「朔太」さんのページ

総レビュー数: 821レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

小池一夫、小島剛夕両氏のコンビによる作品群には、
背骨に一本筋が通った生き方が見事に表現されています。

主人公山田浅右衛門も、傑物です。
実は幕臣ではなく、浪人だったのですね。
いわば、アルバイトで首打ち職をしていた。
命を奪う重大な使命に、嫁を取らず子を設けないという
意思を貫くわけです。
一徹な生き方に、この作品でも感銘を受けました。
また、十手持ちの坂根傘次郎と河童の新子が登場する回は、
いずれも楽しめました。
彼らもまた庶民の感覚で、一徹に筋を通した生き方をしており、
かつ人生を楽しむ余裕もあって共感を覚えます。

ただし、「子連れ狼」ほどダイナミックさというか
派手さはありませんので、2点減点としました。

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[投稿:2023-08-29 06:00:11] [修正:2023-08-29 06:00:11] [このレビューのURL]

絵も上手いし、設定も興味がそそられます。
ですが、展開が昭和のお茶の間テレビドラマのようで、
対象読者ターゲットの居所が不明です。
このお話をどの世代が支持してくれるのでしょうか。

小説にも映画にも絶対なりえない展開の無難さは、
漫画としては落第と言えます。
特に、最終話に向けた結末に少しは期待したのですが、
尻すぼみで最後まで盛り上がりません。

絵が上手いだけに残念な作品でした。

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[投稿:2023-08-20 15:44:36] [修正:2023-08-20 15:44:36] [このレビューのURL]

10点 子連れ狼

全403話28巻の長編である。長編ではあるが、無駄に長くはない。
武士道を語り、時代の理不尽さを語り、親子を語るには
6年の時間と403話の労力が必要だったのである。

本作品をはじめ、小池一夫と小島剛夕による漫画作品は、
エンターテイメントとしていかに優れているか、万遍の
言葉を尽くしても足りない。
本作は、その中でも頂点に立つ最高傑作である。

小池一夫が愛した「もののふの道」は、間違いなく美しく正しい。
現代の多くの人々に支持されながらも、その生き方は
尋常ならざる確信がなければ貫けない。
しかし、それを貫き通す美しい境地は、かくあるべしと、
小池が分かりやすく説明してくれているかのようだ。
紆余曲折の末、いかに最終話を迎えるのかと思うと、
途中で投げ出せなくなる面白さも備えている。
はたして、最終話は最高のエンディングである。
いろんな思いが綜する最終話だと感じ入った。

海外でもリメイクされた作品が紹介されているようだが、
肝心の日本では小池の残した作品群が古めかしく過去のものと
いう扱いがされているようで残念である。

是非、心ある日本男子には一読をお願いしたいと思うばかりである。

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[投稿:2023-08-13 09:00:29] [修正:2023-08-13 09:00:29] [このレビューのURL]

テーマが、ワイン醸造、父の夢を継承、悪役の叔父が事業を
妨害、腕は立つが偏屈な青年の手腕にかかるワイン・・・。

あまりにも定番過ぎて、先読みができてしまう。
「夏子の酒」以来の同じ系譜と言えば聞こえが良いが、
二番煎じどころか五番くらい。
直球だけの展開に変化球を交えてほしいところでしたが、
使い古されたワインをテーマにした時点で無理かな。

企画段階での失敗を感じてしまう作品でした。

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[投稿:2023-08-06 05:30:11] [修正:2023-08-06 05:30:11] [このレビューのURL]

ラズウェル細木氏の漫画はどの作品を読んでも同じに見える。
毎回、テーマにしていることは、他愛もない季節の風物詩
だったり、いくつかの薀蓄だったり、ニュースを扱ったり、
基本的に暑い、寒い、いや普通なんてことを繰り返す。
特にストーリーはない。

いやネガってるわけじゃなくて、安定的におもしろく、
そしてなにより大事だが食べ物が非常に美味そうに見える。
氏は食べることも飲むことも心から好きなんだろうな。
同じ食い意地のはった人間として深い共感を覚える。

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[投稿:2023-07-31 09:31:15] [修正:2023-07-31 09:31:15] [このレビューのURL]

無法者の無法の街なんだから、無法都市なんじゃないの、
というクレームを逆手にとったようなタイトルのネーミングでしたね。
B級映画のようなB級漫画という言葉がぴったりの作品でした。

全てが予定調和の展開ですが、盤流市の頂点に立つ
盤流源一郎の個性が立っていて、彼の魅力で濃厚な味付けができました。
でも、読み返す気には絶対ならない、と自信をもって言えるB級漫画でした。

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[投稿:2023-07-25 05:43:45] [修正:2023-07-25 05:43:45] [このレビューのURL]

寺沢大介氏は、料理マンガを少年誌で普及させた第一の
功労者と称せられるべきであろう。
本作品でもそのテイストは維持され続けている。

短期連載で打ち切られたようだが、ラーメンに始まり、
カレー、餃子、鯛料理、チャーハンと定番料理対決で
やや飽きられたのかもしれない。
いつか読んだような、いつものお話が展開されるが、
寺沢氏の料理マンガは絵が見やすいせいか、
いつものように楽しめるのが良い。
安定した品質を持っている。

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[投稿:2023-07-20 08:30:44] [修正:2023-07-20 08:30:44] [このレビューのURL]

小林俊彦氏の「ぱすてる」は、1巻辺りで挫折してしまう程、
内容の薄いものでしたが、
本作品は主人公の女子高生管理人の性格が可愛く、
しかも毎回裸体をさらして奮闘するのが見逃せません。
下宿人の女性たちのキャラも立っていて、主人公のMキャラに
対して、いずれもややSぽいところが相性抜群です。

彼女たちの引き起こす騒動は罪がなく、愛らしさを感じさせてくれます。
意外に結構、楽しく読めました。

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[投稿:2023-07-15 05:13:16] [修正:2023-07-15 05:13:16] [このレビューのURL]

8点 蜜の島

一編の高級ミステリー小説を読んだような味わいがあります。
この世の存在しない孤島、謎の少女、不可思議な島民たちの
行動など、こってりと濃い味付けがされています。

4巻と長編とも呼べない分量でまとめて頂いており、ついつい
読む手が止まらなくなり、一気に数時間で読んでしまいました。
真相が解明さえた後も、最初から読み直してみるという良作です。
思いがけない掘り出し物かもです。

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[投稿:2023-07-10 18:26:44] [修正:2023-07-10 18:26:44] [このレビューのURL]

3話未完のまま連載中止になった「ファウストの天使」が
元ネタになった作品である。
三山氏の遺作[レクイエム]に掲載された「ファウストの天使」
を読む機会を得て、完成作を読んでみたいと手に取った。
正直に言うと、原作で感じた期待感を越えるものにはなっておらず、
少し残念だった。
元のまま、神的あるいは悪魔的な超常現象としての
解釈を残したまま、一人の男の人生の変化を楽しんでも
良かったのではないかな。
結局、一人の天才研究者とその娘が作り出す電脳世界と
いうものに落とし込む必要はなかったように思える。

三山氏の描く女性美は相変わらず素晴らしく、悪魔的な
世界への誘いを描くに十分な画力を感じた。

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[投稿:2023-07-06 21:55:21] [修正:2023-07-06 21:55:21] [このレビューのURL]

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