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7点 7SEEDS
大河SFサバイバル物語。
人類が絶滅した未来で、人類の再生を託された若者たちが、過酷な環境を生き抜く漫画。
時々で主人公の視点が切り替わる群像劇の形式で、傷つけあい、助け合う仲間を描く。
まず、これほど長大な物語をダレずに着実に書き続けることがすごい。
物語、漫画表現、いずれにも手抜きがない。
個人的には、セカイ系の作品群の最後に位置する作品だと思う。
1)主人公たちの関係性が世界や社会の運命と直結。
(学校→村→街→国のような中間集団がない。)
2)成長や多様性を促す時間的、空間的な広がりがない。
(親がいない、自分より若い者がいない、他所の人がいない)
というセカイ系の条件を、この作品は徹底的に満たしている。
セカイ系作品群がこのような条件を持つのは、他者が怖い、成熟が信じられない、故に自分以外を見たくない欲望の表れだが、
7SEEDSでは問題をその先に進めている。
親たちはみな死んだ。自分たちより若い者はまだ生まれていない。
ここ以外に人はいない。自分たちとセカイしかない、という環境に若者が置かれたとき、
彼らは人間らしく生きられるか?という問題設定。
そして答えはイエス。
いかなる時も知恵と勇気を持ち寄って彼らは生き延びようとする。
最終的に人類の再生が叶っても叶わなくても、彼らの尊さは損なわれない。
というような作品だと思う。
2015年現在、もはやセカイ系作品は商業的には旬を過ぎている。
余計な心配だが読者の高齢化も進むので、そろそろまとめに入ったほうが良いのではなかろうか。
田村由美の他にこんな漫画を描く人はちょっといないという意味で9点。
絵柄は古臭いし、大ゴマで無理やり押し切っているところもある。
また、序盤、中盤の説明的な展開もしんどいと言えばしんどい。
だが、我慢して読むだけの価値はあるので、苦手な人も頑張ってみてほしい。
35巻で完結。
途中ですったもんだした割に最後は順調だった。
敵だった奴も味方になり一致団結してそれぞれがベストを尽くしたので
誰一人欠けることなく生還できましたねこれからも頑張っていこうねエンド。
お約束の大団円そのものは悪くないが時間をかけすぎた。
せっかく天変地異が起こっているのに、各キャラに見せ場をつくろうとしすぎて展開が遅く読者としては退屈。
最後で大きな減点がついたものの壮大な物語をしっかり描き切ったのは立派。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2015-11-01 03:24:41] [修正:2017-08-25 14:51:23] [このレビューのURL]
5点 オニデレ
ミヅキとモモが邪魔だったな。
モモに至っては何のためにこのキャラ造ったの?と思えるほど必要ない。
正のツッコミが冴える回は面白いけど、そうじゃない回はつまらない。
意外とサキが出張る回が面白かったことも鑑みるとこの評価。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2017-08-22 08:42:28] [修正:2017-08-22 08:42:28] [このレビューのURL]
9点 G戦場ヘヴンズドア
この漫画を文章でレビューすることは難しい。
本質的な意味で漫画や映画などの創作物を愛する人間の思いや精神が、隅々まで表現されているという、まるで白昼夢のような作品である。
自分が漠然と感じた気持ちが、漫画として可視化されていることに、形容しがたい魅力を感じる。
もはや優しい精神攻撃である。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2017-08-11 22:36:15] [修正:2017-08-11 22:36:15] [このレビューのURL]
6点 アイアンバディ
題材として面白いロボットエンジニア漫画。現在のロボット技術と空想で昔から描かれて来たロボットに追いつけない現実(ここは自分の中でもずっとあった疑問)を技術や経営の観点双方から掘り下げているのは良かったです。作者のロボット愛は感じるし、モーニング掲載らしい空気感も悪くなかったのですが、画力・キャラ・熱さ・感動など総合的に物足りない、地味という部分は否めず。
第一章完という感じで打ち切り臭もありますが、ちゃんと話をそこまではまとめていますし、出来れば続きが読みたかったなとは素直に思える佳作でした。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2017-08-05 21:52:30] [修正:2017-08-10 23:23:26] [このレビューのURL]
6点 エマは星の夢を見る
ミシュランの星を付ける調査員のお話。
このコンセプトだけで既に面白いよね。だって誰もが気になるところでしょう。世界各国の数ある名店をどうやって評価するのか。
もちろんこのお話はフィクションですので、どこまでが事実に基づいているのかはわかりません。それでもこのテーマを選んだ高浜さんに脱帽ですし、逆に今までなんでなかったのだろう、とも思います。
世界各国の店を回るわけですし、もちろん評価するのは自分たち側なので、最初からおいしい店ですよーとわかっているものではありません。自分の好きじゃない味付けかもしれません。
そんな数々の店を一日何件と回るわけで、ほとんど出歩いているような仕事。
色々困難があるだろうな、でもおいしいものに出会ったときはやっぱり感動するだろうな。
そんなテーマ一つで心をつかまれるいい漫画です。あ、もちろん中身も面白いんですよ(笑
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2017-08-03 09:41:20] [修正:2017-08-03 09:41:20] [このレビューのURL]
夫婦(途中から家族)生活を綴ったエッセイ作品という形を取りながら、
独特且つ偏った視点で各業界にメスを入れる、作者のチラシ裏主張も半分の割合で込められている、一風変わった作品。
若手芸人や2世タレントに対する恨みつらみ、
若者の性や同世代の才能に対する激しいコンプレックス、
漫画業界の裏話や、自身の将来に対する不安を鬱々と綴る等、、、
これらの後ろ向きなテーマと、「ほのぼの妻可愛い?」テーマの共存。
「こっちは好きだけどこっちはちょっと…」と、完全に読み手を分けてしまってる感は否めませんが、私はいいバランスで読んでいます。
中には、
野球中継において、「こんなにカメラや映像機器が最先端になっているのに、何で未だにストライクかボールかの判断が審判のさじ加減なの?」とか、
格闘技中継において、「目尻のカットや金的で試合中断すると冷めるから、こういう器具を作ってほしい」とか、
2ちゃんねるのまとめサイトを読んでる様な持論も展開されます。
「歯磨き粉のベストな捻出方法」や、「袋スナックはこう開けれる様にしてほしい」といった、クソどうでもいい持論も、楽しく読ませてもらっています。笑
深く考えずほのぼの漫画を読みたいという方には、持論パートのアクが強く感じると思います。
なので基本的には、ひねくれてて、ネガティヴな思考共感者の方にお薦めする漫画です。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2017-07-31 20:13:05] [修正:2017-07-31 20:13:05] [このレビューのURL]
7点 デカスロン
山田芳裕先生の作品の中では、一番好きです。
他に例が無い10種競技を題材にしており、エンタメ性が高く、いい意味でぶっ飛んでいます。
ラストは何故か一夫多妻制の部族の族長になってる辺りも、この作家らしいぶっ飛び具合です。笑
序盤は「よく知らんけど10種競技ってすげーなぁ」から始まり、
中盤から本作者の真骨頂であるテンション・表現力・演出力が発揮されてきます。
主人公の強さは、おそらくかなりご都合主義です。
中盤、確かにトレーニング編はあったけど、ここまでの強さの根拠には乏しい気がします。
(多分、福満しげゆきが認めないパターン。笑)
勢いや凄みで解決させる展開はジョジョを彷彿させますが、
冒頭で言った様に、エンターテイメントとしての面白さは見事。
主人公を本物の馬鹿に設定する辺り、本作者らしいです。
生命を削りながら限界を超えて戦うハングリーなアスリート、
ワンショットワンキルの生き様を貫く孤高の野生アスリート、
勝利の為に喜怒哀楽全てをコントロールして勝ち続ける完璧絶対王者、
それらアスリートの偉大な哲学を崩したのが、
主人公のブレブレな本能と煩悩という点に、ある種の真理を感じました。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2017-07-31 20:08:00] [修正:2017-07-31 20:08:25] [このレビューのURL]
5点 三国志
言わずもがな、学校の図書館にも置かれる、後世に残すべくクラシック作品。
…というのが一般的な認識なのでしょうし、リスペクトも込めてはいます。
しかし、読破するに多大なエネルギーを要し、疲労感の激しい作品でした。
前提として、学生の時、この手の学習から逃げ、三国志に関する興味や知識がほぼゼロの状態で読んだ者の感想です。
どうせなら読むことで三国志に興味を持てればなぁという思いもありました。
その上で、いつもレビューがダラダラ長くなってしまうので、今回は感じた事を端的に、箇条書きで列挙します。
・1巻の、物語が始まろうとする段階が一番ワクワクした。
・劉備、関羽、張飛、諸葛亮孔明、呂布といった主要キャラは良かった。
・趙雲が最も信じれる男!
・しかし、それ以外のキャラは印象が無く、読んで半年で名前も性格も思い出せない。
・特に最初の劉備、関羽、張飛等の主役級キャラが次々と死んでいった、50巻以降くらいは読むのが苦痛で、キャラもストーリーも何も頭に入ってこず、「はぁ。。あと残り2冊…、あと1冊…。読み終えた―!」という感じ。
・子供の時に読んだら面白かったかもだけど、色んな漫画を経た上で読むと展開も既視感があり、迫力も無いなぁ。
・そして未だに三国志の概要を理解出来ていない自分がいる。
という事で結論は、
「三国志にまったく興味は無く、漫画好きとして通っておかなくては」くらいの温度の方にはお薦めしにくいです。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2017-07-31 20:03:08] [修正:2017-07-31 20:03:08] [このレビューのURL]
7点 マイボーイ
好きな作家さんの一人であり、毎回テーマに対する真面目で丁寧な姿勢が伺えるだけに、
前作「からん」に続き、2連続打ち切りが非常に残念。
個人的にボクシングが好きなのですが、地味でも技術的・科学的に真面目にボクシングを描いた作品は、本作品と新井英樹の「SUGAR」シリーズくらいじゃないでしょうか。
少なからず一定の評価を受けている作家だとは思えますが、
本作は少し構成が悪かった様に思えます。
心理描写を描くのが秀逸なだけあり、
ジムメイトのキャラクターの過去を掘り下げる場面は読み応えが十分あるのですが、
少し気を抜くと「あれ?これ、何漫画?」と思うくらい、脱線を感じる事もありました。
最終回も、無理矢理綺麗に畳める気はサラサラ無く、中途半端上等という潔さでしたね。
知識の幅が広く、表現力や文章力に、心理描写に長けており、良い作家だと思いますが、
この作家に少しでも気になられた方は、「からん」から読まれる事をお薦めします。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2017-07-31 20:00:54] [修正:2017-07-31 20:00:54] [このレビューのURL]
確かに面白いし、冨樫義博の他の漫画家を超越したセンスや技術が遺憾なく発揮された傑作である。
しかし、その特異なセンスと連載ペースが相まって、テンポが悪く、勢いで読ませる痛快さや娯楽性に欠ける。
鉄は熱い内に打てではないが、読者の心が熱くたぎっている状態で畳みかけないと到達できない、刹那的な面白味みたいなものがあると思う。そして、この漫画ではそれが味わえないような気がする。
そういう点では個人的に、ハンターハンターより幽遊白書を推したい。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2017-07-28 10:14:53] [修正:2017-07-28 10:16:25] [このレビューのURL]