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9点 エマ
英国文化圏の階層格差は、日本の士農工商どころではなく、英国に二つの
国があると表現されています。
作品は階層差を越えた純愛物語が骨格にありますが、少女漫画風恋愛に
重点は感じられないところに、私を含めた男性の支持を得た理由でしょう。
恋愛内容は、海外に売られそうになるヒロインを救い出すヒーローの
お話など、一見劇的ではありますが、概ね淡々と描かれており、なぜ恋に
落ちたのか、なぜ障壁を越える熱情にかられるのか、その辺りは淡い
想いとしてスルーされた印象です。
それでも、なお本作品は貴族や下階層のメイドや使用人の心情を細部に
わたり表現されており、登場人物と英国文化への共感を与えます。
ヒーローとヒロインはあくまでも慎ましく清潔であり続けるにも関わらず、
最終話での登場人物たち総出の大団円は、見事な感動を呼ぶ不思議さを
感じさせます。
こんなに淡く透明な幸福感の表現方法があったのですね。驚きました。
文句なしの良作です。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2024-10-16 07:43:30] [修正:2024-10-16 07:43:30] [このレビューのURL]
6点 恋せよキモノ乙女
私は女性向け漫画は苦手で、あまり多くは読みませんが、本作品には他には
ない特長がたくさん散りばめられていて、どんどん読み進めてしまいました。
1.着物に関する蘊蓄が凄い。
表題がそうなんですから当然なんですが、ご本人の職業とは基本的には
関係ないですから、趣味というかお好きなんですね。
山崎零さんは、日本画家としても有名な方です。
写真で見ても、着物がお似合いの素敵な女性でした。
2.毎回異なる場面設定
観光名所や隠れた名店などへ着物を着て、デートや見物に出かける設定が、
旅行記のような雰囲気を醸し出しますので、楽しいです。
3.恋愛
主人公の健気で一途な恋心が可愛い。
早い段階で、失恋してしまいますが、「想い続けることは悪いことでは
ないでしょ」と心に秘めながら、新しい仕事に邁進する姿は好感を持ちますね。
ただし、恋が成就してからは平凡な少女漫画になり果ててしまったのは残念です。
斜めに世の中を見てしまいますと、こんな風に恋が成就し、結婚に至ったが
皆幸せなら、世の中に離婚や別れはないわけで、そんな現実を描く女性作家
さんはいないのでしょうか。
別れも千差万別で様々な人生の彩と思うのですが。
と、本題からそれましたが、本作品は表題通りの直球ど真ん中の良作でした。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2024-10-12 09:54:18] [修正:2024-10-12 09:54:18] [このレビューのURL]