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5点 螺旋じかけの海
人間以外のDNAを持った人間が劣った人種として現れる。
時間の経過とともに、症状が進行すれば法律により、
人外種として扱われ、人権を失う。
その境界で人々が苦悩するお話です。
遺伝子研究が進んだ現代だからこそ生まれる新しい分野の
哲学って感じです。
タブーなのかもしれないけれど、誤解を恐れずに言えば、
現代社会における障がい者に置き換えて、人間社会を
俯瞰する手引書なのかもしれません。
作者は、お医者さんだそうです。
医学知識のベースがあるので、リアルな近未来の想像ができたのでしょうか。
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[投稿:2023-03-17 08:29:45] [修正:2023-03-17 08:29:45] [このレビューのURL]
8点 応天の門
平安朝時代の京都を舞台に巻き起こる怪奇事件と権力闘争が
メインテーマです。
在原業平と菅原道真がなかなかの名コンビぶりを見せます。
事件は鬼や物の怪などが原因とされますが、真相は人間たち
によるもの、道真の才覚によって科学的に解明されるので、
ちょっとした金田一少年のような名推理で活躍します。
事件の背景には、朝廷で勢力争いを繰り広げていた
藤原氏や伴氏といった有力貴族の暗躍もあって、
政治的な駆け引きも見ごたえがあります。
何といっても、ヤング道真のクールな眼差し、政治や
出世には距離を置き、将来は遣唐使になりたいという
現実逃避型の価値観で人間臭さを見せます。
一方、業平ら周辺の人間は、道真の才覚を認めつつ、
その才覚を公平公正な世の中のため、ひいては逃避したい
社会を変えるために活かすには、権力を持たねばならない
と緩く諭します。
才ある者の若いゆえの悩みがなんとも言えません。
単行本には、本郷和人氏による平安時代の文化・風俗に
関する解説文が織り込まれており、これも何とも
言えず格調高い作品にしています。
15巻まで面白く読ませてもらいました。
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[投稿:2023-03-14 08:32:04] [修正:2023-03-14 08:32:04] [このレビューのURL]
8点 黄泉のツガイ
この人の描く漫画はやっぱり自分に馴染む。
まだまだ物語は序盤だが、さすが偉大な実績を残してきたベテランだけあって、話と設定とキャラの肉付けの上手さから読者にとって面白い漫画とは何なのか、どう言う漫画が人を惹きつけてどうやって読者を食い付かせるかをしっかりと理解してるのがプロじゃない自分でも伝わって来る。
今後の展開次第で評価が変わるかも知れないが、現時点では間違いなく面白い。
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[投稿:2023-03-13 19:35:25] [修正:2023-03-13 22:07:41] [このレビューのURL]
刑務所内の話となると、独特の文化、ルールに目が奪われ、
受刑者の生い立ちや人生模様に焦点が合いがちです。
しかし、ここでは参考文献などをよく調査しており、
受刑者に心情的に偏るでもなく、極めて中立的な
視点が維持されていました。
一気に6巻を読ませる迫力がありましたね。
6巻の中でテーマは3つ。
一つは妊婦の受刑者の葛藤。
一つは若き女性刑務官と受刑者の対立。
主人公ムショ医自身の家庭内事情、生い立ちと苦悩。
よくまとめられており、なるほど続編が描きたくなるでしょうね。
ただし、作風、絵柄は元夫の佐藤秀峰氏に類似しています。
どちらがどちらに影響を与えたのか詮索はしませんが、
次の作品が難しいかもです。
まあ、面白いんで、二人で別々に頑張れば良いのですが。
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[投稿:2023-03-09 16:46:47] [修正:2023-03-09 16:46:47] [このレビューのURL]