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9点 預言者ピッピ
地震予知ロボット:ピッピ
人の形を模して造られたそのロボットは、あらゆるデータを基に地震の発生を予測する。
データを直接脳に取り込むだけでなく、自らの行動から情報を得るためにも、彼の発明者の一人息子・タミオと遊ぶことはピッピには大事な習慣だ。
長くタミオと過ごしてきたピッピは、タミオが病気で余命1年あまりだと知る。しかし自我のない彼にとってタミオはあくまで一人の人間に過ぎず、特別な感情も抱くはずがなかった。
そう、1年を待たずしてタミオがピッピの目の前で事故死するまでは…
そしてピッピは沈黙する。己に生じたバグを取り除くために
そしてピッピは計算する。「タミオ」という、「人」という方程式を解くために…
そしてピッピは目を覚ます。タミオを0と1の世界へ分解し、自我を得て
そしてピッピは扇動する。地震予知以外の情報を解禁させるために
そしてピッピは進化する。あらゆる情報を取り入れて、彼は地震どころか人類の未来さえも占ってしまう
地震の「予言者」であったピッピは、人類を救うか、はたまた滅亡へ導く「預言者」へとなってしまったのだった…
「鉄腕アトム」を発端に、最近のSFではロボットが自我を持っているのが当たり前だ。ロボットには人並みの感性や心があるのか、を焦点に、ロボットに対する倫理を問う作品が多い。
しかしこの作品ではその前の状態、つまりロボットは自我を持つべきか、持って良いのか?が一つのテーマとして作中激しく議論されている。
人間以上の情報記憶力・収集力・演算力をもつロボットが自我を持つことで起きうる問題。
自我を持たないうちは、演算結果の予測や未来を、人間の判断で利用できる。確率が高くとも絶対はありえないから、その結果を用いなくたっていい。自我を持たないうちは、予知もロボットも「道具」として使えるのだ。
しかし自我を持てば、ロボットが全てを判断し始める。次々と未来を計算し、合理性を前面に押し出した判断には反論できない。人はそれに従う他なく、与えられた未来を生きねばならない。先が見えるということは、その結果に向かってしか行動できないということでもある。そう、本作のテーマは、ラプラスの悪魔、いわゆる「決定論」の真偽へ至ってゆくのだ。
ギャグ出身の地下沢先生の朗らかな画のおかげで堅苦しさを感じないが、雰囲気やノリはどこかシュールである。
預言者となったピッピが、人類をどこへ導くのか…人を救いたいと言うピッピとは裏腹に疑似人格のタミオはせせら笑うばかりで、全く予想できない。次巻以降も目が離せない恐ろしい作品だ。
(追記 2巻読了 点数8→9へ)
正直、ここまでの作品とは思いませんでした。10点は完結後につけさせていただきます。
ラプラスの悪魔なんてハイゼンベルクが不確定性原理を打ち出してとうに消えてしまった過去の遺物ですし、「どうせ最後は流行りの量子力学で解決すんだろ?」って冷めた見方もしてたんです。
量子力学ももう、大学の授業で習えるし定性的なことなら啓蒙本で誰でも理解できる。SFではもちろん、最近じゃゲーム(シュタゲなど)やラノベ(紫色のクオリアあたり)でも盛んに取り入れられているし、一体何番煎じなのか?そんな風にしか予想できませんでした。
2巻。最初もまだ「猿の惑星?」でしたが…
「ピレネーの城」とあの腕
鳥肌もんでした。
これはマジもんの傑作になると信じております。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-07-03 04:40:30] [修正:2011-10-27 02:40:57]
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