「」さんのページ
4点 約束のネバーランド
あくまで2巻までの暫定的な評価ですが、個人的に今のジャンプで一番面白いと思っている作品です。
詳しい内容は何を書いてもネタバレになってしまうので言うことはできませんが、兎にも角にもプロットが素晴らしいです。媒体は書籍であり「漫画」を読んでいるはずなのに、あたかも優れた「小説」を読んでいるかのような、そんな不思議な錯覚に陥るほどストーリー展開が見事であり、流暢です。
「最近の漫画はつまらない」
そう思っている人たちにもぜひ読んでほしい、今注目の一作です。
最後に、多分この手のタイプの作品は、最初から最後まで話の流れがキッチリ決まっているはずなので、出来ればこのまま無駄な引き延ばしを一切することなく、真っすぐに物語を進めていって欲しいと思います。「巻数が長い」イコール「面白い作品」ではないと思うので。
<2021年4月 追記> ※ネタバレ無し
一言でいうと「悪い方の予感が当たってしまった作品」。
この作品に起きたことを自分の印象で表現すると、例えば上下巻で刊行予定の物語があったとして、まず先に上巻を出したところ、それが思いのほか大ヒットをして、急遽話をかさ増しすることになり、本来次に出すはずだった下巻ではなく、中1巻、中2巻、中3巻と、本来出す予定の無かった3巻分を出して、ようやく下巻を出して全5巻で物語が完結した、とそんなようなことが起きたんじゃないかと思っています。
ただ、そういった手法はバトル漫画とかギャグ漫画とか、そういう、後からいくらでも設定の修正が利きそうなジャンルの話だからこそできることで、この作品のように、ガッチガチのサスペンスアドベンチャーでそんなことをしても即座に物語が破綻するのは誰がどう見ても明らかなのに、敢えてその手法を取った判断には正直心底がっかりしてしまいました。
話のオチも後味が悪くて、そこまで来たらハッピーエンドにしてほしかったのに、どうして中途半端なトゲを残したまま物語を締めてしまったのか納得がいきませんでした。
振り返って、この作品を薦められるのは、5巻までです。そこから先はあまりお薦めできません。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2017-02-11 22:14:19] [修正:2021-04-10 21:42:34] [このレビューのURL]
5点 うしおととら
このレビューはネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。
完結して四半世紀ほど経ちますが、未だ根強い人気を誇る少年漫画の傑作ですね。ストーリーの破綻や引き伸ばしがなく、広げた風呂敷をキチンと畳んだことが高く評価されています。そんな作品に意見することは大変憚られるのですが、今回は私がこの作品を読んで感じたことを率直にレビューしたいと思います。
キャラクターについて
主人公の潮は正義感が人一倍強く、また自分を犠牲にしてでも困っている者を助けようとする情に厚い人柄に心惹かれました。鎌鼬三兄妹やはぐれ外堂、麻子の人身御供のエピソードは正に彼のそうした性格が如実に表れていて、命懸けで誰かを守ろうとする姿は格好良かったです。少年漫画の主人公としては理想的だったのではないでしょうか。また主人公が槍使いという設定、しかも必殺技もなくアイテムも最後の鎧ぐらい、戦い方も突いたり切ったりと至ってシンプルなものでそこに却ってオリジナリティを感じましたね。
そして相棒のとらは表向きは潮に対していつか喰ってやると凄んでますが、なんだかんだサポートに徹している憎めない良い奴でした。光覇明宗のお役目様が亡くなり茫然自失だった潮を奮い立たせた場面は、とらの不器用なとらの優しさを感じ印象に残っています。また潮以外とも少しずつ仲を深め、中でも真由子との関係が個人的にツボです。などか・たゆら戦の後、真由子の名前を呼んだ場面は、胸にグッときますし最後のモノローグも物語の導入部分と対になっていて関心しましたね。
その他ヒロイン麻子と真由子を始め、紫暮、鏢、雷信、かがり、など好感の持てる魅力的なキャラクターが沢山いました。個人的には小夜ちゃんがお気に入りです。潮に照れながら「バカね。」と言うところは可愛いかったなぁ。
ストーリーについて
これは作品全体を通して言えることですが、話運びの強引さが悪目立ちしている様に感じられました。例えば東西妖大戦での賭試合でボロボロになった雷信が梟を一瞬で倒すのも相手が油断していたからという理由で拍子抜けしましたし、その前の杳も散々ヤバい雰囲気のある強キャラっぽかったのに、かがりに呆気なくやられてしまい見応えなかったです。
ハマー機関の話も科学者の一人ヘレンが爆発に巻き込まれ亡くなりますが、何か最後に良いことした自分に酔ってる気がしてあまり感動できませんでした。しかも自分達のせいで多くの死傷者がでる大惨事になったにも係わらす、ニコラスとマルコは何故か日本に残り研究を続けることに…。これも後に二人を登場させる為の布石だったんでしょうが、普通なら責任問題に発展して刑務所行きでしょう。
そして白面の者復活から最終決戦は、既にこちらのサイトでもご指摘されている方がいらっしゃいますが、本当に説得力のない描写が散見されました。流の唐突な裏切りに始まり、粉々になった獣の槍が婢妖を祓い皆が潮の記憶を取り戻す展開、極めつけは獣の槍の復元と瀕死状態だったとらが完全復活する場面です。流と婢妖の件は百歩譲ったとしても、獣の槍ととらの復活に関しては納得できません。どちらもかなり重要な場面だったと思うのですが不思議な力で片付けられてしまい、これのせいでバトルに緊張感がなくなって、最後の白面の者との最終決戦も感情移入できませんでしたね。
しかし勿論感動できるエピソードもあって、個人的には海の家の話とさとりの話は良かったと思います。どちらも最後が印象的で、特にさとりの話は「うしおととら」の中で最も切なく胸を打つものがありました。さとりと別れた後に公園に佇む潮と麻子の姿は泣けます…。
作画について
画力は高くないですがバトルシーンは迫力があって、特に見開きは格好良く描けていたと思います。絵柄は癖が強く万人受けはしないでしょうが、個性のある自分の絵柄を確立できていて好印象でした。
レビューは以上です。本来ネタバレはしない方針でしたが、今回は内容について具体的に主張したかったので、この様な形でのレビューとなりました。私個人としては、やはりストーリーに引っかかる部分が多く、またそれを凌駕するほどの魅力的な要素がこの作品には見受けられませんでした。絶賛されている終盤の展開もご都合主義が大変気になりますし…。なので評価としては、だれる部分もあるがところどころ楽しめる漫画である5点とさせて頂きます。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2021-03-08 19:00:12] [修正:2021-03-08 23:42:24] [このレビューのURL]
6点 約束のネバーランド
やはり評判高いGF孤児院から脱獄後の失速は否めないと思います。一応シェルターを襲撃されるくらいまでは一定の緊張は保って粘ってはいましたが。その後は優位な立場から大風呂敷な世界変革話になったのが残念でした。それでも、無理矢理過ぎる引き伸ばしなく話をまとめたとは思います。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2021-01-11 08:36:25] [修正:2021-01-11 08:36:25] [このレビューのURL]
6点 惑星のさみだれ
4巻あたりまでずっとつまらなくて、読み進めるのが辛かった。
迫力のない敵の造形、乱立するキャラクター、読んでいて恥ずかしくなるセリフやシーンに、薄ら寒いノリ、
序盤はそれこそ打ち切られなかったのが不思議に思えるレベルだが、
物語が中盤に差し掛かった頃からようやくエンジンがかかり、
そこからは序盤の鬱憤を晴らすかのように、ラストまでギアが上がりつづけていった。
おそらくこの漫画は結末の構想が先にあり、そこから物語を組み立てていったのだろう、
物語が収束していく終盤は面白いが、序盤は設定と謎を散りばめるばかりで面白さを感じにくい。
キッチリ伏線の回収をし、それぞれのキャラのエピローグもフォローされており
読み終わったあとの充足感は見事なのだが、序盤のつまらなさが仇となって他人に薦める気にならない作品である。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2021-01-10 23:31:00] [修正:2021-01-10 23:31:00] [このレビューのURL]
8点 銃夢-GUNNM-
作品を構成する専門用語の多さやビジュアルも相まって、そこらへんのSF映画より説得力のある「本格派SF」。リアルさとハッタリを超高レベルで両立している。
作者の拘りや哲学が明らかに意識高い系なのが若干引っかかるところだが、そうでなければこの作品は成り立たなかっただろう。
続編に繋げられるよう結末を改変したバージョンが主流となっているが、本作のみで完結する初期プロットのストーリーがベストだと思う。というか、これほど完璧な物語を捻じ曲げてまで描くほどの続編だとは言い難い気がする。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2021-01-07 22:19:12] [修正:2021-01-07 22:19:12] [このレビューのURL]
5点 クロザクロ
夏目義徳の個性を活かしつつ、サンデーの読者層にもウケそうな作品を創ろうとしたのだと思う。
低年齢層向け雑誌になっていた当時のサンデーでは藤田や皆川がニーズに合わなくなりつつあったので、ワンチャン狙いで夏目にニッチ且つポップな作品を描かせた結果、どっち付かずの煮え切らない感じで終わってしまった感は否めない。
連載前半はセンターカラーが多かったり、読者プレゼント企画も頻繁に行われていたり、単行本のカバーが当時は特別感のあったサラサラ仕様だったりと、編集部も精力的にプッシュしていたことがうかがえる。
このことから考えると、恐らくニッチ系枠復権の起点に成り得た、割と重要な作品だったと思う。
実際、そのジャンルにおける名作の定石に能力者バトル要素を足した手堅い作りで、そこそこいけそうな雰囲気はあったのだが…
もう少し夏目の持ち味を開放していれば、トガリに匹敵する佳作にはなっていたはず。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2020-12-17 08:40:00] [修正:2020-12-17 08:51:39] [このレビューのURL]
9点 鬼滅の刃
2020年12月16日現在、劇場版「鬼滅の刃」無限列車編の興行収入が300億円を超え、歴代1位の「千と千尋の神隠し」に迫りつつあります。おそらく数日以内に1位になることでしょう。
オリコンの年間本ランキングでは、2020年のコミックの単巻別売上ランキングで、「鬼滅の刃」の既発刊分の22巻が、1位から22位までを独占しています。
(23巻は2020年12月発売のため集計対象外)
そんな歴史に残る大ヒット作を、中年のおっさんである私が、個人的な主観でレビューします。
読み始めた時にまず最初に思ったのは、「この設定は○○という漫画に似ている」と思うところが何か所もある、ということです。
過去のヒット作(特に少年ジャンプのヒット作)をよく研究し、うまく取り入れていると感じました。
既視感のある作品ですが、そこで「パクリだー」等と批判的にならずに、読み進めていくと・・・・すごく面白いです。
歴代のジャンプバトル漫画では、この作品がナンバーワンだと思いました。
王道を行く娯楽作品であり、ストーリーもわかりやすく、小学生から老人まで楽しめます。
自分はいい年齢のおっさんですが、泣いたり笑ったり…とても楽しみました。
ストーリー展開がスピーディーで、さくさく進みます。そして、引き延ばしもなくサクッと完結します。
各キャラのエピソード等の中には、本編で十分に語られていないものも多々あり、そこに読者の想像力が働く余地が生まれます。
それだけキャラクターがしっかり立っているということですね。
2次創作がさかんなのも納得です。
とにかく読んでよかったです。面白かった。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2020-12-16 18:23:15] [修正:2020-12-16 18:24:44] [このレビューのURL]
10点 ブラック・ジャック
何度でも、一生読める漫画。
ふとした時に、自然に手に取って一話読んでしまう。
「生きること」そのものが漫画という形になっていて、根源的な本能にすっと寄り添ってくれる感じ。
文字でこの感覚は伝えられない。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2020-11-13 08:09:24] [修正:2020-11-18 12:07:51] [このレビューのURL]
7点 D-LIVE!!
皆川亮二の超画力を極めてシンプルなコンセプトで楽しめる。
バトルを描ける漫画家はたくさんいるが、リアルなアクションをこんなに格好良く描ける漫画家はそうはいない。
「漫画の面白さに重要なのは画力でなくストーリー」という人をたまに見かけるが、ストーリーがいかに優れていても画力(コマ割り等の演出技術含む)が高くなければ描けない面白さも確実に存在することを、本作を読めばお分かり頂けるのではないだろうか。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2020-11-17 23:32:42] [修正:2020-11-18 11:54:17] [このレビューのURL]
7点 トガリ
出す時代が早すぎた、又は遅すぎた不運な名作。
本作は藤田和日郎や師匠である皆川亮二の作品に通じる、90年代前半のサンデーの名作アクション漫画に近い趣きがあった。そして、そういった作品を好む読者からは一定以上に評価された、硬派な王道ピカレスクアクション作品だった。
特に魅せゴマの作り方や、主人公の葛藤の描写は秀逸で、ところによっては師匠以上のセンスを発揮していた。
だが、不運にも発表された時代が悪かった。
当時はサンデー誌面のカラーが低年齢層化する過渡期であり(固定ファンの多い藤田や皆川作品の読者も年齢層が高まり単行本派にシフトしていった時期で、本誌では基本的に後ろの方に掲載されていた。本誌のメイン読者層にはバイオレンスアクションより、ガッシュやうえきの法則等の、低年齢層向けのポップなバトル漫画がウケていく時期だった)、本作の優れた部分が当時のサンデー読者にイマイチ評価されないまま打ち切りという憂き目を見ることとなった。
もし発表される時期が、進撃の巨人等のヒットを受け漫画のアプローチが多様化した現在であれば、もしくは藤田や皆川等が最前線でブイブイいわせていた90年代前半から中頃であれば、世間での評価は大きく異なったのではないかと思ってしまう。
なお、打ち切りの約10年後にフラッパーに連載の場を移し無事に完結しているのだが、その頃には夏目義徳が漫画界の荒波にもまれてセンスが衰えてしまったように思える。
個人的にはやはり打ち切られずに、当時の勢いのまま完結させてほしかったという無念が残った(それでもラストは非の打ち所のない、完璧なものだったが)。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2020-11-13 09:56:38] [修正:2020-11-17 13:00:36] [このレビューのURL]