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10点 ファン・ホーム ある家族の悲喜劇
コミックで読む文学。コミックでしか読めない文学。初めて読んだ時、こんなアメコミがあるのかと驚いた。
もちろんスピーゲルマンのマウスに代表されるオルタナティブコミックやプレスポップから刊行されているダニエル・クロウズの作品などヒーローもの以外にもアメリカには優れたコミックがたくさんあることは理解している。でもこれ程とはねぇ…。
「わたしはその日、冒険に乗り出したのだ。それはホメロスの『オデュッセイア』のごとく、エピソードごとに、少しずつ父親の本質に近づいていく旅であり、『オデュッセイア』と同じくらい壮大な冒険だった。」
ファン・ホームがどのような物語なのか、端的に説明している本文中の一節だ。
事故なのかそれとも自殺なのか、結局心から理解しあえぬまま亡くなってしまった父親。ある所では通じ合いながらも、すれ違い続けてきた父親。
著者アリソン・ベグダルが自分はレズビアンであると大学の図書館で気付いた時、ゲイであった父親の本質への探求は始まった。
ファン・ホームは7章から構成される。それぞれ異なるテーマに沿って、そして章が進むにつれてより深く父親と自分の真実に迫っていく。第3章では「グレート・ギャツビー」に父親を投影し、第4章では「失われた時を求めて」に著者と父親の姿を重ねる。
このように著者は上の二つやユリシーズを主とした文学を中心に、演劇やTV番組などまで非常に多くの作品と彼ら家族の姿を重ね合わせる。アリソン・ベクダルは文字通り、あらゆる角度から父親を、自分を映し出す。物語が進むごとに、幾重にも父親を囲んでいた壁は少しずつ少しずつ取り除かれていく。そして父親を見つめることはベグダル自身を見つめることでもあった。
ついに第7章で冒険者の旅は結実する。悲劇と喜劇、父親と娘、憎しみと後悔、ゲイとレズビアン…様々な道、交わらないと思っていた道はつながり、これまでも実はずっとつながっていたことが明らかになるのだ。
何といっても最後の1ページが良い。泣いて、感動に震えて、最高の体験だった。何度読んでも素晴らしい。
この作品を私がすごく気に入っているのは、全てが最後の1ページに集約されているのに、それが何であったか言葉には出来ないからなんだよなぁ。ベグダルが大胆な手法で丁寧に、静謐に家族の姿を描き出してきたからこそ最後の1ページは本物になって、かつ既存の言葉を超えた。
そして恐らく言葉を超えたものの表現というのはコミックが目指している所の一つだ。小説よりも絵で語れるコミックにはさして難しくないことに思えるかもしれない。しかしファン・ホームは“絵”とさらに色んな作品から借りた“言葉”、この二つを使って表現を押し上げた。文学だけでも、コミックだけでもたどり着けない所に。
ファン・ホームやアラン・ムーア作品、また高野文子の「黄色い本」なんかを読むとあまりに漫画は文字を嫌いすぎているように感じる。その流れを作ったのは手塚治虫だっただろうか。
色んな方向性があって、文字も、言葉も、一つの可能性なんだな、そう痛感させられる。
一つだけ残念なのはやはり引用される作品の多くを実際に触れたことはないということ。私が既読だったのは「グレート・ギャツビー」、「ライ麦畑で捕まえて」、「アダムス・ファミリー」くらいで、特に「失われた時を求めて」と「ユリシーズ」を読んでいればさらに理解は深まるのだろうなとは思った。
ただ作中でも「自分が『失われた時を求めて』を一生読むことはないと知って人は中年になる」なんて言われているようにそんな人は文学科の学生かよっぽどの文学愛好者くらいのもの。「グレート・ギャツビー」くらいは事前に読んでおいたら良いかもしれない。読んでなくても文脈で十分に分かりはするのだけれども。
しかしもう少し話題になっても良い気がするんだ。アメコミの中でもさらに文学好き向けと、門が狭いのかな。刊行された時期も不運だった。
ということで普段アメコミを読まない方でも、読書好き、文学好きには全力でおすすめ。似たようなことを試みている高野文子の「黄色い本」が好きな人なんかもぜひぜひ。小説含め、今年一番震えた文学だった。
最後に、この傑作を直接出版社に持ち込んでくださった翻訳者の椎名ゆかりさんとその正確な訳には心からお礼を言いたいです。ありがとうございます。
こんな作品を日本で読めたのはちょっとした奇跡。読まないのはもったいない自伝的ノンフィクション・コミックの傑作です。
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[投稿:2011-11-23 03:08:31] [修正:2011-11-24 00:07:24] [このレビューのURL]
10点 ドラゴンボール
今から書かせて頂く内容はストーリーや画力、構成力などではなく
漫画を読ませる能力についてです。
「週刊少年ジャンプ」と聞いて皆さんは何を思い浮かべるでしょう?
私がまず思うのは「人気漫画の引き伸ばし」です。物語を作る上でこれほど
難しい問題もないでしょう。ジャンプで連載している人気漫画と呼ばれる
作品はすべからくこの問題に直面します。回避するには作者特権で無理やり
止めるか(スラムダンクなど)人気作家になり引き伸ばしを拒否もしくは
打診されない力を持つか(だいたいの人気作家は他誌へ移ってしまう)
あるいは富樫さんの様にフリーダムに生きるしかありません(笑)
さて前フリが長くなりましたがドラゴンボールについて話させていただきます。
長期にわたり引き伸ばしを強制されてきた事で有名ですが、皆さんは
どのあたりまでが鳥山先生の思うドラゴンボールだったかご存知でしょうか?
実はピラフ一味を打倒する所までで7巻に収めるつもりだったと言われています
背表紙で7巻までで神龍が完成している事も確認できます。
それでは今現在連載されている人気漫画を想像してみてください。
7巻で終了するような構成で連載開始している物は一つも無いでしょう
10巻以上もしくは20巻をも視野に入れた組み立て、世界、設定で
描かれています。あくまで個人的な意見ですがそれだけの用意があったにも
かかわらず引き伸ばしを受けた後確実におもしろさが落ちています。
現在連載中の作品が受けている引き伸ばしなどせいぜい10巻から20巻です
35巻もの引き伸ばしを受けた後半のドラゴンボールの方が今の漫画より
確実に読ませるチカラは上でした。キャラクターにしても人気のある
クリリンやピッコロ、ベジータも引き伸ばし後に生まれたんです。
ドラゴンボールは昔の方が面白いと言う言葉を良く耳にしますが、
私の回りで途中で読むのを止めた人は一人もいません
なんだかんだ言いながらも最後まで読んでしまっています(笑)
そして皆味わうのです42巻分の思い出ともう会えない寂しさを・・・
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[投稿:2011-11-23 10:07:20] [修正:2011-11-23 10:10:29] [このレビューのURL]
10点 じゃりン子チエ
大阪の事を理解したかったら読むべき作品。
漫画としての物語は当然の事ながら、現在まで脈々と続く大阪の風俗を知る事が出来ます。
非常に長い作品で、絵柄も初期の頃の(それなりに)整った形から、終盤は抑えが効かないくらいに崩れてきますけど、内容自体はどこを切っても『じゃりん子チエ』です。
漫画単体としての評価以上に、後世に残すべき作品という気がします。
西原理恵子の『ぼくんち』は貧困や差別と正面から向かい合って描かれた作品でずっしりと心に残りますが、この作品も貧困や差別が溢れかえっている中、「気にせんから気にならんて」と言って流しています。
これが大阪なんだろうと思います。
たぶん、関東以北の地方の方には理解不能な世界でもあるとは思いますが、『こち亀』が東京の下町の風俗を描いた作品だとすると、この作品は大阪の風俗を描き切った作品と言えます。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2011-11-15 21:52:16] [修正:2011-11-15 21:52:16] [このレビューのURL]
10点 ジョジョの奇妙な冒険
荒木飛呂彦先生は神だと思います 奇妙な話にとても惹かれました 個人的には5部、7部が大好きですね 好きなキャラクター&スタンドはミスタ&セックスピストルズです
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2011-11-15 21:40:52] [修正:2011-11-15 21:40:52] [このレビューのURL]
10点 SLAM DUNK
スポーツ漫画でこれを超える作品はないと思う。
バスケについてリアルに書かれているにも関わらず、
続きがすごい気になるほど面白かったです。
県大会の決勝リーグ?最後までの流れは神がかっていました。
これでバスケ始めた人も多いはず。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2011-11-13 16:54:49] [修正:2011-11-13 16:54:49] [このレビューのURL]
10点 鋼の錬金術師
私のなかでは神格化された作品。
特筆すべきはおよそ少年マンガとは思えないダークなテーマを根幹に据えながら
あくまで「少年マンガ」を描ききったこと
これは兄弟二人の力強さ、ある面では無力さをかんじながらも
ちゃんと成長があったからかな
錬金術というファンタジーな要素を盛り込み
骨太なストーリーを構築していてムダがない
多様な生きざまを描く人間賛歌でもある
ムダのなさはキャラ作りにも通じていて
敵味方とも魅力的(作者本人もモブを描くのが好きらしい)
またひとりひとりの背景、土台がしっかりとしていて
それぞれが相互に作用しあっているのも素晴らしい。
特にマイルズというキャラには
混血の意味、スカーに影響を与える人物としてよくできていると感じた。
最後は少年マンガらしくハッピーエンドで良いんだと思うが…
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2011-11-07 01:00:09] [修正:2011-11-07 01:00:09] [このレビューのURL]
10点 ジョジョの奇妙な冒険
17歳高校生男です。
ドツボです。
荒木先生の絵に引き込まれていって
即全読してしまいました
最高です。
0点を付ける人はただのたちの悪い人たちですね
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2011-06-14 12:44:25] [修正:2011-11-05 18:35:38] [このレビューのURL]
10点 NARUTO-ナルト-
最高の漫画。これ以上の漫画には
いまだかつて出会ったことがない。
ストーリーはしっかりしていて、感動もあり、
伏線が多く、絵もかなり上手い。文句のつけどころがない。
レビューを見て、申し訳ないが低い点数を付けてる
人ほど何も分かっていないと感じた。
マイナス点と思われたところは、深く考えたら
何もおかしくないことに気がつくはずだ。
岸本さんは天才。ラストまで楽しみにしている。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-11-03 00:54:38] [修正:2011-11-03 00:54:38] [このレビューのURL]
10点 HUNTER×HUNTER
あらゆるものが高次元で実現されている現バトル漫画の中で唯一の作品だと思います
キャラクターに魅力があり駒割りが素晴らしく読者を飽きさせないような工夫があらゆる場面でなされています
物語展開に違和感なくのめり込め且つ設定された戦闘能力を最大限に生かし矛盾無く描写されているのも素晴らしいです
ナレーター等を使って客観的に心理描写を行い誰もが理解しうる形で行動に動機付けを行って単純になりがちな戦闘に現実で戦っているかのような臨場感や緊迫感を付随させることに成功していて
殴って終わり蹴って終わりの戦闘に終始しない点がまた素晴らしく、レベルの高い戦闘になるにつれて時間次元に重きを置きコンマレベルで時間を細切れにして戦闘を描写しています 時間を把握する才覚が作者は抜群だと思いますね
自分の漫画に対する意識を根本から変えたという点で10点の評価としたいと思います
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2011-10-29 14:34:47] [修正:2011-10-29 14:34:47] [このレビューのURL]
10点 うる星やつら
一世を風靡した伝説のラブコメ、ではなくギャグコメディー
それまで無かったヒロインの設定(性格やデザイン)のインパクトで、伝説にまで昇華した稀有な作品です。
スラップスティックなギャグ漫画なのでストーリーやらオチやらは特に必要なく、要はワイワイガヤガヤしてるだけ、といえばそれだけの作品。というかそれがウリの作品。
このタイプは時事ネタに強いことが多いんですが、当時の世相よりは主として恋愛持ってきているので、今でも充分読むに耐えます。
ただ高橋先生のデビュー間もない連載作であるため、特に初期の頃は画力がかなり低いのが難点でしょうか。
テレビアニメ化により人気は爆発、映画も作られ、ラム語やヒョウ柄ビキニになど一大ムーブメントを起こしました。
後に続く漫画家に多大な影響を与えた作品でもあります。
10点以外、つけられないじゃん(苦笑)
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-10-25 08:07:33] [修正:2011-10-25 08:07:33] [このレビューのURL]