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7点 D-LIVE!!

皆川亮二の超画力を極めてシンプルなコンセプトで楽しめる。
バトルを描ける漫画家はたくさんいるが、リアルなアクションをこんなに格好良く描ける漫画家はそうはいない。
「漫画の面白さに重要なのは画力でなくストーリー」という人をたまに見かけるが、ストーリーがいかに優れていても画力(コマ割り等の演出技術含む)が高くなければ描けない面白さも確実に存在することを、本作を読めばお分かり頂けるのではないだろうか。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2020-11-17 23:32:42] [修正:2020-11-18 11:54:17] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

サンデー55周年記念として「55作品新連載させる」とかいう編集部のゴミのような舵取りのせいで、ゴミのような最終章を迎えた残念な漫画。

最終章に入るまでは本当に面白い漫画で、サンデーが毎週待ち遠しくなるほどだった。
50巻を超えてもまだまだ読みたいと思えた作品は、サンデーでは初めてだったと思う。

ストーリーのテンポは良いし、アクションは派手だし、ギャグもキレがある。登場人物も達人・弟子問わずキャラが立っていて、戦闘パートも日常(修行含む)パートもまるっと楽しめた。
凡作以下の作品が誌面の大半を占めるようになっていった21世紀のサンデーにおいては屈指の良作であり、特にバトル漫画としてはサンデーの最後の良心と言っても過言ではなかっただろう。

ところがどうだ。冒頭に述べたふざけた企画に伴い、サンデー編集部は松江名にケンイチを終らせて新たな作品を創るように打診したのだ。
そして、なんと松江名はそれを承諾して、そこまで丁寧に積み上げてきたきたものを全てぶん投げて、近年稀に見る酷い話の畳み方で無理矢理本作を完結させてしまったのである。

後のコメントによると、この選択は松江名にとっても苦渋の選択だったらしく、職業漫画家としては賞賛されるべきところもあったのは事実である。
だが、1〜2年だけ連載したような作品と、12年連載した本作では、話を唐突に打ち切ることの重みが全く違う。
50巻以上のコミックスを買い続けてきた20万人近くの読者を、60巻近くになって突然裏切ることを作者も了承したことが、個人的には何より許せない。
正直、ラスト数冊は本当に買う気が起こらなかった。

ここまで最後の打ち切りについての怒りを綴ったが、本音を言えば相変わらずまだまだ続きが読みたい気持ちは残っている。
この漫画は、あんなところで終わらせてしまうのは勿体ないほど魅力的なのだ。
ジュナザード戦あたりまでなら、7点以上は堅いと思う。
いつか松江名が続編を執筆してくれることを、今も期待している。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2020-11-17 23:00:20] [修正:2020-11-18 07:14:48] [このレビューのURL]

7点 トガリ

出す時代が早すぎた、又は遅すぎた不運な名作。

本作は藤田和日郎や師匠である皆川亮二の作品に通じる、90年代前半のサンデーの名作アクション漫画に近い趣きがあった。そして、そういった作品を好む読者からは一定以上に評価された、硬派な王道ピカレスクアクション作品だった。
特に魅せゴマの作り方や、主人公の葛藤の描写は秀逸で、ところによっては師匠以上のセンスを発揮していた。

だが、不運にも発表された時代が悪かった。
当時はサンデー誌面のカラーが低年齢層化する過渡期であり(固定ファンの多い藤田や皆川作品の読者も年齢層が高まり単行本派にシフトしていった時期で、本誌では基本的に後ろの方に掲載されていた。本誌のメイン読者層にはバイオレンスアクションより、ガッシュやうえきの法則等の、低年齢層向けのポップなバトル漫画がウケていく時期だった)、本作の優れた部分が当時のサンデー読者にイマイチ評価されないまま打ち切りという憂き目を見ることとなった。

もし発表される時期が、進撃の巨人等のヒットを受け漫画のアプローチが多様化した現在であれば、もしくは藤田や皆川等が最前線でブイブイいわせていた90年代前半から中頃であれば、世間での評価は大きく異なったのではないかと思ってしまう。

なお、打ち切りの約10年後にフラッパーに連載の場を移し無事に完結しているのだが、その頃には夏目義徳が漫画界の荒波にもまれてセンスが衰えてしまったように思える。
個人的にはやはり打ち切られずに、当時の勢いのまま完結させてほしかったという無念が残った(それでもラストは非の打ち所のない、完璧なものだったが)。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2020-11-13 09:56:38] [修正:2020-11-17 13:00:36] [このレビューのURL]

サッカー選手の父を持つ高杉和也が、少年サッカー高校サッカーJリーグ、そして1998年のW杯フランス大会までをチームメイトと共に奮闘する姿を描いた熱血サッカー漫画。

仲間の騎場拓馬、磯野拓郎は相棒であり良き好敵手として和也を支え、幼馴染みの女の子森口愛子との関係も物語を盛り上げます。比重をJリーグとW杯に置いているのもあって、序盤の少年サッカーと高校サッカーは駆け足な感じです。

試合は話が進むに連れてサッカー戦術が登場し、必殺技はなく割りと現実的なプレーが展開されます。まぁ少年漫画なので多少オーバーな表現はありますが…。
また主人公和也が個人技に終始せず、時にはアシストに徹してチームプレーで得点する描写もあり、各々のキャラクターを蔑ろにしてないところが好印象でしたね。
本作を読む前にサッカーのルールや用語、フォーメーション等の予備知識があると、試合シーンをより楽しむことができるかと思います。

作画に関しては過不足なく描けていて、コマ割りも見易く大変よかったです。絵柄もあまり癖がないので、広い層に受け入れられると思います。

更にコミックスの巻末には、作者の若かりし頃のエピソードや近況について面白可笑しく描いた2ページ程のおまけ漫画も収録されています。

作品全体を通してサッカーという競技の素晴らしさ、そしてW杯出場にかけるプレーヤーの熱い想いがダイレクトに伝わってくる、そんな作品でした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-11-16 23:10:49] [修正:2020-11-16 23:10:49] [このレビューのURL]

序盤は傑作だったが、アニメ化が決まった石版編前くらいから児童向け路線に寄せすぎたせいで、ガッシュ周りの展開が幼稚になりすぎた(小学館との訴訟トラブル当時の雷句のブログによると、編集からそのような矯正を強いられたらしい)。

実際、この矯正は商業的には成功したし、アニメ放送頃には作風の移行は完了していたため、アニメ化決定後に本作を読み始めた層は違和感に気付きづらかったと思う。
これが、今作が完結まであまり評価を落とすことなく、いまだに名作扱いされている理由の一つではないだろうか。
だが、この流れが雷句のポテンシャルを潰してしまい、業界内における小学館(とりわけ当時のサンデー編集部)へのイメージが悪化する一因となったことは間違いないだろう。

ただ、個人的には本作の真価はガッシュサイドではなく、ブラゴ側のストーリーで見られると思っている。師匠の藤田和日郎から受け継いだケレン味や渋さ等の魅力は、ブラゴ側のエピソードに集中されているように感じる。
特に最後の最期、ブラゴとシェリーのやり取りはガッシュと清麿では出せない渋い感動がある。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2020-11-16 13:31:08] [修正:2020-11-16 14:58:21] [このレビューのURL]

読む前は血生臭い硬派なミリタリーアクションかと思っていたが、読んでみたら馬鹿丸出しのボンクラ漫画だった。もちろん褒めてます。

しかし、第1部の後半あたりからは読む前のイメージに近い作風になり、描く側も読む側も相応の気力が必要になっていった。
そして、作者が大病を患い体力が落ちてからは、描く側の気力が目に見えて下がっていったように思う。
そうなってからはストーリー展開も作画も残念な感じに…

最後は正直なところ不満が残るが、こればかりは致し方ないか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-11-16 13:37:13] [修正:2020-11-16 13:37:13] [このレビューのURL]

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-11-15 05:49:24] [修正:2020-11-15 05:49:24] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

表題から想像する内容は、星里さんの得意とする
ラブコメでなければ純愛ドラマの辺りでした。
進展する展開にその都度裏切られるサプライズが
心地よかったです。
結果的には純愛ドラマに落ち着いた印象ですが、
とても純愛とは言えないドロドロのヒロイン浮世が
私にはとても新鮮でした。

話は変わりますが、ネーミングとしての浮世は、
浮世離れの意味ですよね、きっと。
浮世のような女性は、同性には本当に嫌われますよね、
現実には。
実際、いますよ、まれに。
すぐに謝る、押しに弱い、断れない、むしろ人に
媚びることで特に男を誤解させる、
結果そんな気はなかったと逃げ出す、
嘘をついてでもその場を繕う。
しかし、放っておけないくらいひ弱で儚い美しさが
あるので、灯りに吸い寄せられるように男が群がってくる。
同性の女性には最も太刀打ちしがたい大敵ですよね。

災厄を呼ぶ女性、浮世。
こんな女性の魅力がベースになっています。
男なら大抵の者は理解できます。
主人公辻もその一人ですが、その危険な匂いに気づいて
絶対拒否する時もありますが、結局は人生のすべてを
失った挙句、彼女の魅力から逃れられない自分に気づきます。

ハッピーエンドかと思われた4巻では、浮世にとって
辻の存在が絶対と感じたその直後の引っ越し屋とのトラブル、
辻との生活を捨てて峰内の元に戻る裏切り、
さらに峰内も捨てる心変わり、の場面は
若干の論理性が欲しいところですが、
それがないから不思議ちゃんの浮世なんですね。
疑うことなく、仕方ないと受け入れることだけが
浮世のパートナーになれる資格を得るわけです

最終巻の展開も、サプライズといえばそうだし、
これでしか話は終わらない感じですが、満足でした。
最初の浮世の出現から最後の展開までこれまで
見たこともない波乱のドラマを見せられた気がします。
名作だと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-11-14 07:04:17] [修正:2020-11-14 07:04:17] [このレビューのURL]

8点 イムリ

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-11-13 17:44:42] [修正:2020-11-13 17:44:42] [このレビューのURL]

デビルマンとかヘルシングとかドロヘドロとか進撃の巨人といった、特定の層が好みそうな作品群のエッセンスを踏襲しているような作風に思えるが、辛うじてジャンプ漫画感も備えている。

アクションシーンを描くセンスは抜群。奇抜な描写の連続する戦闘場面はかなり魅せてくれる。必殺技ドーンって感じでキメる作風ではないが、その分バトル系青年漫画のようなアプローチとなっており、非常にスタイリッシュである。

何より、デンジが変身するまでの展開が毎回秀逸で、絶妙に溜めた上でチェンソー化する場面のカタルシスには目を見張るものがある。

現状で少し足りなく感じてしまう点は、作者のセンスの高さに技術が及んでいないように思えてしまうところか。
恐らく、作者の脳内ではもっと壮絶なイメージが広がっているが、その破壊力を充分に描き切れていないような気がする。
描写する技術がイメージ力に完全に追いつくことができれば、さらに凶悪な伝説的怪作になり得ると思う。
この点は今後の伸び代として期待したい。
そんなに長く続けないかもしれないけど。


余談ではあるが、本作といい最近のジャンプは昔のジャンプと比べると準看板以下の主力作品のカラーや運用が実験的になってきていると思う。
もしかすると、過去にジャンプ編集部に諌山創が漫画を持ってきた時に、彼の作風を認めずに追い返したという件の反省が活かされているのかもしれない。
ずっと看板でいるが故に驕りが出てきてしまう作品に刺激を与える為にも、このスタンスは突き詰めてほしい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-10-22 15:24:22] [修正:2020-11-13 07:51:06] [このレビューのURL]

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