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「闇夜に遊ぶな子供たち」の続きも読みたいけど、出ても同人になりそういうのは実に残念な話。
ホラーMがなくなったのはやっぱり痛い。
10点、9点…個人的なバイブル、名作。
8点、7点…お気に入りの作品。
6点、5点…十分楽しめた作品。
4点以下…うーんって感じの作品。わりと適当。

8点 菫画報
間違いなくストライクゾーンは狭いだろうなぁと思いつつ。でも私を含む一部の人々にとっては、ある意味バイブルと言ってもいいくらい強烈な吸引力を持ってる漫画。
内容は「本格高校新聞漫画」ということで、いわゆる文科系クラブのゆるーい日常もの。日常とはいってもかなりファンタジックな話も多くて、コメディ色が強い。爆笑を期待するとちょっとあれだが、にやにやしながらまったり楽しめる。
この漫画が今一つ売れなかったのはよく分かる。まあ大体の人にとっては、他の同じような類の漫画と比べて突出した内容はないだろうし、絵も癖があって上手とは言えない。でも一方で、未だ当然のように絶版中の菫画報(特に4巻は数がないとか)を探しているという人の話もよく聞くこともあって。
それは多分作者の嗜好が良くも悪くも露骨に出ているのも一つの要因なのだろう。「エログロナンセンス!子供も大人もエンタテイメントの基本はこれよ」という台詞が作中にあるのだけど、これを聞いてピンと来るものがある人なら読んでみるのも良いかもしれない。
要は子どもの頃に「怪盗二重面相」や「ドリトル先生」、「名探偵カッレくん」あたりに親しんでいて、大人になっても乱歩や谷崎の怪奇小説、ポーの幻想文学、ヴォネガットのSFを愛好しているような、いくつになっても夢の世界に片足突っ込んでいる人にはたまらないものがあるってことで。いわゆるサブカル嗜好の人ってことになるのかもしれない。
菫画報の菫もそういう人なんだよね。上に挙げたような探偵小説にのめり込み、当たり前の日常の中で非日常を必死に探している。もうここら辺からして自分を見ているようで、ちょっと面映いのだけど。そして現実と違って、この漫画では非日常に紛れこめちゃうんだよなぁ。しかも菫は、私が内に押さえ込んでる妄想を外側に何の躊躇もなく爆発させる。だからもう菫に、この漫画にすんごく惹かれちゃう。悔しいことに。
色々と奇跡的なバランスで成り立っている漫画だと思う。小原愼司の絵はいわゆる耽美系になるのだけど、けっこう粗い。ただこれが古屋兎丸の絵だと絶対おもしろくないだろうし。また石黒正数の菫画報であろう「それでも町は廻っている」は絵も話も上手すぎて、“そういう”おもしろさは薄まってしまっている(石黒正数は大の菫画報ファン)。
実際その後の小原作品は菫画報より成長しているのは確かなのに、菫画報を超えれていないわけで。漫画って色々と難しいものだよなぁと思ったり。
とにかくSFやら何やらごった煮なんだけど、それがまた突拍子もない空想っぽくて好きだった。作者も書いているように、話に起伏はないし決して引き出しは広くないんだけどね。見せ方が工夫しているのもあってか、ずっとこの世界に浸っていたくなる。
空想というものの限界と現実の縛りを描いた話を挟んで、とことん馬鹿な話がラストなのも良いよなぁ。これが夢オチじゃないあたり、素晴らしく気が利いてる最終話だった。
とりあえず作者の嗜好とかそういうものに対する愛とかに共感できる人ならば、代え難い価値のある漫画になるはず。合うと思ったら探してみて下さいな。
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[投稿:2012-02-23 01:35:58] [修正:2012-02-23 08:14:29]
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