましょう。

個人的には第五部が一番好きです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-04-16 15:26:23] [修正:2012-07-11 13:59:19] [このレビューのURL]

 夢野久作×丸尾末広ですよ…! 恐らく乱歩と並んでこのタッグを待ち望んでいた人も多いはず。後は泉鏡花なんてどうでしょうか丸尾先生。

 本作は表題作である夢野久作の「瓶詰の地獄」以下4作が収録された丸尾末広の作品集。

 瓶詰の地獄は夢野久作の少なくはない短編の中でもベストオブベストの一つに挙げられると思う。事故により天国のような無人島に流れ着いた兄妹の禁忌と苦悩が3つの書簡を通して描かれていく。
 これはもうさすが丸尾末広という素晴らしさ。幸福な楽園であった島。しかし唯一の秩序であった聖書を信ずる心が内から芽生えた禁忌によって脅かされた瞬間、そこは地獄に変転する。丸尾末広はどこまでも美しく、どこまでも狂おしく内から楽園が崩壊していく様を象徴的に描ききる。圧倒的なビジュアルイメージにくらくら。

 瓶詰の地獄をより印象的な作品としているのが、色んな解釈の幅が残されていることに加えて、作中にいくらかの矛盾点が見られるというのがあって…。それらも突き詰めて考えていくと想像の地平にはキリがなくて、でもだからこそ掌編とは思えないほどこの作品は味わい深い。一つだけ文句があるとすれば、このコミカライズでは丸尾末広の解釈で新たな瓶詰の地獄の世界を読みたかった。再現性でいえばこれ以上のものはないだろうけれど、最後に読者にぶん投げてお茶を濁すのはどうだろうと思わないでもなかったり。

 一転してコミカルな「聖アントワーヌの誘惑」。こちらは絵は楽しいものの、今ひとつ自分の中のおもしろさにリンクせず。笑わせにきてるのかがあんまり確信できないままふわふわしてる感じというか。別に愉快でもないしなぁ。
 
 落語を原作としたとことん皮肉な諧謔に満ちた「黄金餅」。こちらはけっこうアレンジされているのだけれど、秀逸。落語の方は、善良な一般人ですらも金を手にするためならこうまでやるか…というものだったのに対して、丸尾版の登場人物はみんなストレートに強欲。そして強欲が強欲にどんどん食われていくその様。どうしても逃れられない人間の強欲さという業を強烈に感じるのは変わらない。

 とことんアンハッピーな「かわいそうな姉」。エドワード・ゴーリーの「不幸な子供」を意識しているのかと思うのだけれど、どうだろう。ゴーリーのような何かもう笑ってしまう程の芸術的な小気味よさで語られる不幸のオンパレードというわけではなくて、情念がこもってるだけにひたすら後味が悪い。難しいなぁ…あんまり好みではないかも。

 しかし時代時代の文化や風俗を一つのコマの中にさりげなく落とし込んで独自の世界を作ってしまえる丸尾末広はやっぱりすごい。話はそれぞれ好みが分かれるかもしれないけれど、絵を眺めるだけでも満足だったり。瓶詰の地獄や黄金餅は特にお気に入りです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-07-10 23:32:20] [修正:2012-07-10 23:32:20] [このレビューのURL]

やだもうこの人、色々こじらせ過ぎ!
容姿端麗、頭脳明晰、モテル仕草もバッチリ備えている関根くん。
なのに中身が色々残念すぎて、読んでいてハラハラと楽しめました。
関根くんの描写が上手すぎます。

ややこしい関根くんの内面にどんどん色々な指摘をして切り込んで
いくサラちゃん。それに動揺してわけ分からない行動をとってしまう
関根くん。二人の微妙な関係もたまりません。

1年で1冊ペースなのが残念。
とりあえず3巻まで読んで7点。
久々に先が楽しみな恋愛漫画です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-07-10 02:11:59] [修正:2012-07-10 02:11:59] [このレビューのURL]

リアルな日常、友情、恋愛、恐怖
巻数は少ないが内容はとても充実していて濃い。
読んでいてここまで展開にドキドキさせられるマンガはそう無い。
特に緊迫するシーンでは空気が張り詰めてしまう。
リアルな緊迫感と恐怖とニヤニヤしてしまうような展開を楽しむ作品。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-07-01 01:21:00] [修正:2012-07-01 01:21:00] [このレビューのURL]

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