「」さんのページ
6点 約束のネバーランド
やはり評判高いGF孤児院から脱獄後の失速は否めないと思います。一応シェルターを襲撃されるくらいまでは一定の緊張は保って粘ってはいましたが。その後は優位な立場から大風呂敷な世界変革話になったのが残念でした。それでも、無理矢理過ぎる引き伸ばしなく話をまとめたとは思います。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2021-01-11 08:36:25] [修正:2021-01-11 08:36:25] [このレビューのURL]
6点 大使閣下の料理人
料理漫画ではあるのですが、主人公の専門である
フランス料理を中心にして、料理の力で外交相手の
機微に触れながら、懐柔していく手腕が見どころになります。
公邸料理人が一流の料理人でないと務まらないのは
理解できますが、外交の一翼を担うというのは、
やはりフィクションだろうと思ってしまいます。
よって、ストーリーに説得力を高く期待しがちです。
なるほどね、と納得できる回はそれほど多くなく、
なんとなく最悪の事態は免れたというような
お話が多い気がします。
それでも料理ごときで国益が守られたということが結末にあります。
欧米を相手に外交を進めるお話よりも、中国を
相手にした回が比較的スリリングな展開ですね。
主人公大沢公ではなく、弟子の青柳が活躍した
香港領事館の編が一番面白く感じました。
欧米人やベトナム人、韓国人に比べて、
外交的にタフに感じるせいでしょうか。
もちろん、料理に対する薀蓄も沢山出てきます。
フカヒレというのは中国近海では獲れないので、
実は干しナマコと干しアワビと並んで「俵三物」と
呼ばれる日本からの輸出品だとか。
やはり驚かされます。
一言でいえば、絵も可愛く読みやすく、
外交の価値や重要性を理解することができる点で、
優れた料理漫画作品でした。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2021-01-11 06:51:29] [修正:2021-01-11 06:51:29] [このレビューのURL]
全6巻というのが信じられないくらい密度の濃い物語。
主人公が追体験する前世の記憶はどれも1巻に満たないボリュームながら、
内容自体はそれ以上に濃密で、それぞれが小説一本分に感じるくらいの余韻をもたらしてくれる。
幾つもの前世の記憶を辿り、
徐々に主人公とヒロインの因縁が露わになっていく構造もまた秀逸で、
これが読み手の興味を途切れさせることなく、最後まで夢中になって読める要因となっている。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2021-01-10 23:38:22] [修正:2021-01-10 23:38:40] [このレビューのURL]
6点 惑星のさみだれ
4巻あたりまでずっとつまらなくて、読み進めるのが辛かった。
迫力のない敵の造形、乱立するキャラクター、読んでいて恥ずかしくなるセリフやシーンに、薄ら寒いノリ、
序盤はそれこそ打ち切られなかったのが不思議に思えるレベルだが、
物語が中盤に差し掛かった頃からようやくエンジンがかかり、
そこからは序盤の鬱憤を晴らすかのように、ラストまでギアが上がりつづけていった。
おそらくこの漫画は結末の構想が先にあり、そこから物語を組み立てていったのだろう、
物語が収束していく終盤は面白いが、序盤は設定と謎を散りばめるばかりで面白さを感じにくい。
キッチリ伏線の回収をし、それぞれのキャラのエピローグもフォローされており
読み終わったあとの充足感は見事なのだが、序盤のつまらなさが仇となって他人に薦める気にならない作品である。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2021-01-10 23:31:00] [修正:2021-01-10 23:31:00] [このレビューのURL]
7点 鬼滅の刃
社会現象になってますね。テンポも爆速で引き込まれるのもやむなしの素晴らしい少年マンガです。説明が、時代背景が、お約束の流れでここは、みたいな編集に説教されそうな部分をすっ飛ばしても勢いを重視している点がかつての少年マンガらしさを思い出させてくれます。また主人公が聖人君子レベルの性格というのは特徴としてあります。しかし個人的には発表時期によっては社会現象にまでは至らなかったと思います。今ほど「理不尽なモノに立ち向かい日常を取り戻したい!」という時期はないと思います。この作品はその時期と完全にリンクした結果共感が生まれ社会現象にまで至ったのだと思います。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2021-01-10 12:18:40] [修正:2021-01-10 12:18:40] [このレビューのURL]
9点 ふたつのスピカ
SFファンタジーという触れ込みの作品でしたが、
少し違った感想を持っています。
シナリオは一応あるのですが、SFの部分は
設定に借りているだけで、とてもゆったりとした
時間の中で高校生活が流れていきます。
ゆっくり過ぎてファンタジーと称されるのでしょう。
宇宙ロケットの飛行士養成コースに進む5人の
友情がほんわかした雰囲気の中で、
押しつけがましくなく表現されていますので
見失いがちですが、むしろ5人の高校生が相互の
感受性に影響し合って生きる物語という印象です。
5人の高校生は、それぞれに事情を持っています。
サボり癖があっても、結局飛び抜けた才能を有する秋、
人への信頼を失って孤独に無理にでも生きようと
決意しているマリカ。
特にこの二人には不治の病と家族との不和があって、
悲劇性を醸し出していますが、
やや過剰な演出だったかもしれません。
私が、気にいっているのは、むしろ普通の高校生、
圭と府中野でしょうか。
圭は、とりたてて特技もなく成績も良くない普通の
女性ですが、アスミも含めて悲劇性を持った
3人の同級生にあって、極めて普通に同情の
気持ちを隠して、明るく接します。
孤独の少女だったアスミも彼女によって救われました。
マリカにもねじ曲がった性格だの、偏屈だの悪態を
つきながらも、絶対に友情は裏切らないことを
直接的に言葉にします。
他の人物たちは、恥ずかしくて言葉にしないような
ことを代弁します。
この普通のセンスの女子高校生が、普通の人間の
存在を肯定してくれているようで、読者も救われます。
もう一人の府中野君が、私の最もお気に入りです。
彼の口癖は、「バカ。・・たくもー。」であって、
非難と愚痴の人です。
アスミとは幼馴染ですが、いじめられるアスミを
直接助けることもありませんが、隠れたところで
アスミを見守ってきました。
どこにもその表現はありませんが、どうやら
宇宙飛行士になりたいのではなく、アスミを見守る
ために宇宙学校に入学した模様です。
そのくせ突き放した態度で、距離を保ったまま
アスミを見続ける府中野君は、感情を見せないだけに
とても切ないです。
ナイスガイと拍手を送りたい気持ちになります。
もちろん夢を諦めないアスミやライオンさんの
存在はとても重要ですが、この脇役の二人に
フォーカスされた場面では、心が動きます。
泣ける、泣かそうとしているという感想が多い中で、
何気ない風景(階段の多い下町の坂道、古い街灯の
ついた道角、夜中に明るく点灯する自動販売機の
前に留められたオートバイな)のイラストも出色ですね。
これまでにない不思議な魅力のある作品に出会えて、
嬉しい気持ちになりました。
<追記>
実は、私事で恐縮ですが、2020.12.19付 産経新聞の
ビブリオエッセイに上記内容を反映した投稿原稿が掲載されました。
ナイスレビュー: 3 票
[投稿:2021-01-08 06:35:05] [修正:2021-01-08 06:35:05] [このレビューのURL]