「」さんのページ
原作者安部譲二氏の昭和30年代回顧録といった感じです。
負けて終わった戦争の傷跡が残り、人々は貧しく社会は
混とんとしていました。
生き残った者たちは、ただその日その日を送っていくだけで、
辛く厳しい時代ということです。
一面で暴力か才覚でサバイバルに勝ち残り財をなし、
のし上った人物伝も聞く話ですが、一面で厳しく淘汰
された時代なのでしょう。
その多くの後者たちの中でも、絆とか友情とか仲間で生きる
希望を求める時代だったようにも思います。
原作者は、その時代の方が幸せなんじゃないか、と
問いかけているようにも思えます。
2003年から8年の連載で、全22巻の長編ではありましたが、
思いのほか単調な展開でした。
大人買いで全巻を読破しましたが、全編、同じトーンで
終始しましたので、最初の数巻でも良かったかと思います。
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[投稿:2018-01-27 06:25:18] [修正:2018-01-27 06:25:18] [このレビューのURL]
6点 ツレがうつになりまして。
夫のうつ病という難しい話題なのに微笑ましい夫婦のエッセイとしてサラっと読めるのが凄いです。もちろんちゃんとうつ病の怖さ、治療の難しさ、支える愛があってこそなのには触れていますが、この読みやすさがベストセラーに繋がった気がします。十年前の作品ですが話題的に今でも全然通じるのが怖いところですね。
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[投稿:2018-01-25 00:11:42] [修正:2018-01-25 00:11:42] [このレビューのURL]
5点 わたしのカイロス
絵が良くてヒロイン(主人公)が可愛かったですが、あとは設定は面白い(囚人惑星移動デスゲームバトル)のに突き抜けられなかったなと思うのが正直な感想。いきなり駆け足になって打ち切られた感じです。
一応話はまとめていますし、軽い気持ちで読むには損がない作品だとは思います。
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[投稿:2018-01-24 18:27:00] [修正:2018-01-24 18:27:00] [このレビューのURL]
8点 ダービージョッキー
調べると武豊氏は名義貸した程度の原案のようですが、彼が監修していると信じた感想を多く見かけるほど良く出来た騎手視点の競馬漫画だと思います(作者の頑張り)。粗いときに雑さがある絵に好みが分かれる所で、馬を描くものとしてはレースが熱くなって良し、人物は不安定(初期はまだマシだったが)の半々という感じです。まあ競馬漫画ですから前者があるのは大きいですが。
終盤に主人公の父親が出てきてから迷走し始めたような感じがありましたが、全体としては安定した出来で長くなり過ぎず、初期からの目的をちゃんと達成して終わった良作だと思います。
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[投稿:2018-01-23 18:44:55] [修正:2018-01-23 18:45:21] [このレビューのURL]
9点 おれは鉄兵
「あしたのジョー」で一世を風靡したちばてつや氏は、
手塚治虫、石森章太郎、藤子不二雄らと並んで既に巨匠でした。
少年マガジン誌はその後、チャンピオン誌やジャンプ誌に
追随され没落していきますが、サンデー、キングもあった
当時の浮沈空母のような存在です。
その人気誌には、ちばてつやの作品は絶対不可欠で、
この後も「あした天気になあれ」と続いていく中での連載です。
鉄平は、ちば氏が最も得意とする少年像です。
「ハリスの旋風」の石田国松とほとんど同じキャラです。
貧しい生活の生い立ちで乱暴で粗悪、暴力、盗みも嘘も全く
平気ですが、仲間を大切にし弱い者への味方を貫く心優しい一面もあります。
勉強は全くできないがスポーツは万能で、最初は一方的に
負ける相手には、無茶苦茶だが尋常でない訓練で勝つまで精進する。
その後も「あした天気になあれ」の向太陽、「のたり松太郎」
でも共通するところは必ず見られます。
ちば氏の作り出す主人公像は、最初不愉快な面もありますが、
やがて読者の共感を呼び、最後には常に人気者になって支持を得ます。
鉄平はその中でも極端な悪から人気者になった典型的な人物像でした。
人間像が支持されているのではなく、その生きるプロセスを
支持しているような気がします。
今はダメ人間でも、鉄平のようにがむしゃらに目の前のことに
(頑張るとか精進するとかの高い次元でなく)熱くなって
いれば、いずれ勝者になれる、それを温かく見守ってくれて
いる人がいるはず、という将来への希望を感じさせてくれます。
私にとって、少年漫画の代表作とも言える作品でしょう。
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[投稿:2018-01-21 08:03:11] [修正:2018-01-21 08:03:11] [このレビューのURL]
8点 少女終末旅行
未来終末世界を軍装少女コンビが半装軌車で探索する話。画力がある訳ではないですが、引き込まれるものがあり、愛らしく情感豊かで息の合った掛け合いには楽しさすら感じました。世界について全ては語られませんでしたが、哀愁を感じて分かりやすく伝わってくる話作りも魅力です。
終盤はついに現実を直視する厳しい展開になりますが、最後まで二人が揺らがずに作中表現にある絶望と仲良く話を終えたのは心に響きました。
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[投稿:2018-01-20 14:20:50] [修正:2018-01-20 14:20:50] [このレビューのURL]