「」さんのページ
10点 子連れ狼
全403話28巻の長編である。長編ではあるが、無駄に長くはない。
武士道を語り、時代の理不尽さを語り、親子を語るには
6年の時間と403話の労力が必要だったのである。
本作品をはじめ、小池一夫と小島剛夕による漫画作品は、
エンターテイメントとしていかに優れているか、万遍の
言葉を尽くしても足りない。
本作は、その中でも頂点に立つ最高傑作である。
小池一夫が愛した「もののふの道」は、間違いなく美しく正しい。
現代の多くの人々に支持されながらも、その生き方は
尋常ならざる確信がなければ貫けない。
しかし、それを貫き通す美しい境地は、かくあるべしと、
小池が分かりやすく説明してくれているかのようだ。
紆余曲折の末、いかに最終話を迎えるのかと思うと、
途中で投げ出せなくなる面白さも備えている。
はたして、最終話は最高のエンディングである。
いろんな思いが綜する最終話だと感じ入った。
海外でもリメイクされた作品が紹介されているようだが、
肝心の日本では小池の残した作品群が古めかしく過去のものと
いう扱いがされているようで残念である。
是非、心ある日本男子には一読をお願いしたいと思うばかりである。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2023-08-13 09:00:29] [修正:2023-08-13 09:00:29] [このレビューのURL]
7点 江戸前エルフ
当たり前と言えば当たり前のことなのかもしれませんが、どんなに面白い作品でも万人にそれを知らせるような宣伝活動を行なわなければ、誰にも知られることの無いままひっそりとその姿を消してしまうわけで、だとしたら、昨今のアニメ作品数の増加も企業側による宣伝活動の一環として見るならば、ある意味では効果的と言えなくもないと、そんなことを思います。
さてこの作品。自分も正直、この作品がアニメ化されていなかったら一生その存在を知らないままだったと思います。
おそらくもっとメジャーな、いわゆる四大漫画雑誌などで掲載されていたら、今の何倍も人気になっていたんじゃないかと思いますし、そう考えると、本当に、「面白い漫画」ってのは一体何なんだろうなとそんなことを思います。
今にして思えば、90年代にジャンプで掲載されていた作品群も「ジャンプに掲載されていたから(メジャー雑誌で多くの人の目に付く機会があったから)」より多くの人にそのタイトルを知られて「売れる」作品になっていったわけで、だとしたら、もちろんその一方でマイナー雑誌に掲載されていたが故に、本当は面白かったにもかかわらず人目に付くことのないままひっそりと連載を終了してしまった作品も無数にあっただろうなと、そんなことを考えます。
と、ノスタルジーな文章はここまでにしておいて、肝心のレビューですが、こういう日常ものは「感性の相性」だと思っているので、正直自分が面白いといって相手も面白いと感じるかは分かりません。自分が着たい服を選ぶときと似たような感覚だと思います。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2023-08-12 21:08:33] [修正:2023-08-12 21:08:33] [このレビューのURL]
6点 カワイスギクライシス
この作品の何が面白いの? と聞かれても困るんですけど、例えば犬派の人が猫派の人に「猫のどこがいいの?」と聞くこと自体愚問だと思いますし、逆に猫派の人が犬派の人に「犬のどこがいいの?」と聞くこと自体も愚問な気がするというか、要するに、「好きなものは好き」としか言いようがない気がします。
とにかくファーストインプレッションの勝負で、1巻最初の数ページで合うか合わないかの勝負がはっきり決まる作品だと思います。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2023-08-12 21:07:51] [修正:2023-08-12 21:07:51] [このレビューのURL]
4点 真湖のワイン
テーマが、ワイン醸造、父の夢を継承、悪役の叔父が事業を
妨害、腕は立つが偏屈な青年の手腕にかかるワイン・・・。
あまりにも定番過ぎて、先読みができてしまう。
「夏子の酒」以来の同じ系譜と言えば聞こえが良いが、
二番煎じどころか五番くらい。
直球だけの展開に変化球を交えてほしいところでしたが、
使い古されたワインをテーマにした時点で無理かな。
企画段階での失敗を感じてしまう作品でした。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2023-08-06 05:30:11] [修正:2023-08-06 05:30:11] [このレビューのURL]