「朔太」さんのページ

総レビュー数: 832レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

小池一夫、小島剛夕のコンビが描く時代劇は、いずれもドラマチックで面白い。
この作品もなかなかものものでした。
将軍吉宗の子が主人公であるが、生い立ちゆえの数奇な人生を送るという
設定から、スーパーな能力、美貌まであり得ないのだけれども、共感を
呼ぶのは、その不幸な生い立ちと命を賭けたミッションのせいですね。
展開が平凡ではなく、山あり谷ありで読者の予見をうまく裏切っています。
満足致しました。

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[投稿:2024-10-20 11:22:24] [修正:2024-10-20 11:22:24] [このレビューのURL]

石川サブロウさんの描く作品には、孤高の芸術家の世界が多いですね。
普通の価値観に縛られない自分を含めた芸術家の夢に、人生の価値を
見出されておられるのでしょうか。
この作品の主人公ゆきは可愛い若い女性なので、一層感情移入が進みます。
特に1巻辺りの自然児的なゆきが、とても可愛らしいです。
恩師である本田画伯との別れは、最大の見せ場です。
このヒロインがいかにして、自分の色、すなわち幸せを見つけていくのか
が最大の関心となります。
紆余曲折を経て成長していくゆきの前向きな姿勢には、共感できます。

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[投稿:2024-10-09 07:50:41] [修正:2024-10-09 07:50:41] [このレビューのURL]

石川サブロウさんの作品には、ほのぼの系と熱情画家系の2種類があります。
私は、前者が好きで選んでいます。

下関を舞台に都落ちしてきた営業マンが主人公で、田舎での奮闘記です。
よくあると言えばありますし、特段の目新しさもないのですが、
ついつい捲る手がやまないです。
原田太郎の人徳というか、生き方が良いです。
そのためか、奥さんも不釣り合いなくらい可愛いです。
生き方がつらく思えるサラリーマン諸君に送るエールのような気もしてきます。
心に残る良作でした。 

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[投稿:2024-10-05 09:55:37] [修正:2024-10-05 09:55:37] [このレビューのURL]

仕事をキチンとこなしたいOLのバイブルです。
世の中のサラリーマン男子の多くは、OLを腰掛気分の気楽な商売と考えています。
実際、結構願望を満たすための居場所と考えている節も見受けられますからね。

しかし、OL全てがそう考えているわけではなく、OLといえども担当する業務は
プロとして上質な仕事をしたいと考える女性も多いはずです。
同時に悩みも多く、特に人間関係やコミュニケーション、男性からの偏見など、
なかなか相談相手も見つからないでしょう。

そんなお悩み全般に対する回答が見つかるかも知れないように思います。
実際、ヒントを得た、あるいは共感を得られたという読者も多数いて、
支持されているのかも知れません。
悩めるOLにこの作品の一読をお勧めいたします。

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[投稿:2024-09-25 07:40:43] [修正:2024-09-25 07:40:43] [このレビューのURL]

四万十川には、ちょっとしたの思入れがあります。
小学生の頃、日本には清流が枯渇しているという学習をしますが、
唯一四万十川だけは住民の努力により、沈下橋などの古橋もそのまま
保存された稀有な地域という憧れが私の中に残りました。
つい2年前、その四万十川を訪れることができ、万感の思いで沈下橋を渡ってみました。
そのような清流の代表格である四万十川という表題に惹かれて読んでみました。

なるほど、アカメと越冬鮎に象徴される四万十川の自然に対する
人間の傍若無人ぶりの振舞いが理解できます。
青柳氏には一平のイメージが強いですが、こんなに優しい作品も描いておられるのですね。
啓蒙的な作品でした。

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[投稿:2024-09-11 08:32:55] [修正:2024-09-11 08:32:55] [このレビューのURL]

プロ野球の実在する賞の中でも、カムバック賞というものがあるくらい、
一度最前線から力を落とし、元の活躍をするのはとても大変です。
一度引退した選手がカムバックするのは、あり得ない現実です。
漫画ならではの絵空事ではありますが、なかなかに大人を堪能させる
リアリティがあり、一気に読ませてくれました。
柳沢きみお氏は多数の作品を世に出されていますが、本作品はその中で
ベスト1と私は思います。

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[投稿:2024-07-25 04:54:40] [修正:2024-07-25 04:54:40] [このレビューのURL]

原作は高校生の頃に読んでいて、夏休みの宿題であった読書感想文として
提出すると、なんと県大会応募されてしまったので驚いてしまいました。
しかし、実はその感想文は評論家の評論文を半分写し取った搾文だったので、
内心それがバレないか戦々恐々で、といって自白することもできず、
落選することを祈っていました。
これは、私の17歳の頃の小さな「人間失格」の始まりでした。

こんなことがあっても、自分の中の「人間失格」要素は懲りることもなく、
どんどん増幅していくのでした。
無自覚に存在する「人間失格」要素は、どこの誰にもあるのかないのか、
本人にしか判断できません。
無垢なる少女にすらそれは内面に蛇がとぐろを巻いて存在するのか、
確かめようもありません。
本当にそんな真実が明かされた時、それを知った時に、人は絶望して
死んでしまうのだろうか。
あるいは逆に人間失格と思った自分を許し、狂気の世間を渡っていく
覚悟ができていく瞬間なのかもしれません。

感受性豊かといえば美辞麗句過ぎて、虚弱で傷つきやすく自活力の
ない青年の自伝ではあるのですが、実は私の中の別人格の一つだったと
気づかされてしまいました。

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[投稿:2024-07-03 07:51:27] [修正:2024-07-03 07:51:27] [このレビューのURL]

最近、話題のまま最終話を迎えた作品です。
決して美男美女とは言えないカップルが主人公の漫画ですが、
意外と読めるので驚きました。
考えてみれば、世の中の大半のカップルは美男美女ではない訳で、
それでも恋は成立しているし、結婚生活にも入るわけです。
カップルがいれば、それぞれに異なる恋愛ストーリが存在することに
改めて気づかされます。

この作品をラブコメと言って良いのか、難しいところですが、
リアルさも同居しており決してギャグ漫画ではないと思います。
意表をついた良作だと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2024-06-08 11:11:01] [修正:2024-06-08 11:11:01] [このレビューのURL]

土山しげる氏は、作家人生の前半をバイオレンス系極道漫画で名を馳せました。
しかし、2000年前後からはグルメ漫画に転身し、成功を収められています。
この「喧嘩ラーメン」は1995年に連載開始で、まさに極道ものと
グルメものが融合された作品になっております。
人生の転機になった作品と言えます。
逆に、グルメ漫画としてのデビュー作とも言えます。

ラーメンに焦点を絞って、しかもトンコツに絞って、道を究めるために
修行の旅に出かけるという展開になります。
今となっては、料理修行のために全国各地を旅する展開は珍しく
ありませんが、意外とページをめくる手が止まりません。
読み終えると、また別の作品に手が伸びる痛快さが、土山さんの作品にはありますね。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2024-06-01 09:02:08] [修正:2024-06-01 09:02:08] [このレビューのURL]

7点 鬼門街

第一巻の巻末に、本作の構想にイニシエーションに関する記述がある。
作者の幼馴染が、集団暴行事件によって、ある日突然亡くなる。
その理不尽さ、残酷さに対して、暴力事件への抑止力となる
漫画を描きたいと願ったそうである。
そういう意味では、この作品は空想、妄想とは呼べず、
ある意味においてリアルである。

安部元首相襲撃事件は悲惨であった。
加害者に対して「民主主義への挑戦で、この暴力には屈しない。」とか
口走る政治家のなんと想像力のないことか。
安部氏の政治信条には関係ないと報道されているにも関わらず、
コメントを求められたメディア関係者は一様に同じセリフを
口にするにつけ、こいつらは被害者である安部氏に何の同情も
していないことが分かった。
ましてや、加害者の背景に思いを馳せる人間は皆無であった。
事件の背景が明らかになるにつれて、加害者と加害者の母、兄妹に
対する世間、社会、特に旧統一教会の鬼のごとく仕打ちが
明らかになってきた。
この世に鬼がいる、というのは本当である。
餓鬼もいる。そんじょそこらに、うようよといる。

この作品に描写された世界は、まさにリアルな現実社会である。
先の安部氏襲撃事件の加害者にも、その鬼の存在が他の誰よりも見えていたのかもしれない。

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[投稿:2024-05-11 09:04:07] [修正:2024-05-11 09:04:07] [このレビューのURL]

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