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9点 賭博破戒録カイジ
本作品の最大の魅力は、手品のようなイカサマのからくりを解明すること、
ならびにそのイカサマを逆手にとって賭博そのものを攻略してしまう逆転劇です。
要するに、カジノを含む賭博は、受け手が絶対負けない仕掛けが必ず存在
しているってことなんですよ。
福本作品では、賭博のイカサマを見破ることを出発点に勝利を狙う場合が、
やはり多いかな。
賭博者の心理について、福本伸行氏の考察なのか研究なのか、本当に心理を突いている。
賭け金の高ではなく、また単なる欲望だけでもなく、自身の人生の意味を
賭けて勝負する者の心理が、極めてよく描けています。
さらに言えば、一条や班長らのような受け手側の心理も実によく描けています。
賭博漫画には不可欠な心理描写に、福本氏の右に出る者はいないと断言できますね。
さらには、相互のネタばらし後も、逆転につぐ逆転のアクシデントと罠が二重三重に仕掛けてあって、決着まで手に汗を握ります。
しかし、ギャンブルはイカサマと知ってはいても止められないのが、人間と
いうことが結論でしょうか。
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[投稿:2025-01-08 09:18:27] [修正:2025-01-08 09:18:27] [このレビューのURL]
9点 セブンティウイザン
70歳の超高齢出産をテーマにしており、ちょっとそれはSFでしょう
という最初の印象から始まります。
老人が慣れない出産、子育てであたふたと奮闘する内容かと想像しますよね。
まあ、当然それもあるのですが、新しい生命が誕生する意味、それが人間に
与える希望について、描かれています。
生きては死に、また生まれる人間の営みの繰り返しが無駄に思える日々も
誰しもありますよね。
どんな生物もその繰り返しで生をつないでいるのと、人間も変わらないんだと。
でも、それは意味のないことではないのかと、ちょっと思い直させてくれる作品ですね。
高齢者の出産・育児が、人生の価値の再発見につながるなんて、少しも思わ
なかったもので、意表を突かれたようなサプライズでした。
最後に、作品中のセリフを一つ抜粋します。子育ての極意かと思ったもので。
母「わたしは何を焦っているのだろう。勝手にゴールを決めて、必死に一日を
終わらせようとして。それはこの子の今より大切なことかしら。
ときどき忘れそうになるけど、私たちはこの瞬間を望んでいた・・。
ずっとずっと昔から・・。」
これから子育てを始める人にも読んでほしい良作だと思います。
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[投稿:2024-11-30 10:11:33] [修正:2024-11-30 10:11:33] [このレビューのURL]
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[投稿:2024-11-18 06:10:51] [修正:2024-11-18 06:10:51] [このレビューのURL]