「朔太」さんのページ

総レビュー数: 833レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

[ネタバレあり]

8年にわたる連載にも関わらず、相当の構成力で企画されており、
読み返すたびに細部の隠し味に舌を巻く思いである。
様々な説明不足の謎が捨て置かれていて、一見、雑なつくりに見えるが、
これは読者の解釈に任せられているのであって、これを面白がるかどうかは、
読者の胆力次第である。

少し特徴を以下に書く下すと、
・登場人物が多いけれど、再出した時には結構重要な役回りをしている。
・主なキャストには、性格付けをするための副ストーリーが存在する。
 例えば、オッチョ。タイでのショーグンとしての活躍や刑務所暮らし。
 無くても良い話だが、それだけでも独立した話ができる位、入れ込んだ
 描き方をする。これは本筋を追うだけの人には辛いだろう。
・”ともだち”は嘘の塊と断じながら、全体に予知力や念力の存在を示唆している

 等々、胆力の弱い読者を振り落としていく身勝手な”浦沢ワールド”だが、
それも結構と多くのファンは割り切っているのではないか?

追記:2016年5月 21世紀少年を含めて、3回目の読み直しをしてみた。
改めて、浦沢氏の構成力に驚嘆する。ストーリーに一切の破たんはない。
全ての謎は説明できている。特に素晴らしいのは、ケンジの姉の一連の行動の謎は説明され、
カンナの超能力すら持つにいたる理由が軽く説明されていた。
ともだちの正体に焦点が合わされがちだが、存在を消去してしまう少年たちの残酷さ
がかくも壮大な復讐劇につながったと解釈できるだろう。
文字通り何度も読み返してしまう名作と呼んでも異論はないだろう。

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[投稿:2011-09-13 20:58:27] [修正:2016-05-06 22:29:27] [このレビューのURL]

乱暴者の悪魔メフィストに対して、神さまは学者のファウストを地獄へひっぱりこんでみろと
命じる。一方ファウストは、いくら勉強しても満足できない学問の奥深さに絶望しており、
そこへ現われた悪魔メフィストと「自分を満足させてくれたら地獄へ行く」という契約を
結んでしまう。 メフィストは魔法でファウストを若者に戻し、街へと飛び出すというお話だ。

手塚治虫21歳の作品。ディズニーの影響を受けたと思えるような構図や
ミュージカル風セリフ回しなど、古典的漫画手法から一歩抜け出した創世期作風である。
考えてみれば太平洋戦争終結から5年後の発表作品であり、不十分な物資や劣悪な環境下での
執念とも言える長作である。
少年期に読み込んだゲーテの戯曲「ファウスト」をマンガ化した作品であり、
相当の思い入れがあったものと思われる。

現代のアニメや漫画に比べると、娯楽性の点で比べるべくもないが、
漫画史における貴重な遺産と言える。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-05-06 08:19:15] [修正:2016-05-06 08:19:15] [このレビューのURL]

事件簿という題名に騙されて読んでみると、まさに三流テレビドラマの焼き直しでした。
事件と言っても、
1)偶然入院先で出会った女性の彼が、保険金目当ての結婚詐欺で殺人を計画中だとか、
2)道の傍らで苦しむ老人を助けたら、その愛犬に気に入られて家までついていくと、
実は資産家で、その資産を巡って家族はバラバラで骨肉の争いだとか、
3)自分が生んだ双子の一人が誘拐されるが、犯人は愛息を1年前に失った女性が神経症で
おこしたこと、
なんてどこかで見聞きしたようなネタばかりです。
30年も経ってない作品なのに、古典的な幼稚な話の構成に、途中でギブアップ
してしまいました。
最近の作品まで目を通さず申し訳ないのですが、2度と手にすることはないでしょう。


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[投稿:2016-05-05 18:13:57] [修正:2016-05-05 18:15:27] [このレビューのURL]

演劇の世界の異常なまでのストイックさや人間関係の特殊性は、
文学や伝聞でよく伝えられるところです。
演劇世界の特殊性もさることながら、俳優キララの奔放だが、
天才肌の人物像が魅力です。
講談社漫画賞も受賞しており、やや玄人好みのテイストです。
が、私のような平均的読者には、強い感動はありませんでした。
かわぐちかいじの中期作品。

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[投稿:2016-05-03 16:24:03] [修正:2016-05-03 16:24:03] [このレビューのURL]

4点 陰陽師

極めて難解。
安部晴明と博雅の掛け合いを楽しむ分には普通のマンガだが、
6,7巻あたりから相当怪しくなってきた。
陰陽道の世界感、宇宙感を共有できなかった私には、意味不明になって、
頭から“?”マークが花火のごとく飛び出てくる始末だ。
10巻まで買ってしまっていたもので読んだが、そのまま断念した。
その道に興味ある方だけ読むべし。
ひょっとすると専門書なのかもしれないので。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-05-01 19:54:54] [修正:2016-05-01 19:54:54] [このレビューのURL]

ヒロインのヴェルダンディーの可愛らしさだけが救いです。
それ以外ははっきり言って、何もないです。
記憶に残るお話は1話もありません。
だから、感想が出てきません。
こんなレビューですみません。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-04-29 21:17:51] [修正:2016-04-29 21:17:51] [このレビューのURL]

料理漫画を少年誌に持ち込んだ時点で、こんな展開にしかならざるを得ないだろうと思う。
企画先行型の典型的な駄作だ。編集者が、「今ブームの食にまつわるテーマで、
しかも少年誌のバトル系で、かつ少々のお色気か可愛さでお願いします。」なんてことを
作者にお願いしている様子が目に浮かぶ。
読者を誘導しているつもりが、そのつまらない打算が裏目に出た。
10巻で挫折。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-04-28 20:33:16] [修正:2016-04-28 20:33:16] [このレビューのURL]

3点 退魔針

”魔を滅する針、退魔針“という独特の超能力で、魔性の世界との闘いのお話です。
独特の世界感ながら、絵が女性誌のような雰囲気なので、個人的にはミスマッチを
感じるしかなかった。
途中5巻までで断念。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-04-19 03:29:56] [修正:2016-04-19 03:29:56] [このレビューのURL]

8点 タッチ

[ネタバレあり]

和也の事故以降の南と達也の二人の関係性の変化が、多くのセリフなしで
表現されていることが特筆されるでしょう。和也に対する喪失感と、どのように自分を
修復していくかという迷いを、文学以上に上手く表現されていて、リアルな
劇や映画でも難しい感情の機微が漫画で表現されているのはすごいことだと思います。
ここがしっかりしているから、怠け者の達也が以後、突然ヒーローに変化して
いくプロセスもほとんど違和感なく受け入れられるのです。

あだち先生の作品全部に言えることですが、ストーリ展開を追う楽しさ以上に
毎回毎号の男女の機微が嬉しいというか、キュンとする瞬間の表現が素晴らしいです。
だから、タッチであろうが、H2であろうが、ラフであろうが、何でも良くって、
主人公達也の目と口を借りて読者が南を見つつ、会話をしているのですね。
言わば、模擬恋愛をさせてくれる漫画とでも言えるのではないでしょうか。
ある意味で、偉大なるマンネリ青春漫画、とでも言えます。
褒めてるのか、腐しているのか分からないですが。

私は、2度、3度読み直しています。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-04-10 09:44:07] [修正:2016-04-10 09:44:07] [このレビューのURL]

3点 ICHI

はぐれお瞽女(ごぜ。盲目の女性。集団生活で相互扶助により生活する習わしのようだが、
掟を侵すと集団から離れなければならない。)である主人公、市が可憐で幼気に描かれている。
生きるための術としての居合い術が様々な事件を呼ぶ。

狙いは分かるが、無用に多くの人間を登場させる割に、市以外の登場人物のキャラが
立っておらず、シナリオもさほど事件性に富んでいない。
要するに面白くない。残念。


ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-01-24 09:29:44] [修正:2016-04-09 07:42:44] [このレビューのURL]

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