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7点 セーラーゾンビ
ゾンビパニック世界における女子高内での闘争劇。黒と白を基調として、アニメチックな可愛い絵柄ながらエグい展開(元がアイドルの深夜ドラマとは思えない)、キャラにも個性があって好きな系統の作品です。話の引きやテンポが良く四巻一気に読みきりました。上記のテーマでは区切りは付けています。
ただゾンビがあくまで舞台装置で謎を多く残して(そもそもなんでこんな世界になったかも分からないまま)、世界レベルでは何も解決していません。モブキャラ達に「甲」とか貼り付けているだけでちゃんと描いてないのは手抜きとしか。その辺りで作り込みの甘さも否めませんが、キャラがそれぞれの思いを抱えつつ死んで行く終盤には感慨があって、読後感も悪くなかったです。
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[投稿:2017-12-03 05:59:50] [修正:2017-12-03 05:59:50] [このレビューのURL]
8点 SF全短篇
なんといっても構成力がすばらしく、無駄が一切ない
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[投稿:2017-11-30 00:07:56] [修正:2017-11-30 00:07:56] [このレビューのURL]
「荒野に獣慟哭す」がとても良かったので、同作者作として興味を抱き読みました。この頃から画力は目を見張るものがあり(これだけ描き込んでるのに分かりやすいアクション)、「荒野に」よりもキャラも話も分かりやすく、ややギャップがあるギャグにしてもRPG世界観ということもあってバランス良く溶け込んでいます。原作がカードゲームですが予備知識は特に必要ないのではと感じました。
導入、盛りあがり、収束と構成がしっかりしており、6巻で密度の高い一冒険物語として完成しています。雰囲気的には、「GS美神」や「スレイヤーズ」のような今だとかえって新鮮に感じる懐かしさがありました。示唆されている主人公カッシェの他冒険を見たかった気持ちはありますが、ここで畳んだから勢いや質を維持出来たところはあったかもしれないので難しいところですね。
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[投稿:2017-11-29 23:22:23] [修正:2017-11-29 23:22:23] [このレビューのURL]
7点 ポーの一族
人外など永遠の命で生きなければならない悲哀、各編で色々な場所を巡る一話完結、時系列シャッフル、ボーイズラブ(本作では現在のそれ向けに比べると広義愛に過ぎないが)、今では当たり前ながら当時では斬新な要素が豊富で今読んでも面白いとは思えました。
昔の少女漫画の絵柄、作風もやや詩的に過ぎて、耽美なのはともかく舞台的悲劇のヒロインが濃いのは仕方ないところでしょうが。
全体は主人公エドガー、ヒロイン妹メリーベル、親友アラン、三人の物語といえ印象深かったです。
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[投稿:2017-11-26 11:11:39] [修正:2017-11-26 11:12:08] [このレビューのURL]
10点 嘘喰い
ギャンブル漫画、頭脳・心理戦漫画の代表格といえば、巨匠福本伸行による『カイジ』や『アカギ』、甲斐谷忍の『ライアーゲーム』などを想起する者が多いだろう。
この『嘘喰い』もそんなギャンブル漫画の一角を担う存在であるが、その質に比して、どうにも世間の認知度が低いようだ。
かく言う私も『カイジ』や『ライアーゲーム』が好きでずいぶん前に読んではいたが、この『嘘喰い』はノータッチだった。
頭脳戦漫画が好きな者の一人として気になってはいたのだが、なぜか食指が動かずにいた。どうにも『カイジ』などとは一段落ちる作品だと思い込んでいたようだ。
ところが先日何の気なしに本作を手に取り、読んでみたら見事にハマってしまったというわけだ。
結論から言えば、この『嘘喰い』は現在までに描かれたすべてのギャンブル漫画の最高峰に位置する作品である――と私は思う。
まず、登場する全てのギャンブル、ゲーム、勝負内容の質が異様に高い。どの勝負も練りに練られて計算し尽くされたものであり、「そこまで計算して描いてたの?」という驚きが一つや二つではない。
ストーリー展開や登場人物の描写も無駄がない。
50巻近くもこれほどのクオリティを維持して執筆し続けている作者は、正直化物じみているとさえ思う。
もちろん、章によって多少のムラはあるのだが、つまらない勝負などは一つもなく、どのエピソードも一定以上の質を保っている。
勝負の流れは非常に巧みで退屈させず、当初はルールの枠に収まっていたものが次第に多面的になってゆき、勝負開始時からは想像もできない展開になってゆく様は圧巻だ。
この作品の革新的な点は、何といっても「賭郎」の存在だろう。
たとえギャンブルで決着がついても、その場で敗者が「暴力」を行使しその結果自体を反故にする場合がある。ギャンブルで勝つということは、その結果を通すだけの「暴力」が必要になるということ。
『嘘喰い』は、その「暴力」の存在を「当たり前」として、一つの「機関」として描いた初の作品である。
立会人という魅力的な人物たちも相まって、「賭郎」は本作において鮮烈な存在感を放っている。
格闘、アクションについては否定的な意見があるようだ。
絵は綺麗で画力も高いのだが、画面がごちゃごちゃしており何が起きているのかわからない場面が多々あるのが原因だと思う。
ギャンブル勝負とは違い、勢いで押している部分が多いというのもあるだろう。
意思を通すために必要な「暴力」をテーマの一つとして掲げているであろう作品だから格闘描写も当然描くべきという考えが作者にはあるのだろうし、作者として多大な労力を費やす必要のあるギャンブルパートの箸休めも兼ねているのだろう。
本作のストーリーの流れとして、ギャンブル→アクション→ギャンブル……と交互に進んでいることからそれが伺える。
そりゃギャンブルだけをこのクオリティでノンストップで描けるわけないって。
といっても、號数という立会人のランク付けなどの少年誌的な人気要素もあり、立会人のキャラも濃いので格闘パートもそう退屈するものでもない。
どの立会人も変人ばかりなのだが仕事はキッチリこなすし、何より「メチャクチャ強い」のでかっこいい。男心をくすぐること間違いなし。
科学や医学ネタを頻繁に入れるのも特徴の一つだろう。
多くのエピソードに、主にギャンブルを有利に進める特殊能力としてそういったネタが出てくる。
うだつの上がらない男だった梶が身近で獏を見て成長してゆくのも面白い。
ところどころに挟まれるギャグも作者のセンスが光っている。
ただ、複雑なエピソードが多く、単行本で一気に読まないと訳がわからなくなってしまうことが多いと思う。
入り組んだ心理戦が多く、人によってはわかりづらいものもあるだろう。
恐らくそこがネックでドラマ化などのメディア展開がされていないのだと思う。この内容は文字で読める漫画ではないとキツい。
そのあたりの読みやすさは『カイジ』などに軍配が上がるだろう。最近のカイジは見る影もないが……。
カイジなどに比べ世間の認知度が低いのは面白くないからではなく、むしろ頭脳・心理戦が上質すぎるからこそ、ある種の玄人好みする内容になってしまっているのが原因なのだ。
頭脳戦が好きな者にとっては垂涎の内容。面白さは一級品である。
現在クライマックスのゲームの真っ最中だが、いまだにクオリティは衰えていない。作者にはこのままの質を保って最後まで描き切ってほしい。
最後に梶ちゃんの見せ場もあるよね?
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[投稿:2017-11-26 10:34:36] [修正:2017-11-26 10:37:58] [このレビューのURL]
7点 三つ目がとおる
古代の三つ目族が超能力を持った一族だったはずという設定は、
13年後の高田裕三氏の3x3アイ”に引き継がれました。
それほどインパクトのある設定であり、飛鳥時代の遺構などに
さえ宇宙人あるいは古代人の謎が隠されていることを信じさせてくれます。
当初はその謎の提示がとても神秘的で、その先を読ませる強い動機付けになりました。
残念ながら、その先には深みはなく、ロマンだけに終わった感じはします。
これをしっかり引き継いだ感があるのは高田裕三氏の功績でしょうか。
主人公の写楽くんの二重人格ぶりにも引き込まれます。
保護者役の和登さんは単なる同級生としては考えにくい程の面倒の
良さがあって、現代のドライな人間関係ではとても違和感がありますが、
手塚氏の希望に満ちた少年たちへのメッセージかもしれません。
手塚治虫氏の代表作品の一つといっても良いでしょう。
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[投稿:2017-11-26 07:03:01] [修正:2017-11-26 07:03:01] [このレビューのURL]